最終回後編 愛のカタチ
三人で帰省しようと久しぶりの電車に乗る。
まさか有野さんが決断してくれるなんて思いもしなかった。
でもこれが有野さんの症状を和らげることになると信じている。
母さんとも仲が良く前に一度お邪魔したいと言っていたのが実現した形。
ただその有野さんを上手く追い払った隙に何か悪いことを企む和葉。
俺はどうにか抵抗するが和葉の方が一枚も二枚も上手。陥落寸前。
このままだと再びの惨劇が起きても不思議はない。
俺が耐えるしかないのだが和葉はもう勝った気でいる。
「いいんだよ。すべてバラしても」
早まる和葉。俺たちの秘密の関係を有野さんに言うと迫る。
「いや何のことかな? 和葉の勘違いじゃないのか? 」
「そう。ならもうあげない! 」
「はあ? 食いものか? アメか? ジュースか? 」
「まだ反抗するんだアキラ? 一緒に寝てあげない! やらせてもあげない! 」
ついにとんでもないことを。だからって俺は兄で俺たちは兄妹だから。
「ふざけるな! 誰がそんなこと…… 」
「どうしたの? きちんと答えたらアキラ? 」
挑発を続ける我がかわいい妹。まったく憎たらしい奴だ。
俺にどうして欲しいんだ? 何て言わせたい?
新しく買った服はかわいくてお似合いだと褒めてやっただろう?
一体これ以上何を求めると言うんだ? もう俺には和葉が分からない。
「そんなこと…… 」
「ほら早く」
「誰がそんなこと認めるかよ! 和葉は俺のものだ! 」
うわ…… 勢いで言わされてしまった。まったく情けない。
和葉はこう言うところがずるいんだよな。汚いんだから。
俺をコントロールしようとする。楽をしようとする。本当に汚い。
「へえ? だったら和葉のお願い聞いてくれるよね? 」
「しかし…… 何も人のいる前で……
しかも有野さんがいつ戻って来るかも分からないんだぞ? 」
「だから早くしようって言ってるの! 」
葛藤すること一分。仕方なく受け入れることに。
「でも俺はポテトを食って…… 」
「私だってチョコ…… 」
お互い様だとさ。しないと言う選択肢はないのか?
ちょっとは冷静になってくれないかな。
こうして和葉の要望に応えてキスをすることに。
まずは奥の席の和葉が立ち俺は通路を背にちょっと斜めに。
「ほら早く! 」
「でもやっぱり…… うぐ…… 」
痺れを切らした和葉が強引に唇を奪う。
呆気にとられているとそっちからもとせがむ。
ああどうにでもなれ!
こうして唇を重ねる。
息ができなくなるほど長く激しく。
和葉の要望に応えた。これで終わりかな?
どうやら和葉も満足してるらしい。何だかんだ言ってかわいいからな和葉は。
それはよかったが当然これで終わりにはならない。
俺はまだ足りない。何か物足りない。
止まらなくなった。常識と理性で抑えていたものが吹き飛んだ。
和葉はいつだって中途半端。これで満足だと言う。でも俺は違うぞ。
「なあいいだろう? 」
「でもお兄ちゃん。さすがにまずいよ。マナさんだっていつ戻って来るか」
完全に立場が逆転した。消極的な和葉と積極的な俺。
ここまで必死に抑えて来たのに和葉が余計なことするから。
「そっちのお願いを聞いたんだぞ? だったら俺のも当然聞くんだろう? 」
もう我慢の限界なんだって。キスだけで済ませられるはずがない。
「こんなところで? 恥ずかしいよ」
「そうだよな。恥ずかしいよね? でも我慢できないんだ! 」
ああ俺は何を言ってるんだろう? 妹に興奮して俺は兄失格。いや人間失格だ。
さすがに服を脱がす訳には行けない。だからできる範囲で。
俺の満足が行くまで。それがどこまでかは和葉にだって想像がつくだろうが。
そうだよ。俺は最低な兄だよ。
「ほら。言ってごらん」
「お兄ちゃん…… 」
「それでいい。今までの生意気な態度も許してやるさ」
「ありがとうお兄ちゃん。はあはあ…… 」
「おっと…… 喘ぎ声を出すなよ。そこは抑えないとさすがにバレる」
これでいい? いいはずないがそう思い込むことに。
「うんどうした? 」
いきなり和葉が俺の両耳を塞ぐ。別に特に影響はないけど。
それにしても何か忘れているような気も……
「いいのいいのお兄ちゃん。ほら続けて。それともこれで満足? 」
何か隠してる感じだがまあ別に気にすることでもないか。
カラン!
何かが落ちたような大きな音がした。
何だ? 和葉が両耳を塞ぐから。良く聞こえない。
「おい和葉? 」
「振り返らないで! 女の人が荷物を倒しただけだから」
そう言って微かに笑った。
こうして多少の体の接触があったがもちろん最後まで行きはしない。
「なあ有野さんはまだかな? 」
満足したので気分爽快。これで多少和葉が生意気を言っても大丈夫。
でも今の和葉は大人しくてかわいい。だからそんな心配はない。
「トイレが混んでるんでしょう? 放っておいてあげようよ」
どうも和葉の様子がおかしい。さっきまで気にもかけてもいなかったのに。
多少心配になるがこのまま待つしかない。
それから一時間後。
「終点です! お乗り換えの方は二番線ホームへ」
ようやく終点。目的地だ。
ここからは父さんが車で迎えに来ることになってる。
「行こうか有野さん! 」
「うん…… 」
なぜか元気のない有野さん。どうしたんだ?
「ほら行くぞ和葉も! 」
「うん! 」
そう言って元気よく飛び出して行った。
ついに到着! 半年ぶりの故郷。我が町だ。
「有野さん? 」
「ああ…… うん! 」
手を繋いで歩き始める。
「ほらお兄ちゃん早く! 」
「待てよ和葉! 」
こうして俺たちは無事新年を迎えられたのだった。
<完>
エピローグ(おまけ)に続く




