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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第1章 出逢いと始まり ―動き出す物語―
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6.中二病でも謝りたい!④ よろしく

▷▷日向 南


 ポキポキッ―――


 教室で美穂たちを待つ間、スマホでゲームをしているとメッセージの通知が来る。



神崎美穂:今から教室戻るね!



 お、やっとか。

 通知と一緒に来た猫のグッドポーズをしたスタンプを見る限り、上手くいったぽいな。

 俺は「りょ」と返信してやっていたゲームをやめてスマホをポケットにしまった。

 それから少し待っていると、教室のドアが開き美穂と晃太と福山の3人が中に入ってきた。


「南。福山さん、チームに入ってくれるって!」


 美穂は教室に入ってくるなり、俺にそう言ってにこにことしていた。


「そっか……」


 まあ、美穂からメッセージが来た時点でそうだろうと感じていたけど、やけにあっさり入ってくれたな。

 この中二病全開の福山のことだから、てっきり何か条件でも付けてくるのかと思っていたが……。


「何か反応薄くね? もうちょっと喜んだりとかさ」

「ああ、悪い悪い。いや、福山に入ってくれてありがたいし嬉しいんだけど、何かあっさり入ってくれたから拍子抜けしてたわ」

「……む、それはどういう意味だ?」


 俺の発言に引っ掛かったような顔をする福山。


「てっきり福山のことだから、『ふっふっふ…いいだろう。ただし、条件がある』的なめんどくさそうなこと言うかなーって思ってたからさ。こっちから誘っておいて言うのもあれだけど」

「貴様……私を何だと思っているのだ…?」


 心外だと言わんばかりの表情の福山。

 そこに俺はただ一言、


「中二病」


と返した。


「くっ……ちっ、違う……わなくはないとも言い切れないかもしれなくもないが……」


 途中から段々と小声になっていき、ごにょごにょと何か言う福山。

 ……さすがに多少なりとも自覚はあるのか。


「はいはい一旦そこまで。南、福山さんが南に言いたいことあるんだって」


 俺と福山のやりとりを見ていた美穂が、話が長引きそうになる前に俺にそう言ってきた。


「話?」


 福山の方を見ると、福山は若干視線をずらしてこくりと頷いた。

 俺は、福山の方を向いたまま福山が話しだすのを待つ。


「…………」

「………………………あの、ずっと謝りたくて」


 いきなり普通の喋り方になった。

 多分、これが素の福山なのだろう。

 俺は、そこにつっこむのも野暮だと思ったので、そこはスルーして話を切り返した。


「謝る?」

「………うん。その、レクリエーションのとき……舞い上がちゃって上級魔法を打ちかけたこと……。結果的には六花先生が魔法放つ前に止めに入ってくれたけど、それでも危険な目に合わせたことがすごい申し訳なくて……それに……」


 そこで福山は言葉を区切る。


「それに……何?」

「うん……。それに、その後も何回か謝ろうと思ったんだけど、視線が合う度に色々怖くて逃げちゃって……それで日向君に嫌な思いさせたかもしれないから、そのことを謝りたかったんです……。本当にごめんなさい」


 福山はそう言って頭を下げた。

 本当に申し訳なさそうな声で。


「あ、ああ……」


 ……何というか、正直に言うと色々と驚いている。


 まず、あれだけ強気で頭がおかしいんじゃないかと思うくらい中二病全開だったのが、素は気弱な感じということである。

 そして、俺と視線が合う度に逃げていたのは謝るタイミングを伺っていたということ。

 何か逃げ方がそういう感じじゃなかったからてっきりただ避けられているだけかと思っていたが……。

 まあ、話を聞いていると、辻褄も合わなくはないし本当のことなのだろう。


「……いいよ。確かに、あの時は身の危険感じたけど別にそこまで気にしちゃいないし。それに避けられてたのが嫌われてたとかって理由じゃないのがわかったし」


 ま、そもそも嫌われてたらこのチームに入らないだろうし。


「……ん? でも、視線が合ったら話しかけるチャンスの気もするけど……」


 思わずボソッとそう呟く。

 でもまあ、これも人それぞれだから一概にはそうとは言えないけど。

 福山は少し沈黙した後、申し訳なさそうに話し始めた。


「……その……目が合う度に…日向君の目付きがちょっと怖くて……それで……ごめんなさい…」

「…………」


 晃太の言う通りだった……だと?

 俺ってそんなに目付き悪いのかな……。


「ま、まあいいや。避けれてるわけじゃないってわかったし。とにかく、これからよろしくな」

「う、うん……よろしく…」


  俺が手を出すと、福山は少し恥ずかしそうにしながら手を出して握手した。

 ……何となく握手求めたけど、何かこっちまで照れ臭くなってくるな。


 こうして、チームは俺、晃太、美穂、福山という4人組になった。

 これからまた仲間を増やすのか、それともこの4人でずっと行くのか、それはまだわからないが、しばらくはこの4人でのチームで行くであろう。

 はてさて、これからどうなっていくのか。

 多少……いや、かなりの不安要素があるが、それも冒険者としての醍醐味の一つだ。

 これからが楽しみである。

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