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金色の御子伝説  作者: 世捨人
王都編
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33/50

6話

帰りの馬車の中で、アーサーから精霊との付き合い方を教わり嬉々として屋敷に帰った。


夕食までの間、アーサーの部屋で精霊を呼び出し、色々話しをしたり精霊術の基礎を教わったりして過ごした。



ロバート抜きの夕食の時、ふと気になっていたことをフローリアに尋ねた。


「そういえば、リアは友達いないの?」


「子供の頃から武術ばっかりだったから、友達はクレアだけね」


「他の貴族のご令嬢とかご子息とかは?」


「晩餐会で会うくらいで、普段が交流がないわ」


「姫様は普通に接するのですが、相手が媚を売ってきたりして大変なんです」


「そうそう、私と結婚すれば公爵家を継げるから、そういう目でしか見てくれないわ」


「あはははは 身分があるのも大変なんだね」


「そういうアーサー君だって身分がバレたら大変よ。なんたって王子様なんだから」


「そういうのは嫌だな~」


「アーサー君も友達作れないかもね」


「リアやクレアさんがいてくれるでしょ。

他にも沢山の仲間や友達に支えられてるからね」


「シロやウンディーネさん達のこと?」


「それ以外にもランバートさんやロバートさんに騎士団の人達、みんなが助けてくれるよ」


「私達が助けられてばかりだと思うよ」


「リア達と出会えて、僕にも守りたいものができたんだ。漠然としてた思いが具体的になった気がするんだ」


「私も及ばずながらお手伝いします」


「わたくしも、ただ守られてるよりはお手伝いさせていただきます」


「ありがとう。頼りにしてるよ」


「「はい」」



「話は変わるけど、昨夜伯父上が結婚するぞっって帰って行ったけど、お相手は誰なんだろう?」


「陛下が?もしかしてローズ姉さんのことかしら?」


「ローズさん?」


「私の従姉でシュベルト伯爵家の長女よ。前々から噂はあったから」


「そうなんだ~、上手くいけばいいね」


「そうね、私も応援しなくっちゃ」


食事の後、それぞれ部屋に帰って行った。





アーサーが部屋に帰ると、ソファーに二人の男女が座っていた。


金髪に金の瞳の男性がアーサーに声をかけた。


「アーサー、久しぶりだな」


「お義父様、お義母様、おひさしぶりです」


「坊や、元気そうね」


と優しい笑みを零した。


「アーサー、あの『黒い靄』のことじゃが、やはり『混沌』の残滓のようじゃ」


「この世界が作られる前の『混沌』のことですか?」


「そうじゃ。創造神様が世界をつくったおりに、見逃してしまったのじゃろうな」


「それがどうして今頃でてきたのでしょうか?」


「ただの濃い魔力だったものが、人間の欲望を吸収して意思を持つようになったのじゃろう。人間ほど欲望の強い生き物はおらんからな」


「それで、人間を操って戦を巻き起こし、混沌とした世界へ?」


「人間同士が争えば、自然が壊され他の生き物達も生きていけなくなる。

そうなれば世界の理を乱す者として、ワシが人間を滅ぼさねばならなくなるからな」


「坊や、神が人間を滅ぼすとき、どうすると思う?」


「大地震や洪水などでしょうか?」


「そうなると滅びるのは人間だけじゃないわね」


「でも、お義母様、何も生き物がいなくなっても、『混沌』には戻らないんじゃないでしょうか?」


「何も生き物がいなくなってしまえば、我々神も必要なくなるでしょ。

神すらもいなくなった世界を『混沌』に変えるのは時間がかかっても容易いことなのよ」


「そうですね、ただ破壊して混ぜ合わせていけば良いだけですものね。

それではお義父様もお義母様も手伝っていただけるのですか?」


「アーサー、今の段階では無理じゃ。

今は人間の間だけの問題じゃからの。

『黒い靄』仮に『澱』と呼ぶが、こやつらが直接人間や他の生き物を攻撃するならば、我等も介入できるが、いまのところ直接手をくだしているのは人間じゃ。

種族内の問題に神は手をくだすことはできんのじゃ。

神は理を作り出すが、理に縛られる」


「それでは『澱』と同じように間接的になら、お手伝いいただけるんじゃないですか?」


「そういうことじゃ」


神は2本のレイピアを取り出した。


「アーサーがノームに頼んだものに、ワシが手を加えたものじゃ。

このレイピアから魔術を発動させれば『神気』を含ませることができるようにしておる。

これなら精霊と離れておっても戦うことは可能じゃ。

柄には精霊石を2つ埋め込んであるから、いつも精霊を身近におくこともできるぞ」


「ありがとうございます」


「坊やの可愛い彼女を守る為ですもの、なんでもないことよ」


「作ったのワシなんじゃが……」


「それから、お願いがあるんですけど……」


「なに?」


「伯父上がご結婚されるらしいんですが、大神殿が例の偽神託で邪魔をしそうなんです」


「あら、それなら紋章でやっつけるんじゃなかったの?」


「あははは それとは別に、僕のダガーのように神の紋章の入ったものを贈れないかと」


「坊やからの贈り物としてならいいわよ」


とアーサーのダガーよりは小ぶりな短剣を2振りとりだした。


「1本は『知の神』の紋章、もう1本は私の紋章よ。

結界を張るくらいしか力はないけど、身に危険が迫ったら勝手に結界を張ってくれるわ」


「ありがとうございます。これで両親のような事態は防げますね」


「そうね。なにか不安があったの?」


「どうも大神殿が気になってるんです。もしかしたら『澱』の巣なのかもと……」


「それはあるかもしれんな。

人が祈りには純粋なものだけでなく欲望もあるからな。

特に貴族などの欲望の強い人間が集まる場所なら可能性は高いな」


「坊や、気をつけるのよ。私達に世界を破滅させないでね」


「はい、全力をつくします」


「それと、はやく孫の顔みせてね。うふふ」


笑い声とともに2人は姿を消した。


「孫って……」

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