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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第1章 出逢いと始まり ―動き出す物語―
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7.皐月の季節② のどかなる決意

 ゴールデンウイークが始まる少し前のことである。

 5月の最終週の土日に行われる体育祭。

 その組団分けがされた紙がHR中に配られていた。

 体育祭は、1日目の普通競技と2日目のアビリティ競技に分けて行われる。

 通常の高校であれば組団はクラスごとで分けたりするだろうが、俺の通う星桜高校は学科がアビリティ科と普通科の2つあり、普通競技では普通科よりアビリティ科のクラス人数は少ないことによる数的不利、アビリティ競技ではアビリティの熟練度の差による戦力的不利が発生してしまう。

 もちろん、普通科の生徒でもギルドに加入してダンジョンに潜ったりランクを上げてクエストをこなす人もいるが、全員が必ずしもそうとは限らず、寧ろ普通科だと冒険者をしている人はクラス全体の1/5程度である。

 なので、毎年先生たちが会議したりして、学年ごとに個々の生徒の運動能力やアビリティ、相性のバランスなどを見て、均等になるように赤、白、青、緑、黄の五組団に振り分けていくのだが……。


「―――にしても、同じチームの人間が3人も同じ組団に入るなんてな」


 マッチョロップを倒した後、ギルドに戻って休憩がてらテーブル席でまったりとしていると、晃太がかっかと笑いながら口を開いた。


「そうだね。私もびっくりしたもん」

「くっくっく……これは運命が引き寄せた必然力であろう……」


 ……おい。

 さっきから黙って聞いてりゃ3人でどんどん盛り上がりやがって。

 というか紗奈。

 もし仮にその必然力とやらがあるのなら俺はどうなんだよ。


「南は確か赤組だったよな」

「……ああ」

「ということは、学年別種目の時は赤組に注意しとかないとな……」

「気をつけろよ、特に背後」

「怖いこというなよ!」

「ちょっと南が言うと冗談に聞こえないよね……」

「おい、それどういうことだ美穂」

「くっくっく……気にすることはない。どうせ、1人だけチームのハブになって我らに嫉妬しているだけよ……」


 くっ……。

 このロリっ子中二病め。

 そうじゃないんだが、中々鋭いところを突いて来るのがむかつく。

 あの時の純情そうで大人しいキャラはどこに行きやがった。

 確かに、紗奈が言ったことも多少なりともあるが、俺がモヤモヤしている一番の理由は何故この3人を同じ組団にしたかということである。

 学校での授業や測定だけで個々の能力や力量を完全に測るのは難しいかもしれないが、ここ最近、この3人と一緒のチームとして行動してきてわかってきたことがある。

 均等に分けるというのであれば、この3人はバラバラの組団に入れるべきである。

 正直、アビリティ科の中でも実力で言えばこいつらは頭ひとつ飛び抜けている気がする。

 紗奈に関しては、ある意味頭何個も飛び抜けて目立っているが。


「……紗奈、俺が一番付き合い長いから分かるけど、南はそんくらいじゃ嫉妬とかしないぞ、多分。粗方、俺たち3人が一緒の組団になったのが均等じゃないとかそんなところでイライラしてんじゃないか?」


 さすが腐れ縁の幼馴染み。

 見事に的中している。


「そんなことないと思うけどなー。アビリティ科の他の人たちも授業とかで実力見る機会あるけど、私たちとどっこいどっこいぐらいだと思うよ」


 学年一のチーターがそんなことを言う。


「……ま、あくまで組団対抗の体育祭だし、2、3年生も一緒だし優勝争いにはあまり影響ないか」

「……そうだね。そう言えば、上級生の人のアビリティってまだ見たことないよね」

「ふっ……年齢など関係ない。要は強いか弱いか、勝つか負けるかの体育祭(ウォーゲーム)。私たち白き一団が強いことに変わりはない……」

「体育祭をウォーゲームって言うのやめろ、恥ずかしいから。あと、白き一団って白組でいいだろうが」


 中二病なセリフに慣れてはきているがついついツッコミを入れてしまう。


「体育の祭……我こそが一番強いと誇示するために争い、優劣を付ける……これを戦争……ウォーゲームと呼ばずに何と呼びゅのら!」


 セリフの最後で噛んでしまった紗奈は、少し顔を赤く染め俯く。

 ……さすがに格好つけてるときに噛んだら恥ずかしいのか。


「とりあえず、お前らは白組優勢だのなんだのと言っていたが」

「待って南、それ言ってたの紗奈だけ……」

「やるからには、俺たち赤組が勝つからな。首洗って待ってろよ」


 俺がそう言うと、紗奈は不敵に笑みを浮かべていた。

 きっと、やれるものならやってみろ的な感じをアピールしたかったのだろう。

 そして、美穂はと言うと晃太に顔を近づけて、


「ねえ、南ってこんな感じだったっけ。私がこれまで見てきた感じだと、こういうことに燃える性格じゃないと思ってたんだけど」


と内緒話にならない声で話していた。


「ああ、普段はそんな感じだけど、南、勝負事には拘るからな。負けず嫌いなんだよ」

「へー、割と子供っぽいとこあるんだね」


 この美穂の一言が俺の決意を固く固めた。

 絶対に白組に負けてなるものかと。

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