3話
精霊王達と話した後、アーサーは部屋で寛いでいた。
コンコン
「アーサー様、お食事の用意ができましたので、ご案内します」
と緊張気味にメイドが声をかけた。
「は~い、直ぐ行きます」
と返事をし、シロを伴って食堂に向かった。
「シロは子犬と一緒ですから、怖くないですよ?」
「いえ、決して怖いなどとは……」
とメイドに声をかけたが、メイドの緊張はほぐれることはなかった。
「おっ、アーサー君、似合ってるじゃないっ」
「アーサー様、すてきですわ」
とフローリアとクレアが声をかけた。
「お父様は少し遅くなるらしいので、先に食べましょう」
配膳された食事を食べながらも、控えていたメイドからの視線が気になった。
「リア、さっきから凄く見られてるんだけど……」
「みんな、お客様に失礼よ」
「「「申し訳ございません」」」
「まあ、気になるのは分かるけどね。
アーサー君のお父上はお爺様の弟子でお父様のご友人でもあったのよ。
そして今は私とクレアに武術を教えてくれてるの。わかった?」
「「「はいっ!!」」」
「アーサーです。よろしくおねがいします」
「「「こちらこそ、大変失礼いたしました」」」
「アーサー様、こちらのメイド達は姫様が大好きですから、アーサー様が恋人じゃないのかと心配していたのですわ うふふ」
「全然、そんなことないのにね」
とアーサーは零したが、フローリアは不満そうな顔をしていた。
食後のお茶を楽しみながら、敷地内の説明を受け明日からの鍛錬場所の確認を行ってから各自部屋に戻った。
馬車での疲れをとるため、屈伸などの軽いストレッチをしていると
「アーサー様、公爵様がお呼びです」
と声がかかり書斎に案内された。
「ロバート様、お呼びですか?」
「その『様』付けは止めていただけませんか、殿下」
「『殿下』ってのもやめてくださいよ、ロバートさん」
人払いしているため、ロバート自ら入れたお茶を飲んで談笑していると
「ご主人様、お客様をお連れしました」
と声がかかり赤い髪の男がドアを開け入ってきた。
「ロバート、俺を呼びつけるとはいい度胸だな。くだらん用事だったらゆるさんぞ」
と笑いながらソファーに近づいてきて、アーサーに目をやり固まってしまった。
「陛下、アーサー王子です」
「おお……」
「伯父上、お初にお目にかかります」
と頭を下げたアーサーに国王は涙を流しながら抱きついた。
「ア・アーサー よく無事で! ずっと探していたんだぞっ」
「伯父上、ご心配をおかけしました」
「それに初めて会うんじゃないぞ。お前が生まれて直ぐに会っておるからの」
「まあまあ、とりあえず座ってお茶でもいかがですか?」
とロバート自ら3人分のお茶を入れなおし、にこやかに笑った。
「ロバート、お前はひどい奴だな。何故内緒にしおった」
「それは陛下の驚く顔を見るためですよ」
とサラリと言い放った。
「ロバートさん、父上のことは言えませんね」
と3人は笑った。
「アーサー、早速城にもどり国民に発表せねばならんな」
「伯父上、それはお待ちください」
アーサーはこれまでのことを説明した。
「それでは、その『黒い靄』もようなものが、兄上や義姉上を?」
「精霊達の調べでは、そのようです」
「兄上達の事件もそうだが、大神殿も許せんな。実際俺が結婚せんのも大神殿のご神託とやらでおかしな貴族の令嬢を薦めてくるからじゃしな」
「前々から、可笑しいとは思っておりました。
王妃様がご健在だった頃は国政に口出すようなことはございませんでしたからな」
「しかし、ご神託と言われれば『嘘じゃ』とは言い難いからなぁ~」
「僕のことを託宣させてみればいかがですか?」
「今まで、散々させてみたが、神にも分からぬとぬかしおったわ」
「陛下、おそらく今日入牢させたバーニングに助命の神託だでるのではないかと思います」
「なんでじゃ?」
「バーニングが大神殿に高額な寄付をしてるからですよ」
「どういうことだ?」
「貴族からの大神殿への寄付と今までの神託の時期が一致しているんです」
「なんということだ。それで如何にか対処できるのか?」
「神託を受けた本人を連れてこさせ『神の紋章』を確認させるのです」
「神の紋章?」
アーサーが篭手をはずし紋章をみせた。
「伯父上、『神の加護』をうけたものには、このように『神の紋章』が刻まれます」
記憶を手繰るように目を瞑って
「そういえば義姉上は肩が出る服は着られなかったな」
「おそらく肩に紋章があったんでしょうね」
「この紋章は刃物や魔術でも傷がつきません」
とナイフを抜き自らの紋章に刃を突きたててみせた。
「そうか、その紋章がなかったり傷がついたりすれば偽の神託として処分するわけじゃな」
「陛下、その通りです。これで神殿の奴らに一泡吹かせられますね」
ロバートと国王は悪い笑みを作った。
「そういえば伯父上は結婚されないのですか?」
「うむ、相手がおらんこともないんじゃが、例の神託で反対されておった」
「それじゃあ、問題ないじゃないですか。神託の嘘を見破れば良いだけですから」
「そ・そうか 早速結婚の準備もせねばならんの。わはははは」
「陛下もいよいよ結婚ですか……次は……」
とアーサーを見るロバートがあった。




