5.初クエスト! ビッグマウスを討伐せよ!②
爆発から少し間が空いたあと、穴の中から甲高い鳴き声が聞こえたと思ったら、煙とともに大量のビッグマウスがご登場してきた。
ビッグマウスは名前の通り、体長が1メートル程の黒い体毛のネズミ型のモンスターである。
頬まで裂けたように広がった大きな口の中には尖った牙が生え揃っていて、特に一際大きい前歯には要注意である。
「うわっ! 気持ち悪っ!」
ビッグマウスの群れを見て気持ち悪がる美穂。
気持ちはわからんでもない。
「俺はボスを片付けるからお前らは雑魚の相手頼むぞ」
師匠はそう言ってビッグマウスの群れへと突っ込んでいった。
ビッグマウスは師匠のスピードに目が追い付いていないのか、攻撃できずにいる。
「雑魚の相手って……。俺たちにとっては雑魚じゃないんだけどな……」
辺りを見回すと、ビッグマウス、ビッグマウス、ビッグマウスだ。
数えるのもめんどくさい。
「ま、やるしかないし、さっさとやっちゃおうぜ!」
晃太は、手のひらから魔法陣を展開して既に魔法を放つ準備をしている。
「……だな。けど、ビッグマウス相手に近接戦闘だとあの牙が厄介だ。遠距離攻撃中心で行くぞ!」
「りょーかい!」
「わかった!」
晃太と美穂が、返事をすると、俺たちのことを警戒して様子を探っていたビッグマウスが襲いかかってきた。
「“疾風波”!」
俺は両手で“疾風波”を放ち、ビッグマウスたちの動きを止めにかかる。
ビッグマウスたちは“疾風波”に煽られて、飛ばされないように足と尻尾を使って踏ん張っていた。
「ジャアアアアアアアアア!!!」
すると、“疾風波”に煽られていない後ろの方のビッグマウスたちが高く飛び上がって、尖った前歯を光らせて襲いかかってきた。
「熱き斬撃よ。敵を焼き払え、“ファイアスラッシュ”!」
晃太はすかさず飛びかかってきたビッグマウスたちに、炎属性の三日月の形をした斬撃を複数飛ばし命中させていく。
「ジャアア!」
“ファイアスラッシュ”が命中したビッグマウスが地面に落下していく中、斬撃を避けたビッグマウスが3匹程、前歯を向けてくる。
「“プロテクト”!!」
しかし、美穂が防御魔法でビッグマウスたちの前歯の攻撃を弾く。
攻撃を弾かれたビッグマウスたちは、その反動で後ろにのけ反った。
「“風手裏剣”!」
俺はその隙に、計3発の風手裏剣を放ちビッグマウスの眉間辺りのエナジーコアに命中させた。
すると、エナジーコアにヒビが入りそのまま砕け散り、ビッグマウスたちの身体は黒いもやのようになって消え去った。
しかし、飛びかかってきたビッグマウスを仕留めるために放っていた“疾風波”で動きを止めていた大量のビッグマウスがこちらに向かってくる。
「“噴火鉄拳”!」
ビッグマウスの群れの正面に向かって、拳から炎を噴き出して攻撃する“噴火鉄拳”を放つと、先頭付近のビッグマウスには命中し、何匹かは倒したものの、後ろの方のビッグマウスたちは左右に回避し、そのまま突っ込んできた。
くそ、避けきれないか!
「“プロテクト”!」
ビッグマウスを迎え撃とうとすると、再び美穂の“プロテクト”が前方に展開され、攻撃をガードできた―――かに思われたが。
「ジャッ!」
ビッグマウスたちは、“プロテクト”に当たる直前で左右に別れて、俺たちの真横から攻撃を仕掛けてきた。
「晃太! 左の方のビッグマウス頼む!」
「りょーかい!」
晃太は詠唱を唱え、左方向のビッグマウスを迎え撃つ準備を始める。
「“疾風波”!」
そして俺は、右方向から攻撃をしてきたビッグマウスたちを“疾風波”で吹き飛ばす。
が、またしてもビッグマウスたちは足と尻尾で地面で踏ん張り、飛ばされないようにしている。
「美穂、俺が抑えてるうちに攻撃だ!」
「おっけー! “サンダーアロー”!」
美穂はビッグマウス目掛けて“サンダーアロー”を放ち、全てビッグマウスのエナジーコアに命中させて倒した。
「“フレイムアロー”!」
そして、晃太も“フレイムアロー”を放って、ビッグマウスに命中させる。
しかし、1発攻撃を外しビッグマウスが晃太目掛けて襲いかかってくる。
「“風手裏剣”!」
そこを俺がすぐに反応して“風手裏剣”をビッグマウスのエナジーコアに当てて倒す。
「ふう、サンキュー南」
「ああ」
魔法はこういうときに不利で、攻撃を交わされてすぐに反撃されると、超高速詠唱で魔法をぶっぱなすか、美穂みたいに詠唱破棄でも使えない限りはきつい状況になる。
「……で、あと何体くらいいるんだ?これ」
今のでそこそこの数は倒したはずだが、まだ巣の穴の付近にはビッグマウスがじゃらじゃらといる。
「ちょっとこれは大変かも……というか気持ち悪いんですけど」
「まあまあ、頑張ろうぜ二人とも!」
「……あとで報酬の他に師匠の奢り決定だな。俺たちを置いて行った罰として」
「お、いいなそれ!」
俺の呟きに晃太が賛同し、美穂はビッグマウスの群れを気持ち悪がりながら悪くないなみたいな顔をしている。
「そんじゃあもういっちょ頑張るか」
俺は気合いを入れ直して、さっさと終わらせるためにレッドモードになった。




