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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第1章 出逢いと始まり ―動き出す物語―
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5.初クエスト! ビッグマウスを討伐せよ!①

“討伐”クエスト【白林山(はくりんやま)に棲み着いたビッグマウスの群れ及びボスを討伐せよ!】

  ○クエストランク〈C+〉

  ○場所:白林山

  ○報酬:¥100,000(手数料:¥5,000)


 最近、近くのダンジョンから移り棲んだと思われるビッグマウスが、山のふもとに現れては農作物や住民のペットなどを餌にして食い荒らしたり、挙げ句の果てには住民も襲われることもあり、大変困っております。ビッグマウスの数は不特定ですがかなりの数だと思われますが、よろしくお願いします。

 翌日の土曜日の朝。

 俺と晃太と美穂、そして師匠は街の外れにある白林山のふもとへと来ていた。

 事前にクエスト内容は聞いていたのだが……。


「クエストランクC+って…。師匠はともかく俺たちで大丈夫なのかよ?」

「大丈夫だ。この+の要素は群れのボスとビッグマウスの数が特定できてないってところだから。ビッグマウス自体の強さはDクラスだし、お前らなら問題ないだろ。それに、冒険者ランクAの俺もいるし何の心配があるってんだよ?」


 ケロッと平気な顔でそういう師匠。

 師匠はクエストに慣れてるし、上級冒険者だから余裕だろうけど、俺たちは初クエストに加えて不特定多数のビッグマウスの討伐。

 そりゃ、心配事多いっての。


「それにしても……酷い荒らされようだな」

「うん……そうだね……」


 辺りを見渡しながらそう言う晃太と美穂。

 晃太の言うとおり、畑や田んぼの農作物はかなり荒らされた形跡があり、食いちぎった後や、食い散らかしたような痕跡、そして、道路には血痕のような跡も残っていた。


「ビッグマウスは雑食系のモンスターだ。あいつら、ホントに何でも自分の餌にするからな。幸い、人の死亡者はまだ出ちゃいないが、ビッグマウスに襲われて怪我を負った人も何人かいるらしくてな、重症で入院してる人もいるって話だ」

「まじかよ…」

「だから、これ以上被害を拡大させないためにもさっさと終わらせるぞ」


 こうして、俺たちはビッグマウスを討伐するため、山の中へと入っていった。

 白林山は、その名の通り、幹の色が白い木が生えている山で、秋になると、その白い幹と紅葉に染まった葉の組み合わせが美しく、多くの人がその景色を見に来るらしい。


「……うへえ、山の中も酷いな…」

「ま、山の中の食料が無くなって人里に降りてきたってんならこんなもんだろ」


 しかし、山の中はふもとより酷く荒らされていて、植物らしきものは全くと言っていい程食い尽くされていた。

 そのせいか、動物のいるような気配は一切感じられず、木の幹や地面などには動物の血痕らしき跡が残っていた。


「ビッグマウスは基本的には夜行性。だから、日が当たらない洞窟みたいなところに巣を作っているはずだ。お前ら、それらしきもの見つけたら教えてくれよ」

「了解」

「へーい」

「わかりました」


 こうして俺たちは、山の中をぐるぐるとしながらビッグマウスの巣のありそうな場所をひたすらと探し始めた。


「……ここに元々棲んでいた動物たちって全部食べられちゃったのかな……?」

「それはないと思うぜ。動物たちだってバカじゃない。多分、生き残っていた動物たちは近くの山なんかに移動したんだろ。ビッグマウスがこの山からいなくなってある程度植物なんかも元に戻ってきたら動物たちも帰ってくると思うぜ」

「だといいんですけど……」

「ま、今はビッグマウスをどうにかするのが先決だ。頼むぜ、美穂ちゃん」

「……はい!」


 前方を歩いている師匠と美穂が会話しているのを聞いていると、晃太が少し小声で話しかけてきた。


「……なあ南。師匠ってなんか美穂に対して優しくね? 俺たちの時の接し方と全然違うんだけど」

「そりゃ、知り合ったばっかだし、女子だし俺たちとは接し方違うだろ。むしろ、最初から俺たちと同じ接し方してたらただの馴れ馴れしいやつだろ」

「まあ、そうなんだけどさ。あれだよな。前から思ってたんだけど、師匠って女子に対して甘いとこあるじゃん。ほら、昨日の水瀬さんの時だって」

「あー、確かに一理あるな」


 ま、男なら女に対して甘くなるのはある意味普通っちゃ普通だけどな。

 師匠の普段の俺たちに対する接し方見てると余計にそう感じるのかも……ってあれ?


「ちょ、師匠」


 ふと横を見ると、あるものが見えたので師匠を呼ぶ。


「あ? どうした南」

「あれ、ビッグマウスの足跡じゃね?」


 俺が指差した方には、直径15センチくらいの足跡があった。


「……確かにビッグマウスの足跡だな。しかも割と新しいときた」

「ってことは」

「あっちの方に巣がある可能性があるな。行ってみるぞ」


 俺たちは師匠を先頭にして、ビッグマウスの足跡が進んでいる方向へと歩き始めた。

 そしてしばらく進むと、木の葉が生い茂って太陽の光が届きにくい薄暗い場所へと辿り着いた。


「おい、あそこ見ろ」


 師匠が指差した方向を見ると、薄暗くて少しわかりづらいが、直径3メートルの太さはある木の根っこ付近に穴が掘った後があり、その周辺はビッグマウスの足跡がたくさんついていた。


「あれがビッグマウスの巣か?」

「ああ。お前ら、戦闘準備しろ。今からビッグマウスを巣から追い出す」


 師匠がそう言うと、すぐに俺と晃太はいつでも戦えるように戦闘体勢に入る。


「あの、追い出すってどうやって……?」


 美穂も戦闘できるように体勢を整えるが、どうやって追い出すのか師匠に訊ねる。


「それは……こうするんだよ!」


 師匠は、腰の道具入れから野球ボールくらいの黒い球体を取り出して、それを穴の中へと投げ入れる。


「爆」


 そして印を結んでそう唱えると、穴の中から爆発音が鳴り響き、地面が少し震えた。

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