8.体育祭⑧ 大合戦開始!
翌日。
『さあ! 皆さん! 2日目の体育祭も盛り上がってますが、いよいよ次でラスト種目です!』
今日も体育祭自体は順調に進んでいき、残る種目はあと1つとなっていた。
アビリティ競技は競技そのものは、普通の競技がほとんどだったのだが、内容が普通じゃなかった。
例えば障害物リレーは、障害物が池だったり絶壁だったり落とし穴だったりと、普通にやってたら危険なレベルの障害物が配置されていたり。
棒倒しでは、棒が人が押す程度の力では倒れないぐらいがっちりと地面に突き刺さっているだけでなく、棒の側面には訓練場と同じアンチアビリティが張られていて、棒を倒すにはまず棒のてっぺんにあるアンチアビリティのボタンを押して解除してから、アビリティで攻撃して棒を倒すというものだった。
そして、今日はアビリティ競技だけあって、アビリティ科の面々が目立っていた。
特に白組のあの3人。
「くっくっく……時は来た……! 今こそ我の真の力を見せようではないか!」
昨日の足の引っ張りを帳消しするかのように活躍しまくってた紗奈。
「サポートなら任せてください!」
昨日は目立つことなく成りを潜めていたのに、今日はサポート魔法で周りを援護しまくって活躍してる美穂。
「どんどん行くぞー! はっはっはっ!」
昨日に引き続き、白組1年の中ではかなりポイント稼ぎに貢献している晃太。
この3人のおかげもあるのか、現在、白組は昨日からずっと総合1位を維持しており、他の組団は少し差を開かされていた。
だが、最後の種目は全員参加のポイント大幅加点で逆転できるチャンスでもある。
『さあ、最後の種目は全員参加! 大合戦です! ルールは簡単! 各組団の選手にはカラーボールを体のどこかに装着してもらい、それを割られたらその時点で退場! 残った人数が多いところの勝利となります! そして! 今回も団長もとい、合戦においての大将を討ち取った組団にはボーナスポイントが加算されますので、是非とも大将首を狙っちゃいましょう! それでは、選手の皆さんはスタート位置についてください!』
司会のアナウンスとともに、各組団の選手たちがそれぞれのスタート位置に移動する。
この大合戦は、グランド全体が戦場となる。
「……これで最後か。果たして逆転できるのかねえ」
「可能性は充分あるだろう。この人数で殺し合いをするのだからな」
「殺し合いってお前……」
そんな会話をしている例の3人。
俺たちはこの種目でも一緒に行動することとなった。
まあ、これだけの規模の状況を1人で把握するっていうのは厳しいから、固まって行動しようと俺が言い出したのだが。
俺たちは前衛気味にスタート位置を取り、待機する。
古藤さんは後衛で構え、そのすぐ近くに皐さんの姿もある。
きっと、古藤さんが攻められたらすぐ守れるようにだろう。
「お、あんたらも前来たの?」
「須藤じゃん。何? お前もガンガン攻めに行く感じ?」
「やっぱり冒険者たる者はガンガン行かないと!」
「で、冬木は? お前ら一緒に行動してたじゃん」
「……あの子は置いてきた。この戦いにはついていけないだろうから……」
「餃子かよ」
学のツッコミに噴き出す須藤。
こいつら、結構良いコンビになれんじゃねえか?
「じゃあ俺らと来るか? 1人で行動するよりかは安全だろ」
「じゃあお言葉に甘えて。よろしくー」
そんな感じで須藤も加わり。
『それでは最終種目、大合戦……スタートです!』
体育祭最後の種目が始まった。
「“流星群”!!」
開口一番、青組のスタート位置からその掛け声とともに上空から多数の拳くらいの大きさの石礫が各組団に襲い掛かる。
『おっと青組団長木ノ崎豪! 開始早々に自ら前衛に立っての先制攻撃だー!』
「“マリン・コクーン”!」
しかし、皐さんはこれを読んでいたのか、すぐに水のフォースで赤組陣営全体を包み込み、木ノ崎先輩の“流星群”からガードする。
聞いた話だと、木ノ崎先輩が使うアビリティは地属性のフォースで、ガンガン攻めていくスタイルらしい。
それに対して、皐さんのアビリティは水のフォースで、攻撃よりは防御系が得意だと言っていた。
今の“流星群”で、結構な数がやられると思ったが他の組団も対応が早く、何人かはカラーボールを割られていたが、ほとんどは何かしらの防御系アビリティで防いでいたり、攻撃系のアビリティで相殺するなどして被害を最小限に抑えていた。
そして、“流星群”が収まると。
「突撃ー!」
「行けー!」
各組団から選手がそれぞれ飛び出していき、まさしく合戦が始まった。
もちろん俺たちも最前線にスタート位置を取っていたので、飛び出している。
「どうするヒナタ? 暴れるだけ暴れてポイントを稼ぎに行くか?」
「そうだな、とりあえず敵を見つけ次第、ポイントを取りに行くぞ。ただ、1人に対して必ず2人以上でだ。確実にポイントを取るにはこれが効率いいだろ」
「了解した」
「オッケー」
「任せとけ!」
「……聞いてた通り、南ってこういうときの指示出し慣れてるんだね」
「まあな。あと、それと1つ。狙うなら、白と青を中心に狙うぞ。特に白を」
「……一応聞くけど何で?」
「そんなの俺たちより順位上の組だからに……って来てるぞ!」
移動しながら作戦を話していると、5人で固まっていたのが逆に目立っていたのか、他の組団の選手たちが襲いかかってきた。




