3.仲間④ 真似る戦い
俺は自分の試合の番が回ってくるまで、Ⅰ組の試合をメインに、たまにちらっとⅡ組の方の試合を見たりしていた。
美穂はというと、女子のいる試合になると、それはもう熱心に見るのに集中していた。
ちなみに余談であるが、美穂の試合は美穂が自分に付加魔法を付けつつ、相手を一気にコート外まで追いやり圧勝で終わった。
相手をしていたやつが少しかわいそうに思うくらいには。
それにしても、アビリティ科に入るだけのことはあるというか、全員が強力なアビリティだったり、個性的なアビリティでほとんどの試合が見ごたえのあるものである。
「よし、そこまで。次は、二階堂と長谷川か。中に入れ」
「じゃあ行ってくるわ」
「おう、頑張れよ」
俺の隣に座っていた学が立ち上がり、コートの中に入っていく。
この試合形式の組手、出席番号順で組み合わせと試合の順番を決めているため、次は俺の番であるが、その前に学の試合をしっかりと見ておかなければ。
あいつのアビリティが魔法だと言うのは聞いているが、もったいぶって詳しくは教えてくれなかった。
あいつ、どんな魔法使うんだろ。
「では、はじめ!」
六花先生の合図とともにタイマーが動きだし、学の試合が始まった。
相手は確か名前が二階堂だったか。
「先手必勝! “水流弾”!」
二階堂は、試合開始と同時に手のひらから水の弾丸を発射させる。
あいつのアビリティはフォースか。
「甘いぜ!」
しかし、学はそれをすかさず避ける。
「“水流弾”!」
攻撃を避けられた二階堂は、めげずに連続で“水流弾”を放っていく。
「させるか!」
学は負けじと全ての弾道をかわしていく。
あいつ、避けるの上手いなあ。
「くそっ……ちょこまかと……!」
「さて、そろそろこっちの番だぜ」
“水流弾”を次々と避けながら学はそう言い、両手の親指と人差し指をカメラのフォーカスのようにして、そこから二階堂を覗き見るようにした。
「汝の技、真似りけり! “模倣”!」
学が詠唱すると、フォーカスのように囲んでいた部分が光り、一瞬だけフラッシュが焚かれたようになる。
「“水流弾”!」
そして、二階堂と全く同じ“水流弾”をじぶんの手のひらから発射させた。
へえ、学のやつ、面白い魔法使うな。
“模倣”。
その名の通り、相手のアビリティをコピーしてしまう魔法である。
これはどのアビリティにも関係なくコピーすることができ、自分のものとして発動することができるという、相手にしたらそこそこ厄介な魔法である。
ただし、この魔法にも制限があって、ストックできるコピーは3つまで。
それ以上コピーしていくと、古く覚えたものから忘れてしまうのだ。
しかも、コピーできても、自分の魔力を上回るアビリティの使用はできず、無理に使用とすれば身体の負担がとんでもないことになってしまうため、コピーするアビリティは選ばなければならないのである。
それから、時間いっぱいまでお互いの攻防は続き試合は終了。学と二階堂の試合は引き分けで終わった。そして、遂に自分の試合の順番になり、俺はコートの中へと入る。
俺の相手はというと……。
「くっくっく……貴様が我の相手か。まあ、運が悪かったとだけ言っておこう」
「……」
目の前にいるのは、入学初日から自分が中二病であると全力でアピールしていた俺の後ろの席の人物。
運動するためなのか、制服の時にはそのままだった黒のメッシュが入った長い金髪を両サイドで結んでおり、その金と黒のオッドアイが良く目立つ童顔がはっきりと見える女子。
自己紹介の時には、自らをシャイニングダークと名乗っていた福山 紗奈である。
正直言って戦いづらい……。
女子というのもあるが、この中二病というのがなんかめんどくさいのだ。
「両者準備はいいな。それでは始め!」
そんなことを考えていると、六花先生がタイマーを動かせて試合が始まってしまった。




