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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第1章 出逢いと始まり ―動き出す物語―
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5.初クエスト! ビッグマウスを討伐せよ!④

▷▷日向 南


「ふう……終わった」


 俺がレッドモードになってから、晃太の“変身(チェンジ)”、それに美穂の援護を加えて俺たちは何とか外にいたビッグマウスを全部倒した。


「あとは師匠が戻ってくるのを待つだけか」

「そうだな。まあ師匠のことだからすぐに戻ってくるとは思うけど」

「……ねえ、何か音聞こえない?」

「音?」

「うん。何かどこからか」


 美穂がそんなことを言うので、俺と晃太は耳を澄ませる。


 トトトトッ―――


「……確かに聞こえるな」

「そうだな、これ、何の音だろ?」


 俺たち3人は音の方向を探しながらさらに耳を澄ませる。


 ―――トトトトドドドドドドドッ―――


 音はどんどんと近づいてきてるのか、少しずつ大きくなっていく。


「何か、こっちに向かってきてない?」

「ああ」


 そして、音が近づいてくると、この音が地面から来てるものだと判明する。


「……地面(した)から来てるのか」


 地面からは振動のようなものが響いてきて、俺たちは少し警戒をし始めた。


「何か嫌な予感がするんですけど……」

「……奇遇だな。俺もだ」


 下から来る音の正体に嫌な予感を覚える俺と美穂。


「……来る!」


 晃太がそう言うと、地響きが大きくなり地面からけたたましい音が鳴ると同時に、砂ぼこりが間欠泉のように噴き出す。


「嫌な予感、的中……」


 砂ぼこりが晴れると、その中心にはビッグマウスより倍ほど大きい図体のネズミ、ビッグマウスたちを率いる群れのボス、ジャイアントマウスがいた。


「師匠、やりやがったな…」


 ジャイアントマウスの胴体に手裏剣が刺さっているところから、このジャイアントマウスは師匠と一戦交えたということがわかる。

 そして、今ここにいるということは、師匠がジャイアントマウスにやられるというのはほぼありえないことなので、師匠がうっかりこのジャイアントマウスを逃がしてしまったということが予測できるのだ。

 ジャイアントマウスは、息を切らしながらも俺たちのことを警戒し様子を窺っている。


「ジャルルル……!」

「どうするの、南?」

「どうするもこうするもやるしかないだろ。最低でも師匠が来るまでには持ちこたえないとな」

「その必要はないぜ!」

「って師匠!」


 ジャイアントマウスが逃げないように警戒していると、噂を聞きつけたかのように師匠がすぐ戻ってきた。


「……ッジャアアア!」


 ジャイアントマウスは、師匠の姿を見かけると警戒心を強めると同時に少し怯えた様子を見せる。

 きっと、師匠と一戦交えた時に師匠を自分よりも圧倒的に格上だと判断しているのかもしれない。


「さーて、さっきは少し油断して逃がしちまったが、今度は逃がさねえぜ」


 師匠は拳をパキポキと鳴らし、ジャイアントマウスに近づいていく。


「グッ……キシャアアアアアアアアアアア!!!」


 すると、ジャイアントマウスは甲高い雄叫びを周囲に響き渡らせた。

 思わず師匠以外の俺たち3人は耳を塞ぎ、その場で硬直した。


「ちっ……!」


 俺には聞こえなかったが、口の動きから舌打ちしたであろう師匠がクナイをジャイアントマウスに向かって投げた。

 しかし、ジャイアントマウスは自慢の前歯でクナイを弾き飛ばす。


「くそ、面倒なことしやがって……!」


 ジャイアントマウスが雄叫びを上げ終わると、周囲の木々の間からがさがさと何かがやってくる。


「おいおい……冗談じゃねえぞ」


 その何かの正体は恐らく巣の外に出払っていたのであろうビッグマウスたちがわらわらと俺たちを囲むように姿を現した。


「嘘……まだこんなにいたの?」

「はっはっはっ、こりゃピンチだな」


 ビッグマウスが俺たちを囲むように群がる様子を見て驚愕している美穂と、ピンチとわかっていながらも笑っている晃太。


「燃えるぜこれは!」


 もう大分付き合いが長いからわかるが、晃太は逆境になればなるほど笑い、そして闘志を燃やす奴である。

 端から見れば、おかしい奴に見えるだろうが、俺からすれば晃太が笑っているのを見ると、平常運転であることが確認できるので安心できるのだ。


「ねえ、何で晃太あんなに笑ってんの? 意味わかんないんだけど……」


 晃太をおかしい人を見るかのような目付きで見ながら俺にそう言う美穂。


「その内わかるようになるさ。それより、こいつらをさっさとどうにか―――」


 そこまで言いかけた時だった。


「雷遁! “雷乱舞(かみなりらんぶ)”の術!」


 師匠がいつの間にか印を結び終わっており、術を発動する。

 “雷乱舞”の術は、上空から無数の落雷を落とす忍術である。


「「「ジャアアアアアアアアア!!!!!!」」」


 “雷乱舞”は、ビッグマウスにことごとく命中していき、次々とビッグマウスは消滅していく。そして……


「すごい……一瞬であの数を倒すなんて……」


 ジャイアントマウスが呼び寄せたビッグマウスたちは一匹残らず倒され、その様子を見ていた美穂がぽかんとしている。


「何だよ、せっかくやる気でてたのに」


 晃太はビッグマウスが一掃されたのを見て、少し残念そうにしている。


「フシュウウウ……」


「お……耐えたのか。中々やるなお前」


 ビッグマウスが一掃される中、ジャイアントマウスも“雷乱舞”の術を直撃で受けていたのだが、ギリギリのところで耐えていた。


「けど、今度こそ終わりだ……!」

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