14話
バーニング男爵の審判を2日後に控えた午後に、各国の大使から国王に謁見の申し出があった。
「「「陛下、突然の謁見にも関わらずご対応くださり恐縮です」」」
「かまわん。して、用向きは?」
「グランディア帝国王からの返事をお預かりしてまいりました」
「シンカ共和国大統領からの返事をお預かりしてまいりました」
「ソヴィエ連邦大統領からの返事をお預かりしてまいりました」
近衛騎士が文書を預かり、確認して国王に渡した。
「わざわざ、ご苦労であった」
この大陸では、通常の連絡には水晶を使った通話が普及していたが、公式な招待等には手紙が主流であった。
大使は預かった招待状と親書を水晶で本国に送り、折り返し届いた手紙を持参したのであった。
アルフレッドは執務室に戻り、各国からの返事を読みニヤリと笑った。
「アルフ、変な笑い方してどうしたの?」
「ああ、ローズも見てみろよ」
返事を手渡しローズは読んでみたが、おかしなところは見当たらなかった。
「これのに笑うようなとこがあるの?普通にお祝いのメッセージと婚礼に参加していただけるって書いてあるだけじゃない」
「親書に対する礼の直後に参加すると書いてあるだろう?」
「それがどうしたの?」
「親書には何が書いてあったかしってるだろ」
「ああっ!?そういうことね」
「早速、水晶を用意させてくれないか?直接段取り等を話したいからな」
「それじゃあ伯父上達も呼ばなきゃね」
「ああ、手配を頼めるか?」
「ええ、まかせておいて。各国にも時間調整してもらう必要もあるし、夕方くらいになっちゃうわね」
ローズはパタパタと慌しく執務室を立ち去った。
「あの行動力は相変わらずだな。フローリア嬢もよく似てるからアーサーも苦労するな」
と呟いた。
ローズに呼び出されたアーサー、ロバート、フローリア、クレアは会議室に通された。
通話用の水晶が3つ用意されローズが水晶でなにやら打ち合わせをしていた。
「あら、早かったのね」
「ローズ、なにかあったのか?」
「伯父上には話してなかったかしら?各国に送った親書のこと」
「ああ、あれか。返事が来たようだな」
「お父様、なんのこと?」
「ああ、各国宛に送った親書に例の偽神託破りの方法を書いて送ったんだよ」
「なんか聞いた覚えがあるような、ないような」
「お前は、武術よりも頭を鍛えなきゃならんな」
「ひっどーーーーい」
あははははは
「ローズさん、それでこれから直接話し合うんですか?」
「そういうことね。各国がタイミングを合わせなきゃ意味がないでしょ。とりあえず準備ができるまで、お茶でも飲んでて」
とメイドを呼びお茶を用意させた。
「ローズ様、もうすっかり王妃様のようですね」
「ローズ姉さんは王妃様っていうより女王様?」
「俺も王妃様って呼ばなきゃならんな。ご無礼しました王妃様」
「伯父上も心強いですね」
ローズが水晶で通話しているのを良いことに、みんなでからかって時間潰しをした。
アルフレッドが会議室に入って来た時には、ローズが額に青筋をたて皆に説教をしていた。
「なにやってんだ?」
「わたくしが水晶で段取りをしているのをいいことに、わたくしをからかって遊んでましたのよ」
「「「「ごめんなさい」」」」
気分を引き締め全員が水晶のまわりに集まって各国との会談がはじまった。
「アルフレッド殿、此度はご婚約おめでとうございます。我がグランディカ帝国を代表してお祝い申し上げる」
「ギルニア殿、ありがとうございます」
「アルフレッド殿、此度はご婚約おめでとうございます。シンカ共和国の民一同お祝い申しております」
「マルカス殿、ありがとうございます」
「アルフレッド王、此度はご婚約おめでとうございます。ソヴィエ連邦諸国を代表してお祝い申し上げます」
「シュトロエン殿、ありがとうございます」
一応の挨拶が済み、本題に入った。
「親書を読んだ時は驚きましたぞ」
「親書に書かれたことは誠ですか?」
「これで大神殿の奴らに好き勝手はさせないで済みます」
「親書の内容は事実です。『神の加護』を受けたものから聞いたことですので、間違いございません」
「その者は信用できるのですか?疑うわけでは無いのですが、あまりにも重大なことなので、万が一にも誤りであったなら取り返しがつかないことになるのです」
「皆様は15年前に暗殺された兄上と義姉上のことを覚えていらっしゃいますか?」
「もちろんですとも。とても美しく聡明なお二人でございました」
「『神の加護』を受け巫女から王妃になられた方でしたな」
「彼女の神託に何度助けられたことか……感謝してもしきれない」
「このことを教えてくれたのは、二人の子供。つまり俺の甥です」
「「「おおっ、ご無事だったのですね」」」
「ご信用いただけますか?」
「「「もちろん」」」
「それでは具体的な策を話しましょう」
大神殿の偽神託の話
『澱』の存在
『澱』の拠点が大神殿であるらしいこと
神獣や精霊の協力
そして万一、人間同士が争い生態系を壊すような世界の理を破れば、神が全てを滅ぼすこと。
それこそが『澱』の狙いであることを告げた。
各国の元首達は、想像以上の重大さに青くなりながらも深夜まで会議を行い、実行のタイミングや緊急連絡の方法など連携部分について次々と決定していった。




