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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第1章 出逢いと始まり ―動き出す物語―
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7.皐月の季節① 仲間外れ

 青色の草木が生い茂った森の中。

 眼前にいるのは二本足で立ち上がり、小気味良くリズムを刻むように跳ねている白い毛のうさぎのようなモンスターが3体。

 下半身はうさぎのように可愛らしいのだが、上半身はムッキムキで、腕に関して言えば白い毛で覆われているところを除けば、人の腕そのものである。

 隣にいる晃太と、この『マッチョロップ』の動きに注意を払っていると……。


「アチョオオオオオオ!!」


 マッチョロップは甲高い声を上げた後、足のバネを活かした跳躍力で俺たちに飛び掛かってきた。


「右のやつは任せたぞ!」

「おうよ!」

「“火炎拳”!」

「チョアッ!?」


 俺は晃太の返事が返ってきたすぐ後に、飛び掛かってきたマッチョロップに拳を叩き込み、後方に吹っ飛ばす。

 晃太はというと、飛び掛かってきたマッチョロップの攻撃をかわしながら詠唱を唱えていく。

 そして。


「“ウォーターショット”!」


 水の球体を手のひらから発射した。


「プギャッ!」


 マッチョロップに“ウォーターショット”が命中すると、さっきと同様に後方に吹っ飛ばされていく。


「……ってあと1体は!?」


 と、2体のマッチョロップを吹っ飛ばしたところで、あと一体いるはずのマッチョロップの姿を見失う。


「あそこだ!」


 辺りを見渡していると、晃太が上空を指差す。

 晃太の指した先には、遥か上空へと飛び上がっていたのか、太陽と若干姿が被りつつ三体目のマッチョロップが飛び掛かってきていた。

 ……俺たちを通りすぎて。


「美穂! 紗奈! そっち行ったぞ!」


 どうやら、3体目のマッチョロップは俺と晃太の後方にいた美穂たちに狙いを定めていたらしい。


「大丈夫! “プロテクト”!」


 美穂は飛び掛かってきていたマッチョロップに対して、防御魔法の“プロテクト”を発動させ、マッチョロップの攻撃を防ぐ。

 というか、マッチョロップは“プロテクト”にそのまま突っ込んでいき、案の定全身をビターンと“プロテクト”にぶつけていた。


「……からの“スコール”!」


 全身を強く打ち、ふらふらっとしていたマッチョロップは、美穂に突風を起こす風魔法を掛けられ、俺と晃太が吹っ飛ばして伸びていたマッチョロップ2体のところまでまたまた吹っ飛ばされる。


「今だ! 紗奈!」

「……黒き闇の魂よ、その力を持って敵を殲滅せよ……“ダークキャノン”!」


 三体が纏めて動けなくなったところで、制服のような白いワンピースの上からフード付きの大きめのローブを羽織っている紗奈は、待ってましたと言わんばかりに詠唱を唱え、闇魔法“ダークキャノン”を自分の持っているSギアの杖先から発動させた。

 “ダークキャノン”は土煙を巻き上げながらマッチョロップへと直進していき、直撃すると同時に派手な音を立てて爆発。

 マッチョロップたちは肉体が崩壊し、体内に宿していたエナジーコアを残して黒い塵となっていった。


「ふっ……我にかかればこんなものよ……」


 紗奈が決め台詞を何やら言っていたようだが、俺はそれを無視してエナジーコアを回収した。




 紗奈がチームに入ってからしばらく経ち、今日はゴールデンウイークの最終日である。

 この、しばらくの間、色々なことがあった。

 まず、チームでは全員が名前で呼びあうという規則みたいなのができた。

 というのも、紗奈だけ名字呼びというのは他人行儀な気がするという美穂の一言があったからなのだが。

 あとは、チームの連携。

 4人になって、様々な陣形を試してみた。

 例えば、晃太が最前線に出て、モンスターに出くわしたら真っ先に攻撃、その後ろの俺と紗奈が攻撃を援護、美穂が後方で回復や防御のサポートっていう陣形だったり、他には紗奈が最前線に出て、俺が後方で美穂のサポートと一緒に援護する陣形だったりと。

 最終的には、さっきみたいに俺と晃太が前で引きつけ役兼アタッカー、後方では美穂がサポートして、紗奈は同じく後方から攻撃を仕掛けたり、モンスターを一発で仕留めるために魔力を温存したり練ったりするという陣形で固まった。

 これなら、自分たちのランクに見合うダンジョンであれば大事に至ることはないはずだ。

 ……だが、そんなことよりも俺のなかでは重要な事態がこのゴールデンウイーク前に起きていた。


「いやー、今日も良い感じだったなー」

「そうだね、もしかしたらこのチーム、最高のチームなんじゃない?」

「くっくっく……最高のチーム、否! 我がチームは最強! 魔王ですら怯えるパーティになるであろう」

「魔王も怯えるチームか……いいなそれ!」

「そ、そうだね……」


 この中二病の扱い方に少しずつ慣れていっていってるこの面々。

 まあ、魔王云々は置いといて良いチームというのはその通りだなと我ながら思う。


「そ、そう言えば、あともうちょっとで体育祭だね」


 その時だった。

 美穂が、現在一番俺のなかで話題出されたくないものランキング一位の話題を持ちかけてきやがった。


「そっか、ゴールデンウイークでずっとダンジョン続きだったから忘れかけてたけど、あと二週間後か」

「くっくっく……今回の祭、我が白組の優勝に違いない……。何故なら、我、美穂、晃太の三人が白組なのだからな!」


………………。

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