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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第1章 出逢いと始まり ―動き出す物語―
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3.仲間⑥ そして放課後

 帰りのHRが終わった直後のことだった。

 帰る準備をしていると、ポケットのスマホがバイブを鳴らす。

 スマホを取り出すと、画面には師匠からの連絡が入っていた。



服部賢也:今日お前らギルドに来る予定あるか?



 師匠から連絡来るの珍しいな。

 俺はそう思いつつ、今日は行かないけど明日ならと返信する。



服部賢也:りょうかい。明日ギルドに来たら連絡くれ。できれば、美穂ちゃんも一緒に



 何だ? 昨日のことか?


 そんなことを考えつつ、俺は了解を示すスタンプを送ってスマホの画面を閉じた。

 まあ、明日行けばわかるだろう。


「…………ん?」


 帰ろうかとカバンを持って教室を出ようと席を立ち上がると、後ろから何となく視線を感じた。

 振り向いてみると、俺の後ろの席の人物、レクリエーションにて俺と試合をした福山紗奈がこちらを見つめていた。

 福山と視線が合うと、福山は慌てて視線を反らした後、そそくさと自分の荷物を持って教室を出ていってしまった。


 ……何なんだ一体?


 あれだけ中二病全開なのを恥ずかしげもなく晒しているいるから、俺にもし言いたいことあるならあの痛い言い回しで何かしらは言ってくるような気もするが……。


「ま、いいか……」

「何がいいんだ?」


 俺がボソッと呟いたのが聞こえたのか、帰る準備万端の学が聞いてきた。


「何でもない」

「そっか。じゃ、俺は帰るから。また明日な」

「おう、また明日」


 学はそう言って教室を出て帰っていった。

 さて、俺もそろそろ帰るかな。


「南ー」


 と、思ったところで今度は美穂が話しかけてきた。


「どうした?」

「今日はギルド行くの?」

「いや、今日は行かない。昨日の今日だし、身体休ませた方がいいだろ」


 昨日のダンジョンでの出来事、最終的には三人とも大した怪我にもならず、無事ではあったがそれでも今日は休んだ方がいいだろうという判断である。


「そっか。それならいいや。正直、今日行くのは少ししんどかったし」

「そういうわけだから俺は帰るけど」

「あ、ちょっと待って」


 美穂はそう言って自分のスマホを取り出した。


「連絡先、まだ交換してなかったよね」

「そう言えばそうだな」


 俺はポケットからスマホを再び取り出して自分の携帯番号の画面を表示させて美穂に見せた。


「俺の番号。ラインで教えるよりは確実だろ」


「…………おっけー。ありがとね」


 そして、俺の携帯番号を登録した美穂が、俺の電話にワン切りを入れる。


「それ、私の番号だから」

「おっけー」


 俺は着信された電話番号を神崎美穂と登録し、電話帳に加えた。


「あ、そうだ美穂、明日―――」

「南ー! 帰ってギルド行こうぜー!」


 そして、さっき師匠から来た連絡の件について、美穂に話しておこうとした瞬間、晃太が教室の前で呼び掛けてきた。

 あいつ、昨日この中で一番ダメージ受けて一番疲弊してたくせに一番元気だな。


「いや、今日行かないから」

「何だ、行かないのか……」

「さすがに昨日あんだけ疲弊したんだ。今日は休んだ方いいだろ」


 美穂に説明したときと同じように晃太に説明すると、晃太は少し考えてから、


「それもそうか」


 そう言ってにこっと笑った。


「ていうわけだから、今日は帰っ―――」

「じゃあさ、皆でマクド行こうぜ!」




 というわけで、俺は現在、晃太と美穂とマクドナレドというファストフード店に来ていた。

 俺は家でくつろぎたかったので普通に帰ろうとしたが、美穂が乗り気になってしまったので、仕方なくもまあいいやといった感じでここにいる。


「そう言えば、さっき教室で南、私に何か言いかけてなかったっけ?」


 バニラシェイクを飲みながら聞いてくる美穂。


「ああ、実は―――」


 俺は、さっき師匠からきた連絡について、俺の予想を踏まえながら美穂と晃太に説明した。


「―――なるほどね。私は明日空いてるから大丈夫だよ」

「俺ももちろん空いてるぜ」

「おっけー、じゃあ明日は学校終わったらギルドで決定な」


 美穂と晃太は「はーい」と言ってポテトを食べる。


「そういや、今日のレクリエーション、南の試合見てたけど凄かったな」

「晃太も見てたのか」

「俺だけじゃなくてその試合に関してはⅡ組もほとんど見てたぜ。光と闇の魔法使うやつがいるって」

「ねー、あれ凄かったよねー」

「その魔法を使ってる本人はかなり変わってるけどな…」

「南も凄いよね。昨日の時点で強いとは思ってたけど、普通にやりあってたもんね」

「先生が止めてなかったらヤバかったけどな」


 あの時、もし福山の魔法が発動されてたらどうなってたんだろうか。

 多分……というか確実に、無傷ではすまなかっただろうけど。


「そういや美穂、チームのメンバー女子で探すって言ってたのはどうだったんだ?」


 俺も美穂に言われた通り、女子の試合は特に見るようにしてたけど、正直に言って、あのアビリティ科のメンバーだったら誰でもいいと思った。

 良い意味で。

 さすがアビリティ科に入るだけあって、動きもいいし、アビリティも面白いのばかりである。


「ん? 何だそれ?」

「ああ、晃太には言ってなかったっけ。このチームに最低あともう一人女子メンバー入れないかって話を今日美穂から言われてさ。チームバランス的にもそっちの方がいいかなって」

「へー、良いじゃん!」


 晃太の予想通りの反応。

 こいつは基本的にこういうことは良いっていうタイプだからな。


「えっとね、何人か良さそうな人いたんだけど、優先的に誘いたいなって人が一人」

「誰?」

「福山紗奈さん!」


 …………え?

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