↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第1章 出逢いと始まり ―動き出す物語―
19/215

2.影⑧ 暴走

 響き渡る“影”の怒号。

 怒号による振動によって洞窟内は揺れ、その影響で天井や壁の岩がパラパラと崩れていく。

 南たちは思わず立ち止まりその場で耳を防いで苦しそうにした。


「2人とも、ごめん!!」


 美穂はそう言うと、全員分の“エンチャント”が解除される。

 “エンチャント”を発動してからずっと全員分を維持し続けていた美穂だが、さすがに魔力の消費も激しく、さらにこの怒号で集中力が完全に乱され、維持出来なくなってしまった。

 数秒後、怒号は鳴りやみ洞窟内は再び静寂に包まれる。


「おい……何だよあれ…」


 晃太がそう言って“影”を指す。

 指された先にいた“影”は、さっきまでとはまるで違う姿になっていた。

 今までの数倍は大きい図体。

 のっぺらぼうだった顔面には裂けているような大きな口。

 全身に纏われた紫がかった黒いオーラ。

 その姿に全員が思わず怯んでいる隙に、“影”は一息つく暇もなく襲いかかってきた。


「避けろ!」


 “影”の降り下ろしてきた腕の攻撃を南の号令で全員が後ろに下がってかわす。

 しかし。


「ぐわっ!」

「なっ……!」

「きゃあっ!」


 空振った攻撃は地面に当たり、その衝撃波によって後ろに下がった勢いそのままに吹っ飛ばされる。


「しまった……!」


 そして、ハバネロは飛んでいることで踏ん張りが聞かず、岩壁まで飛ばされ叩きつけられる。


「がっ……!」


 そして地面に落下し倒れ込む。


「ハバネロ!」


 ハバネロの元へと駆け寄る南。


「くっ、すまぬ……。今ので結構ダメージを負ってしまった……一旦私は引くぞ」

「ああ、休んでてくれ」

「南、無茶だけはするなよ……」


 ハバネロはそう言うと、透明になっていき、その場から消えた。


「日向君!」


 美穂が叫ぶ。

 南が振り返ると、“影”が南に向かい腕を横凪ぎに振り払ってくるところだった。


「っ……!」


 南は間一髪でかわした……かに思えた。


「くそ……」


 しかし、“影”の指先が左腕にかすっており、服ごと切りつけられた腕からは血が滲み出ていた。

 切られた部分を押さえながら、“影”から距離を取り、晃太と美穂の元に戻る南。


「日向君! 大丈夫!?」

「ああ、これくらいなら何とかな」

「ハバネロは……」

「あいつなら大丈夫だ。召喚状態を解いただけだから今は元いた場所で休んでる」

「そっか……。日向君、今回復魔法を―――」

「いや、そんな暇はないぞ……」


 南の視線の先には容赦なく追撃を仕掛けてくる“影”。


「“プロテクト”!」


 そこを美穂が”プロテクト“で攻撃をガードする。

 が。


 パリン―――!


 “プロテクト”は簡単に破壊され、“影”がさらに追撃を仕掛けてきた。


「させるか! “サンダーブロー”!」


 攻撃させまいと、晃太が一歩前に出て“サンダーブロー”を“影”に放つ。

 しかし、“影”はこれを手で受け止め、そのまま晃太を投げ飛ばした。


「晃太!」


 投げ飛ばされた晃太は岩壁に激突し、その衝撃で崩れてきた岩雪崩の下敷きになる。


「くそっ……!」


 ―――強すぎる! さっきまでとはまるで別物じゃねえか! 化物かよ!


 南は今の“影”のあまりの強さに少しの戸惑いを覚える。


 ―――どうする? このまま戦っても全滅するのは目に見えてる。逃げることに集中するか? ……だめだ、そんなことができたらこいつと最初に出くわした時点でそうしてる。なら、戦いながら逃げる隙を伺うか? いや、そんな隙があるとは思えない。晃太の“サンダーブロー”を受けとめた手にもダメージが残ってるようには思えな……。


「あれは……」


 “影”を注視していると、全体が無傷に戻っているかに思えた“影”の一部分が再生していないことに南は気づく。


「どうしたの? 日向君?」

「エナジーコア……ヒビが入ったままだ」

「……あ、ホントだ」

「あそこに一撃入れられたら……」


 あの“影”を倒すことができるかもしれない……。

 そう南が考えていると、瓦礫の山がガラガラと音を立てて崩れ、下敷きになっていた晃太が出てきた。


「あー、死ぬかと思った……」

「晃太!」

「結城君!」


 南と美穂が晃太の元へと駆け寄る。


「晃太、“変身(チェンジ)”はあとどのくらい持つ?」

「……そうだな。多分、あと10分も持たないかも。ちょっと今のでダメージ食らいすぎたわ」


 口調は明るいが、言葉通り、晃太は全身をぶつけたことによるダメージと、ここまでの魔力消費でかなりの消耗をしていた。


「てことは、一気に決めなきゃ行けないってことか……」


 南はそう言って“影”を睨み付ける。

 “影”は南たちの出方を伺っているのか、攻撃を仕掛けてこない。


「晃太、神崎、今から三人であいつのエナジーコアを狙って攻撃だ。晃太と神崎は雷属性で、俺は炎属性だけでだ。他の属性攻撃はあいつには効かないし。……ホントは光属性の攻撃が一番効くと思うんだけど……」

「私、光属性の攻撃使えるよ」


 南の呟きに、美穂が反応するかのように答える。


「え?」


 美穂の発言にポカンとする南。


「でも、さっきは光属性使えるって一言も……」

「そう、光属性はそれしか使えないからとっておきってわけ」


 南は作戦会議の時の美穂の言葉を思い出す。


「だから、もしよかったら私に任せてちょうだい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。