6.中二病でも謝りたい!① ―escape girl―
―――福山紗奈をチームに入れたい。
美穂がそう言ってから数日が経ち、俺はずっとそのことを考えていた。
別に福山が嫌いとかそういうのではないのだが、正直言って俺からは話しかけづらい。
理由は単純。
彼女が中二病だからである。
最近のラノベやアニメなどでは、一時期中二病キャラが流行ったからなのか登場してきてもそれが1つのテンプレと化しているため、視聴者や読者は出てきてもそこまで驚かないし、作中のキャラクターたちも話の都合上……もとい順能力の高さゆえかそれを簡単に受け入れてしまうことが多い。
しかし、現実における中二病というのは、見ていると何だか見ているこっちが恥ずかしくなるし、何よりめんどくさい言い回しの仕方をしてくるのでちょっと何言ってるかわからない状態がちょくちょくある。
しかし、かと言って福山を誘うのは正直反対というわけでもない。
実際に俺は経験したのでよくわかるのだが、福山の操る光と闇属性の魔法は強力なもので、そもそもこの2つの属性魔法自体扱える人が少ない。
できるなら、一緒にチームを組んでみたいというのが俺の考えである。
―――キーンコーンカーンコーン―――
と、そんなことを考えているうちにチャイムが4限の終わりを告げる。
昼休みになり、教室がガヤガヤする中、俺は福山に話しかける決意をする。
善は急げ、凶も急げだ!
「なあ福山、少し話しがあるんだが……」
俺は後ろの席へと振り返り、金髪童顔少女の福山に話しかけた。
すると、弁当が楽しみだったのか、にこにこしながら弁当を広げようとしていたのだが。
「…………え?」
俺が話しかけてきたというのを確認すると一瞬だけフリーズし、そして。
「あ、わ……」
「わ……?」
「わ、我を呼んでる声がする! だ、誰かが助けを求めているかも知れぬ! 急がねば!」
そう言って、そそくさと席を立ち上がって教室を出ていってしまった。
……しっかりと弁当を右手に持って。
「逃げられた……」
「ははっ、南、福山さんに避けられてんな」
一部始終を見ていたのか、学がそう言って笑う。
「南、何か福山さんにやったのか?」
「何もしてねえよ……。レクリエーションの時以来まともに関わってないし」
というか、むしろ俺がやられかけたんだけどな。
「ま、ドンマイだな。そういや、今日は神崎さんたちとご飯食べるのか?」
「いや」
「じゃあ一緒に食おうぜ」
「おう」
そう言って、弁当を取り出すとスマホがブーと震える。
神崎美穂:屋上集合
スマホの画面を見ると、俺と晃太と美穂のグループラインにそう表示されていた。
「…………」
美穂の席に視線を向けると、こっちも俺と福山のやり取りを見ていたのか、俺に無言で半目で視線を送っていた。
「はあ……」
「―――南、福山さんに何かやったの?」
屋上。
弁当を食べている俺に、美穂が先程と同じ視線で学と同じことを聞いてきた。
「だから何もやってないって」
「あれじゃね? 南の目付きが怖くて思わず逃げたとか」
「あ?」
「そう、その目」
「うーん、確かにそれは一理あるかも……」
「おい」
俺ってそんなに目付き怖いのか?
ちょっと傷つくぞ。
「そんなこと言うなら美穂が行けよ。女子同士の方が話しやすいだろ。なのに俺に頼むとか……」
「だって、南と福山さんの席前後だし、レクリエーションの相手同士だったから話しかけやすいのかなって思ったんだもん」
「ま、いいじゃねえか。美穂、頑張れよ」
こいつはまた他人事みたいに言いやがって……。
そんなわけで、福山をチームに誘うという任務は俺から美穂にバトンタッチされたのであった。
……そう言えば、俺たちは福山がまだ誰ともチームを組んでないこと前提で動いてるところあるけど、もし福山が既に他の誰かとチームを組んでたらどうするんだろ…。




