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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第1章 出逢いと始まり ―動き出す物語―
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2.影⑩ 決着

 美穂の前方に出現した大きな魔法陣から、切っ先が三又に分かれた巨大な光の槍がその姿を表す。

 かつて、戦の神として知られたオーディン。

 そのオーディンが愛用していたとされる槍、グングニル。

 その力は、必殺必中であり貫けないものはないとまで言われた。


「行けえ!」


 美穂はグングニルを“影”に向かって放つ。


「グギイイイイイイイイイイ!!!」


 直感でグングニルを危険だと感じた“影”は奇声をあげ、今までで一番巨大な斬撃をグングニルに放った。

 ぶつかり合うグングニルと“影”の斬撃。

 その力の差は歴然で、グングニルが斬撃を一瞬で消し去り、“影”に一直線に向かっていく。

 “影”は、両腕を交差させ、エナジーコアを守るようにガードする体勢をとる。

 そして、“グングニル”が“影”に直撃する。


「!? ガアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 “グングニル”は、交差させた“影”の腕を貫通しエナジーコアまで到達した後、“影”の身体をも貫通し、後ろの岩壁まで突き刺さる。

 必殺必中の槍は文字通り、“影”を貫通した後、役目を終えたかのように消えた。


「はあ……はあ……」


 美穂は一気に大量の魔力を消耗したせいか、膝から崩れ落ち、両手を地面に着いた。


「やった……のか?」


 これまた、波動の消耗によって、レッドモードから通常状態に戻り、膝の上に手を乗せて立っているのがやっとな南が“影”の方を見ながら呟く。

 広間は静寂に包まれ、三人ともまともに動けない状態のなか、しんと動かない“影”の方を見つめる。

 通常、モンスターは倒すと、南たちが倒したロックドッグのように黒い霧のようになってその身体は消滅するのだが、この“影”はその様子がまるでない。


 ―――ピクッ


「嘘……エナジーコアを貫いたのに……」

「おいおい……」


 目の前の光景に唖然とする美穂と晃太。


「くそ……化物が……」


 三人の眼前にはボロボロになりながらも立ち上がり、3人を見下ろす“影”の姿があった。


「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 大音量の怒号を響き渡らせる“影”。

 身体を動かそうにもまともに動けそうにない三人。

 頭の中によぎるのは死―――。


「ここまで……なのか…」


 南がこのどうしようもない状況に諦めかけた時だった。

 広間に一筋の黒い何かが閃光のように表れ、そして、それは“影”のエナジーコアに直撃し、エナジーコアがそのまま砕け散る。


「ガッ……!!」


 “影”は短い悲鳴を上げ、身体は黒い霧のようになりそのまま消滅していった。

 黒い何かの正体は、先端にクナイが付けられた鎖で、それは飛んできた方向からずっと続いており、それを目線で辿っていくと、南たちが行こうとしていた通路の奥から飛んできたものであることがわかる。


「よお、大丈夫か」


 そして、通路の奥から男が一人、その姿を現す。


「……師匠」


 男を見た南はボソッとそう呟いた。

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