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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第1章 出逢いと始まり ―動き出す物語―
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EXTRA① ダンジョンと自然環境

 初クエストを終えた夜、俺と晃太と美穂は師匠の奢りで焼肉屋に来ていた。


「そういえば……何でビッグマウスは元々棲んでいたダンジョンから白林山に移住してきたんだろ?」


 カルビの焼き面をひっくり返した後、美穂が疑問を投げかける。


「あー。確かに何でだろ。うーん……あの数だったし、増えすぎて元々棲んでいたところがきつくなったからとか?」

「それはどうだろうな。ビッグマウスの棲み処というか、生息してるダンジョンってあの辺だったら石牙(いしが)の洞窟だったはず。あそこって確かマップがかなり広いらしいし、窮屈になるっていうのは考えにくいと思うけど」


 俺はそう言って、焼き上がっていたカルビにたれを浸けて、ご飯と一緒に頬張る。

 ……うめえ。


「お、結構いい線行ってるな南」


 師匠はそう言って冷麺を啜る。


「え? 師匠原因知ってんの?」

「ああ。……モンスターは通常、ダンジョンから溢れるマナが元になって生まれるのは知ってるよな?」

「もちろん」

「だから、モンスターは生殖機能を持たないのが普通とされている」

「でも、ビッグマウスとかって……」

「そう、ビッグマウスとかロックドッグみたいな群れをなす一部のモンスターは、生殖機能を持っていて、自分たちで数を増やすことができる」

「だから知ってるって。というか、奢ってもらっといて言うのもあれだけど、飯食べてる時に生殖の話とかすんなよ」

「最初にこの話しだしたのお前らだろうが」

「うっ……ごめんなさい……」


 師匠の返しにこの話のきっかけとなった美穂が箸を片手に謝る。


「あっ悪い。別に美穂ちゃん責めてるわけじゃないんだ」

「……おい南。やっぱりこの男美穂に甘いぞ」

「そうだな。やっぱりフェミニストなんじゃねーか?」

「おいこら、聞こえてんぞてめえら」


 師匠はそう言うと、「はあ」と一息ついた後、続きを話し始めた。


「まあいいや。でだ、ビッグマウスは自分たちで数を増やせるわけだが、そこで問題になってくるのがダンジョン内の環境だ」

「環境?」


 晃太が自分の冷麺を食べながら聞き返す。


「お待たせしましたー。こちら、ラムとホルモン、それとハラミです」


 すると、そのタイミングで店員が頼んでいた追加の肉を持ってきた。

 店員は、肉の乗った皿をテーブルに置くと、空いた皿を片付けた後、「失礼します」と言って下がっていった。


 俺が早速来た肉を焼き始めると、それとほぼ同じタイミングで師匠が続きを話し始めた。


「……で、ビッグマウスは増えても棲み処には困らなかったが、問題は食糧にあった。白林山とそのふもと周辺見たからわかると思うけど、あいつら、石牙の洞窟とその周りの植物や小動物なんかを食いまくったらしいんだ」

「ああ、それで食べるものが無くなって移住してきたとか?」


 晃太がそう言うと、師匠は首を横に振る。


「まあ、いずれにしても後々はそうなっていただろうが、今回は違う」

「違うってことは他に何かあったってことですか?」

「ああ。ま、前振りが長くなったが、簡単に言えば石牙の洞窟に新たにガンマングースが生息するようになったのが原因だ」

「ガンマングースって、腕に銃口みたいなの付いててそこから石の礫飛ばしてくるやつだよな? 確か」

「そうそう。晃太、よく知ってるな」

「まあ、モンスターがどういう種類いるかぐらいは覚えておかないとな」


 晃太はそう言うと、焼き上がったホルモンを取って口に放り込む。

 ガンマングースとは、体長1メートルくらい、視力がすごい良いらしく、両腕に付いている銃口から石の礫を弾丸の如く発射させ、敵に確実に命中させると言われるマングース型のモンスターである。

 名前の由来は、岩+ガンマン+マングースというそのままの名前である。

 ちなみに、ビッグマウスの名前の由来は、図体と口が大きいというところから、big+mouse(mouth)という何ともダジャレじみたところから来ているらしい。


「ガンマングースはビッグマウスの天敵に当たるやつだ。だから、ビッグマウスが環境を荒らさないように、ガンマングースが出現したってわけだ。ガンマングースの石礫(いしつぶて)はビッグマウスの自慢の前歯を一撃で砕くからな。ビッグマウスたちはたまらず逃げたんだろ」

「へえ、そういうことだったんですね」

「……大自然の摂理」

「ま、そういうことだ。だから、多分また周辺ダンジョンのモンスターの生息環境も若干変わるかもな」


 俺が今言った大自然の摂理とは、自然環境が大きく荒らされるような状況になった時、ダンジョンなどに集まっているマナが、環境を保護または改善するためにモンスターを生成したり、失われた自然環境を回復させたりする現象のことである。

 この大自然の摂理が起きるのはそう珍しいことでもなく、師匠が言ったようにモンスターの生息環境が変わるというのもざらなのだ。


「そう言えばお前ら、チーム組んだのは良いけど、ずっとその3人でやっていくのか?」

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