2話
夕方アークの町についた一行は、ロバート達と同じ宿に逗留することになった。
捕縛した3人を風王騎士団に引き渡すため、隊長が風王騎士団の元に行った。
「旅の途中で捕縛したバーニング家次男と従者2名を引き渡したいのですが」
「ご苦労であった。居城に行った時に姿を消していたので捜索するよう指示しておいたんだ。手間が省けたよ。感謝する」
「フローリア姫やアーサー殿に対する暴行未遂も罪状に加えておいてください」
「もちろんだ。娘を狙われた公爵殿が許す訳もあるまい。あはははは」
一方、ロバートの部屋にやってきたフローリア達は今日の顛末をロバートに報告した。
「アーサー君には驚かされてばかりだな。これも血筋か?」
「あははは 父上もそうだったのですか?」
「ああ、人を驚かすのが好きで、よく奥方に怒られておったよ」
「お父様、王都にアーサー君の叔父様がおられるって本当ですの?」
「ああ、突然あわせて驚かせてやる」
「お父様もアーサー君のお父上と変わらないじゃない」
「わはははは」
それから2日で王都に到着した。途中、休憩時間にフローリアVS風王騎士団やクレアVS風王騎士団の対戦が行われたりして楽しみながらの旅であった。
「ここが王都か~」と窓から外をみながら楽しんでるアーサーに
「アーサー君、王都の感想はどう?」
「人が多くって驚いてるよ。初めて見る物ばっかりで面白いよ」
窓の外を指差しながら、アレコレと説明してくれるフローリアとクレアにフンフンと頷きながら見ていると大きなお城が見えてきた。
「あれが王城よ。綺麗でしょ?」
「大きいね~ ランバート様のお城の何倍もあるね」
「お城の手前に青い屋根の屋敷があるのがわかる?」
「大きなお屋敷ですね」
「あれが我が家よ」
フローリアは、へぇ~と目を丸くするアーサーを笑いながら見ていた。
大きな門を潜り抜けたところで
「ここから先は貴族の居住区なの。平民は大商人であっても住むことは許されないわ」
「やっぱり身分って大事なんだね。クレアさんの家は?」
「わたくしの家もこの中なんですよ。一応貴族の子女なんですよ」
「クレアはね、うちの縁戚のアッサム子爵の次女なんだけど、行儀見習いとして私が10歳の頃から私の侍女を務めてくれてるの」
「アッサム家は王妃様を輩出した家柄なんですよ」
またもや目を丸くしたアーサーを見て二人は笑いころげていた。
途中で城にむかうロバート率いる風王騎士団とわかれ、レジアス公爵家に到着した。
屋敷の前には綺麗な庭園が広がり、白く大きな屋敷に青い屋根が見事な調和で優美さを誇っていた。
馬車から降りた3人に
「「おかえりなさいフローリア様、クレア様。いらっしゃいませアーサー様」」
とメイドや執事が声をかけた。
「とりあえず湯浴みがしたいわ」
「かしこまりました」
「アーサー君、夕食まで寛いでてね」
とフローリアとクレアは自室に向かった。
「アーサー様、お部屋にご案内いたします」
とメイドが案内し、アーサーの為に用意された部屋にむかった。
「アーサー様、着替えをここに置いておきますので、湯浴みでもなさってお寛ぎください。御用があれば、いつでもお申し付けください」
と一礼して部屋を出て行った。
アーサーは湯浴みで旅の汚れを落とし、用意された服に着替えソファーに腰掛けた。
「みんな出ておいで」
精霊王4人がアーサーの前に現れた。
「みんな、先日の黒い靄をどう思う?」
「アーサー様、『知の神』に伺いましたが、おそらく創造神が世界を作った時に残された混沌の一部ではないかとのことでした」
「やっぱりそうか。
お義父さんの『理』に入っていなかったから、精霊も感知できなかったんだな。
お義父さんも『理』に入っていないものが存在するなんて思ってなかっただろうしね」
「御子様、あのものには魔術や武術などは通じません。いかがするおつもりですか?」
「君達も『神気』は使えるよね」
「わたくし達まもちろんですが、上位精霊ならば少しは使えます」
「今度出会ったら、魔術に『神気』を混ぜて攻撃してみてもらえるかな?」
「どういうことでしょうか?」
「この前の戦いで、ウンディーネの霧の中で『神気』を開放してみたんだ。そしたら、黒い靄は消えてしまったからね」
「わかりました」
「それから、ノーちゃん。『神気』を込めた剣って作れる?」
「素材にアーちゃんが『神気』を込めてくれたらつくれるよ」
「それじゃあ、レイピアを2本おねがい」
「それってフローリアとクレアの分?」
「そう、彼女達は僕といることが多いから、身を守る武器が必要なんだ。近いうちに上位精霊が契約してくれると助かるんだけどね」
「そういうことなら、お二人と精霊神殿においでください。相性の良い者を探しておきます」
「頼んだよ」
「……」
「サラマンダー、どうしたの?」
「……」
「サラマンダーは、まだいじけてるようです」
「サラマンダー、次は豪快に相手をやっつけてくれ」
「おお、御子様のお申しつけならば何でも焼いてみせますぞ」
単純な火の精霊王であった。




