13話
翌朝、朝食前の鍛錬をすませ食後の休憩の後、鍛錬場でロバートが剣を振るっていた。
力強い型の後、鍛錬場の端に向けて裂帛の気合とともに剣を振った。
バキバキバキ
鍛錬場の外にあった林がなぎ倒され嵐の後のような状態になっていた。
見ていた人々は口をアングリと開け、ロバート自身も目を見開いていた。
「お・お父様!?今のは?」
「な・なにがおこった?」
「ご当主様、すごいです」
「「「すっげぇ~~~」」」
ロバートが困惑した顔でアーサーを見た。
「ロバートさん、すごい気迫でしたね」
「気迫であんなことに?」
「一流の剣士の気迫は、体内で凝縮した『気』を発することですよね?」
「まあ、そういうことだな」
「その『気』というのは、体内にある魔力のことなんです。
その魔力の塊を剣から発して衝撃波が発生したというのが今の現象です」
「俺の魔力?」
「そう、ロバートさんは大きな魔力をお持ちですから」
「迂闊にこの剣を振るったら大惨事だな」
「ロバートさんくらいの達人でないと無理ですけどね。あははは」
「ねえねえ、アーサー君、私も魔術上達したのよ。フレアちゃんとウィンちゃんが教えてくれたの」
「わたくしも、ミストさんとソイルさんに習いましたのよ」
フローリアは手から旋風をだしたり火球を出したり、クレアは氷の槍を飛ばしたり、土で壁を作ったりしてみせた。
「どう?」
「随分上達しましたね」
「彼女達には及ばないけどね。それでね、レイピアから発動するのってどうやるの?」
「う~ん。僕は初めからできたからなぁ~」
と腕組みをしてしばらく考えた。
「今は魔力を手に集中させてるよね」
「うん」
「剣を身体の一部と思って、剣に集中できない?」
二人は剣を構えて力を込めてみたりしながら百面相をはじめた。
「剣先が人を向いてるから、上に向けてやってよ。もし発動したら大変だよ」
二人は剣を天に向け、百面相を再開した。
「もっと身体の力を抜いて、リラックスして。目を閉じて魔力の流れを感じてみて」
ゴオオオオォォォォォ
物凄い竜巻が天にむかって駆け上っていった。
「やったぁぁぁ」
シュッシュッシュッシュッ
無数の氷の槍が空に向かって飛んでいった。
ドスッドスッドスッドスッドスッ
「「「ぎゃあああぁぁぁぁ」」」
天高く上がった氷の槍は重力に逆らわず落ちてきて鍛錬場に突き刺さった。
「やりましたわっ」
「「「クレアさん、殺す気ですかっ」」」
騎士団や衛士隊の面々は真っ青な顔してクレアに抗議した。
「その程度、避けれるでしょ、実際、みなさん無傷ですし」
シレっとクレアは対応した。
その後、騎士団1隊+衛士隊1隊VSフローリア、騎士団1隊+衛士隊1隊VSクレアとの自由組手が実施され本日の鍛錬は終了となった。
午後からアーサー達は精霊神殿に出かけた。
神官長に面会を申し出て、応接間に通されしばらく待っていると偉そうな男の子を連れた神官長らしき人が入ってきた。
偉そうな男の子はアーサー達をみるなり「ゲッ!!」と言い残して姿を消した。
「これはこれはフローリア様とクレア様ようこそお越しくださいました」
とにこやかに近づいてきて、アーサーの前に立ち止まり跪いた。
「殿下、お目にかかれて光栄です。よくぞご無事で」
「頭をあげてください。よく僕のことがわかりましたね」
「はい。お母上と瓜二つのお姿、それに強い力で守られておられますゆえ」
「母上のことご存知なのですか?」
「はい。ご幼少の頃から当神殿に何度もお立ち寄りでしたから」
「そうですか」
「いつも精霊達に囲まれて、楽しそうにされておられました」
「母上も精霊と相性がよかったのですね」
「はい、すべての属性の精霊が慕っておりました。まあ、とりあえずお掛けください」
皆がソファーに座りお茶が用意され本題に入った。
「神官長さん、大陸中で『神の加護』や『精霊の加護』をうけた者が害されているのをご存知ですか?」
「はい、存じております」
アーサーやフローリア、クレアから今まで分かっていることを神官長は驚きながらも最後まで聞いた。
「そのような大変なことがおこってるなんて、想像もしていませんでした」
「僕の両親のことは、発端にすぎなかったんです」
「人間の愚かな欲望が、とんでもない化け物を育ててしまったんですね。なげかわしいことです」
「それで、大陸中にある精霊神殿の方々にご協力を願いたいのです」
「我々にできることであれば、なんなりと」
『澱』に対抗できるのは『神気』だけであること
上位の精霊が『神気』をつかえること
必要であれば神獣が助力してくれることを伝えた。
「精霊神殿の信者は一般の方々が多いですよね。できれば、その方々を守っていただけないでしょうか?」
「わかりました。できるだけのことはさせていただきます。ベヒモスでておいで」
生意気そうな少年が現れた。
「今の話聞いてましたね。そなた達も協力願えますか?」
「精霊王が協力するって言ってんだから、断ったら怖すぎるって!」
ベヒモスの頭にチョップをかましながら赤い髪の女性が現れた。
「ベヒモス、私が怖いから協力するのか?」
「イエ、トンデモゴザイマセン」
「こんな奴でも火の上位精霊だ。少しは役にたつだろう。我等精霊すべて協力は惜しまない」
「ありがとう。サラマンダー、頼りにさせてもらうよ」
「これから、どのように動きましょうか?」
「とりあえず、風の精霊達に情報を集めてもらってから具体策を立てましょう」
「わかりました」




