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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第1章 出逢いと始まり ―動き出す物語―
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6.中二病でも謝りたい!② ―determination girl―

▷▷福山 紗奈


 またやってしまった……。

 びっくりしちゃって思わず中庭に逃げてきたけど……。


「……はあ」


 せっかく日向君にこの間のこと謝る絶好のチャンスだったのに。

 ……こうなったら、我が禁じられし力を使ってレクリエーションまで時を巻き戻すしかないか………じゃなくて!

 大丈夫……落ち着け私。

 我が名はシャイニングダーク。

 光と闇を統べる最強の存在。

 一般人ごときに我が過ちを謝ることなど朝飯前!


 ぐう―――


 ……まずは朝飯前の前にお昼ご飯食べよう。




▷▷日向 南


 5限目、体育の時間。

 今日は体育館で体力テストを行うらしい。

 握力・長座対前屈・ハンドボール投げ・反復横跳び・立ち幅跳び・上体起こしとあるが、やる順番はどれからでもいいので、ある程度なら自由に行動できる。

 そして、俺らのクラスの体育は基本的にはⅡ組と合同+男女合同だ。

 さっき美穂はこう言っていた。


『じゃあ、体育の時にまずは様子見ながら話しかけてみる』


 つまり、美穂が福山に話しかける様子を見ることができるのだ。


「南」

「あ? ……晃太か」

「美穂、うまくいくと思うか?」

「どうだろうな。ま、様子は見るつもりだったけど」

「ていうか、俺まだ福山さんがどういう人かわかってないんだけど」

「中二病」

「……中二病?」

「見てればわかるさ。ま、美穂なら同じ女子同士だし話しするくらいできるだろ。俺たちはとりあえず見てるだけにしとこうぜ」

「そうだな。中二病ってのは気になるところだけど」


 俺と晃太はそんな会話をした後、それぞれ同じクラスのやつと体力テストに取り組み始めた。

 男子二人が揃って女子のこと見てたらあれだしな。




「―――南、握力どうだった?」

「右50の左48。学は?」

「まじか。俺は右40の左37だったんだけど」

「……へ」

「その勝ち誇った顔やめてくんない? なんかムカつく」

「そういうなって。冗談だよ。で、次どうする?」

「そうだな……。長座対前屈にするか」

「おっけー」


 俺と学は握力のところを離れて長座対前屈が行われている場所へと向かう。


「……ん?」


 ふと、横を見ると福山が俺を見ていた。

 が、俺と視線が合うと、即座に視線を反らされた。

 ……まじで何なんだあいつ。




▷▷福山 紗奈


 あーもう!

 私のバカ!

 何で視線すぐ反らしちゃうの!

 これじゃ、まるで私が日向君のこと嫌ってるみたいじゃ……ってあれ、逆に考えればもしかして私が日向君に嫌われてる可能性も……!


 いや……大丈夫だ。

 落ち着け私……。

 まだ、軽い組手なのにも関わらずテンションが上がって思わず上級魔法ぶっぱなしかけたのと、謝る隙を伺うためにずっと日向君を見てたら、視線が合って反らしてしまったっていうのが何回かあっただけ。


 まだ大丈夫……。

 ……あれ、これって大丈夫じゃなくない?

 普通に嫌われてる可能性高くない?

 もし、話しかけたとしても―――


『ああ? 何だお前? 俺に話しかけてくんじゃねえ!』


 とか言われるかも……。

 あの少し怖い目付きで……。

 あれ?

 もしかしてだいじょばないんじゃ……。

 こうなったら、我が禁断の力で今までのことをなかったことにするしか……じゃなくて。

 えーと……。


「福山さん!」

「ひゃい!?」


 考えすぎて頭がパンクしそうなところ、いきなり名前を呼ばれたので変な返事をしてしまう。

 振り返ると、Ⅰ組の有名人で、日向君とチームを組んだらしい神崎さんだった。


「な、何用!?」


 そう言うと、神崎さんは少し首をかしげた後、こう訊ねてきた。


「福山さん、今日の放課後って予定空いてる?」

「……くっくっく、今日の放課後か……。一時(ひととき)だけなら大丈夫だ。何せ、今日は魔物狩りに行かねばならぬのでな……」


 くっ……!

 また嘘をついてしまった!

 モンスター狩りなんて一人でなんか行きたくないし、そもそも一緒に行く人もいないのに!


「魔物狩り? ……まあいいや。じゃあ、放課後屋上に来てくれる? 時間取らせないからさ」

「……何用かはわからぬが良かろう。屋上でいいのだな……」

「うん! ありがとね、福山さん。じゃ、また後で」


 神崎さんはそう言うと、どこかへと行ってしまった。


 な……何だろう。

 神崎さんとはまだ話したことすらないのに……。

 私と接点あるところもない……はっ!

 ま、まさか、日向君が私のことを同じチームである神崎さんに話してそれで……。


『悪いんだけど、あなたのことでうちの南が迷惑してるからやめてくれない?』


 ということでは!?

 もしそうだったら、どうしよう……。

 いや、もしそうだったら、我が光と闇の魔法をぶっぱなして……じゃなくて!

 く……行くと言った以上、バックレたらまた違う意味で怖いし……。

 しょうがない……。

 覚悟を決めて行くしかない。


「……よし!」

「おい福山! ボーッとしてないで何かやれ!」

「ひゃう!?」


 私が決意を固めていると、体育の先生に注意されてしまった。

 ちょっと今ので決意揺らいだかも……。

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