3.仲間③ レクリエーション!
昼休みが終わり、午後の授業。
アビリティ科のⅠ組とⅡ組は、クラス教室がある本校舎を渡り廊下の先にある第二校舎の訓練場Aに集まっていた。
訓練場Aは、バスケットコートくらいの大きさの戦闘用フィールドが4つ程あり、全体的にかなり広い空間となっていた。
「全員揃っているな。では、言っておいた通り、これよりレクリエーションを始めたいと思う」
Ⅰ組の人数の確認をし終わった六花先生が凛とした声でそう告げる。
「レクリエーションの内容はクラスごとに別れての一対一の試合形式の組手だ。これが、お互いのアビリティや戦闘技術、性格なんかを知るのに一番適しているだろうからな。組手の制限時間は5分。それまでに相手に参ったと言わせるか、場外まで相手を出したら勝ちだ。審判は私がする。試合の組み合わせだが--」
坦々とレクリエーション、もとい組手の説明をしていく六花先生。
ふと後ろを見ると、反対側のコートではⅡ組がこちらと同じように斉藤先生から説明を受けているところだった。
「―――ということで、少し準備運動の時間を設けた後、組手を始める。何か質問のある人はいるか?」
先生の問いに、しんとするⅠ組生徒一同。
「ないようだな。それでは、準備運動を始めてもいいぞ」
Ⅰ組の生徒たちは、ポツポツと動きだし、軽く走って身体を温めたり、ストレッチをして身体をほぐしたり、瞑想をして精神を集中させていたりした。
さて、俺も少し身体動かしておくかな。
そう思い、軽く屈伸をしていると、俺のそばに寄ってくる影が1つ。
「南」
「神……美穂か。どうした?」
今日から俺と晃太と同じチームになった美穂がそこにいた。
同じチームになったし、別に嫌いとかそういうのではないが、正直、1日に何回も俺のところに駆け寄ってくるのは遠慮してもらいたいところである。
理由はこの周囲からの視線。
さっき、屋上から戻った時もこの視線を感じた。
特に、男子の。
まあ、美穂とは何でもないと否定しておきながら、昼に一緒にご飯食べてたり、いきなりお互い名前で呼びあってたらそりゃそうなるよな……。
「うん、実は、南たちのチームに入れてもらっておいて、図々しいかもしれないんだけど……」
そう言って言葉を紡ぐ美穂。
「なんだ?」
「うん……そのね、チームにもう1人メンバーが欲しいなーって思って。女の子が」
「ん? ……ああ、そういうことか」
確かに、男二人に対して女子が自分一人というのはあれなんだろうな。
俺も逆の立場だったら少し肩身狭いし。
「別にいいんじゃないか? どうせ晃太も良いって言うだろうし」
「ホントに!? 良かったぁ……」
「というか意外だったな……」
「何が?」
「いや、意外って言ったら失礼だな。昨日と今日の美穂の感じだとそういうのあまり気にしないのかなとかって思ってたからさ」
「えー、そんなことないよー」
少しむうっとする美穂。
……こいつ、感情が顔に出るから分かりやすいな。
「で、その入れたいメンバーの目星とかは付けてるのか?」
「ううん。全然。というか、まだ誰がどんなアビリティ持ってるのかもわからないもん」
「まあ、それもそうか」
「だから、今回のこの組手でどんな人がいるのか見て、良さそうな人に声かけてみようかなーって考えてたんだけど」
「ああ、いいんじゃないか。今回ならⅠ組だけじゃなくてⅡ組のやつのアビリティも見れそうだし」
というか、多分今回はそういう意図も含まれているのだろう。
俺と晃太みたいに元からチーム組んでるやつはともかく、まだ冒険者としてギルドに登録したばかりで誰とも組んでないやつもいるだろうし、この組手で、自分のアビリティと相性良さそうなのを見つけてチームを結成させるのも目的の一つじゃないのだろうか。
「というわけだから、南も探すの手伝ってね」
「ん? あ、ああ……」
やっぱりこいつちょっと図々しいかもしんない。
さて、各々が準備運動が終わってところで、Ⅰ組の面々は再び六花先生のところへと集合していた。
「今回はこのAコートのみ使う。組手をする者以外は、ここの試合を見てもいいし、隣のⅡ組の試合を見てもいいしそこは各自に任せる。ということで、早速始めるとしよう」
訓練場内にある4つのコート、入口から見て、奥からA・B・C・D順になっており、俺たちⅠ組は一番奥のAコート、Ⅱ組はCコートを使用するらしい。
六花先生は、懐から何かのリモコンを取りだし、ピッとボタンを押した。
すると、Aコートの仕切りとなっているライン上から光が出て、その光がコートを囲む。
「これは、アンチアビリティと言ってな。この通り、人は普通に通れるが」
そう言ってコートの中に入る六花先生。
「アビリティはこの結界で弾かれる」
六花先生が光に向かってアビリティらしきものを発動させると、それは衝撃音とともに光によって弾かれ、そのまま消え去った。
今のは超能力か?
エネルギー波のようだったけど。
「なので、多少なら思いきりやっても構わないが、程々にな」
コートから出てきながらそう言う先生。
かがくの ちからって すげー!
ここに太ったおっさんがいたらそんなことを言いそうだなと思った俺であった。




