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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第1章 出逢いと始まり ―動き出す物語―
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3.仲間② 結成の昼休み

「あー……疲れた…」


 それから時は進んで昼休み。

 俺は自分の机の上に突っ伏しながらため息をついた。


「ははっ、大変だったな南」


 前の席に座っている学が笑いながら語りかけてくる。

 朝、職員室から教室に戻った後、俺は神崎と共にクラスメイトたちから質問攻めを受けていた。

 何で神崎と一緒に呼び出されたのかとか、二人は付き合っているかとかそんな質問。

 昨日の出来事は、先生たちにしか知らされておらず、生徒たちにはこういうことがあったから気をつけろみたいな感じでしか伝わってないので、それを説明したりしていたのだ。

 しかし、質問攻めはその場だけでは終わらず、部活紹介や身体測定の合間にも色々聞かれ(特に男子に)、実際のところ神崎のことどう思っているのだの一緒にいてどうだっただの……。

 まあ、そこは適当に流したんだが。

 昨日はそんなこと考える余裕なんてなかったし、そもそも神崎とは昨日初めて会ったばかりだ。

 確かに、顔はかわいいし有名人だしスタイルもいいし、昨日話した感じだけだと良いやつそうではあるが……。

 正直に言えば、何とも思ってない……というよりはわからないと言った方が正しいか。

 今のところはそんなところである。


「とりあえずご飯でも食べようぜ。俺は弁当持ってきてるけど、南は?」

「俺も弁当」

「そっか。じゃあ食堂行かなくても―――」


 学がそこまで言いかけたときだった。


「日向君!」


 俺の名前を呼ぶ声がしたので振り向くと、そこには弁当を片手にニコニコしている神崎が立っていた。


「ご飯、一緒に食べよ?」

「……え?」




 場所は変わって屋上。

 俺は神崎、それに晃太と一緒に昼ご飯を食べていた。

 ちなみに、一緒に食べる予定だった学は、「いいよ、せっかくのお誘いなんだし行ってこいよ」と半笑いで了承してくれた。

 晃太も誘ってほしいと言われ、隣のクラスの晃太も誘い、現在の状況が出来上がっている。

 多分、昨日のことでの話があって神崎は俺たちを誘ったんだろうけど……。

 教室戻ったらまた何か言われそうだな。


「はあ……」

「ため息ついてどうした南?」

「いや、何でもないよ…」


 晃太にこのこと言ったら絶対いじられるからな。


「あー、そう言えばうちのクラスでお前と神崎さんが付き合ってるんじゃないかとかって噂流れてたな。もしかしてそれ?」

「……っ、ごほっ!」


 晃太の発言に驚いた俺は思わずご飯を喉に詰まらせて咳き込んでしまった。

 隣のクラスでもそんな噂流れてんのかよ! 

 俺はお茶を飲んで、ご飯を流し込んでから一息つく。


「……ふうっ」

「大丈夫? 日向君?」

「ああ、というかⅡ組でも似たようなこと起きてんのかよ」

「はははっ、図星だったか」

「いやー、みんなそういうの好きだよねー。ただ先生に一緒に呼び出されただけなのにね」


 呑気にそう言う神崎。

 というか、すごい他人事みたいに言ってるけどお前は当事者だからな?


「……神崎は気にしてないのか? クラスであんなに質問攻めされて」

「全然気にしてないよ? あんなの、すぐに治まると思うし。それに実際、昨日たまたま一緒にあの状況になったってだけでそれ以外は特に何もないんだから」

「まあ、そりゃそうだけどさ」


 正直なところ、俺も神崎と同じ考えではある。

 しかし、その治まるまでの期間がめんどくさいのだ。


「……でさ、私が二人を呼び出した理由なんだけど」

「そう言えば、神崎さんが俺たちのこと誘ったんだよね。何?」

「お願いがあるんだけど……」

「お願い?」

「2人って基本一緒にダンジョン潜ってるんだよね?」

「ああ。まだ冒険者になったばかりだし、一緒に行った方が効率もいいしな」


 ここまで来ると、神崎の言うお願いのある程度の察しが着く。


「あの……良かったらなんだけど……私も日向君と結城君のチームに入れてください!」


 やっぱり。


「え? いいの?」

「うん!」

「まじか! 俺は大歓迎だけど、南は?」


 喜びの表情で俺に聞いてくる晃太。


「俺も神崎が一緒にダンジョン潜ってくれるなら心強いし、ありがたい。けど、俺たちでいいのか? 神崎ならたくさん声掛かりそうな気がするけど」


 俺がそう言うと、神崎は首を横に振った。


「昨日、あの“影”と戦った後に思ったの。この3人なら良いチームになるんじゃないかなーって。結城君はあの“影”に対しても怯まずに立ち向かっていったし、日向君は常に冷静で“影”に攻撃しながらも私たちに的確に指示してたし、2人のおかげで私は自分の役割に集中できたし。ね?」


 確かに、神崎の言うとおりである。

 明らかに格上だった“影”に対して、俺たちがほとんど無傷でいられたのはこの三人だったからというのが大きいのかもしれない。

 もし、神崎のサポートか、晃太の積極的すぎる攻めがなかったら無事には戻ってこれなかったかもしれない。


「そうだな。神崎がそう言ってくれるなら、これからよろしく頼む」

「うん! よろしく! 南! 晃太!」

「「……え?」」


 ハモる俺と晃太の声。


「だって、2人とも名前で呼びあってるのに私だけ名字で呼ぶのも何か嫌じゃん。だから、私のことも美穂って呼んでね! 同じチームなんだし!」


 こうして、俺と晃太、そして神……美穂の三人でチームが結成されたのだった。

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