5.初クエスト! ビッグマウスを討伐せよ!⑤
師匠がジャイアントマウスを睨み付けると、ジャイアントマウスはその威圧に気圧され、一歩後ずさる。
そして、自分が掘り進んできた穴に目掛けて走り始める。
「逃がさねえよ」
師匠は、手元から先端に鉛が着いた黒い鎖をジャイアントマウスに向かって放り、鎖をジャイアントマウスの胴体に巻き付け、ジャイアントマウスの動きを止めにかかる。
「ジャッ!?」
動きを止められたジャイアントマウスは、勢い余って仰向けに転び、巻き付けられた鎖によって上手く動けずにいる。
「今だ! やれ!」
「よっしゃ! 俺がやってやる!」
師匠が号令すると、晃太がジャイアントマウスに止めを刺すために、晃太が攻撃の準備に入る。
「“エアロブースト”」
が、俺は“エアロブースト”で晃太より早くジャイアントマウスの元へ高速で向かった。
「ちょ、南!?」
晃太には悪いけど、俺に止めを刺させてもらうぜ。
「“メテオストライク”!」
俺は“エアロブースト”の勢いそのままに、右足に集中させた高密度の紅蓮の炎の波動を纏い、ライダーキックばりにジャイアントマウスのエナジーコアに蹴りを喰らわせた。
「ジャアアアアアアアアア……!」
“メテオストライク”が直撃したエナジーコアは一瞬で砕け散り、ジャイアントマウスは悲鳴をあげながら消滅していった。
「よし……!」
地面に着地してそれを確認した俺は、晃太に見せつけるように軽くガッツポーズをした。
「「よし……!」じゃねえよ!俺がやるって言ったのに……!」
すると、晃太がむくれて俺をジーっと見てくる。
「残念だったな晃太。早いもん勝ちだ」
「くそ、南ってこういうときはちゃっかり抜け駆けするよな。せっかく経験値稼げると思ったのに」
晃太はそう言って「ちぇー」とふてる。
「まあ、ビッグマウス倒して結構経験値稼げたから良いじゃねえか」
「それはそうだけど、南にだけは言われたくねえ」
さっきから俺たちが言っている経験値は、ゲームと同じようにモンスターを倒すことで稼ぐことのできるものである。
理屈としては、モンスターのエナジーコアを破壊すると、そのエナジーコアから放出されるマナが破壊したものに吸収される。
マナはアビリティを発動させる大元の力なので、これを吸収していくことで、体内のマナの許容量を増やしていき、自らのアビリティも強化していけるということである。
当然、倒すモンスターによっても経験値は変わってくるので、ビッグマウスとジャイアントマウスを倒した時の経験値は結構違う。
だからみんなして経験値というのだが、ゲームのようにどのくらい入ったかわかるということはないし、経験値が入ったという感覚があるわけでもないので、どのくらい自分のアビリティが強くなったというのは実践などで実感するしかないのである。
「お前ら、ジャイアントマウスも倒したことだし、依頼主とギルドにクエストクリアの報告してさっさと帰るぞ」
師匠は一息着いてから、ふもとへと歩き始めた。
「ちょ、待てよ師匠」
俺たちは、師匠の後に続くように歩く。
「帰ったらご飯奢りな」
「はあ? 何で俺が奢んなきゃいけねえんだよ」
「いきなり指示だけだして俺たちを置き去りにしたことと、油断してジャイアントマウスを逃がしかけたことへの俺たちに対する……何だろ? ……謝罪的な感じ?」
「何だその不安定な理由は」
「だってな、俺たち初クエストだったんだぜ。それなのに置いてけぼりにするのは……なあ?」
「なあ。こりゃ焼肉だろ」
「あはは……」
「うるせーな。どうにかなったんだから良いじゃねーか。さっきまで喧嘩しかけてたのにこういうときだけ息合わせてきやがって。見ろ、美穂ちゃんもどうしていいかわかんなくて苦笑いしてるじゃねーか」
俺たちは、こんな話をしながら山を降りていき、俺たちの初クエストは無事に終わりを迎えた。
ビッグマウスに荒らされたこの白林山は、ふもとに住んでいる人たちと、街の役員が協力して復興させて、元の自然に戻していくそうだ。
“討伐”クエスト«白林山に棲み着いたビッグマウスの群れ及びボスを討伐せよ!» CLEAR‼
討伐モンスター:ジャイアントマウス×1
:ビッグマウス×無数
報酬:¥100,000(服部¥40,000 日向¥20,000 結城¥20,000 神崎¥20,000)




