13話
「アーサー様、姫様の授業はいかがでした?」
「わかりやすくて良かったですよ」
「アーサー君、頭良すぎよ。すぐに全部覚えちゃうんだもん」
「姫様、そのうち姫様が生徒になるんじゃないですか?」
「クレアったらひどいわ」
「だって姫様、語学とか物事の理とか苦手じゃないですか?」
「あちゃ~ クレアがいじめる~」
「そういうの僕得意ですよ。いつでもお教えしますよ?」
「アーサー君、この後って何か予定ある?」
「特に何もありませんよ」
「じゃあ、魔術か精霊術おしえて」
「いいですよ」
「わたくしもご一緒させていただいてよろしいですか?」
「ええ。クレアさんも一緒のほうがリアも楽しいでしょうから」
アーサーの魔術講座がはじまった。
「自分の持ってる魔力を感じることできますか?」
「私は全然わかんないわ」
「わたくしは少しだけ感じることができます」
「クレアさんは精霊に魔力を与えてますから、なんとなく感じるんでしょうね」
「いいなぁ~」
「まず、足を肩幅に広げて自然に立ってみてください。
そのまま少し腰をおとして目を閉じて、ゆっくり深く息をしてください」
ふたりの様子をみながら
「ゆっくりと心を落ち着けて、意識を自分の中に向けてください」
徐々に穏やかな表情になっていくのをみながら
「お腹のあたりに温かいものを感じませんか?」
フローリアは難しい顔をしはじめた
「リア、探そうとしないで、気持ちを落ち着けて感じるだけでいいから……」
「……」
「……」
「……ん?」
「………なにこれ?」
「はい、目を開けてください。どうでしたか?」
「アーサー様、暖かい塊を感じました」
「アーサー君、何かが身体の中で渦巻いてたっ」
「それが魔力です」
「これがあれば、変なことばブツブツ唱えて魔術が使えるようになるのね」
目をキラキラさせてフローリアは喜んでいた。
「それはちょっと違うかな。僕が知ってる魔術は呪文使わないから……」
「でも、魔術士ってみんな呪文使うんじゃないの?」
「そうですね~わたくしが知ってる魔術士はみんな呪文唱えてますわ」
「いいかい、もし魔術に呪文が必要ならシロは魔術使えないよ?
シロは治癒魔術、防御魔術、攻撃魔術、結界全部使えるんだよ」
「そう言われてみればそうね。じゃあなんで呪文を唱えるんだろ?」
「きっと、古代の人が魔術を教える時にイメージを言葉にして教えたんじゃないかな?」
「イメージ?」
「たとえば『風よ集いて全てを切り裂く刃となれ』って言えば頭の中でイメージできるでしょ?」
「うん、でも何で難しい言葉なんだろう?」
「古代の人だから当然言葉は古代語でしょ。それが、そのまま伝わったと考えれば良いんじゃないかな」
「そういうことか。それと凄い技なんだぞって誇示できるしね」
「真実なんてそんなもんだろうね」
「それじゃあ、魔力には2種類あるのは知ってる?」
「体内魔力と魔気」
「そう、体内魔力を核にして大気中の魔気を集めて発動させるのが魔術なんだ。
自分の魔力を感じられなかったら、核にできないから魔術が使えない」
「そのために魔力を感じる練習をしたのね」
「そう、魔力で核をつくる時に発動したいイメージを込めてやれれば魔術は使えるようになるよ。
強さは魔力次第だけどね。
しばらくの間、この練習を続けて魔力を自然に感じれるようになれば魔術の練習もできるようになるよ。
魔力で体力強化もできるようになるしね」
「そんなことまでできるの?」
「狂獣が強いのは、魔力が暴走して身体が強化されてるからだしね」
「へぇ~ それで剣や槍も通じないって言われてるのね」
「なんかやる気がでてきたわ」
「柔軟もしっかりやってね。明日は練習前に終わらせといてね」
夕食の時間となり、3人は食堂に移動した。
「クレア 今日も一緒にすわりなさい」
「はい 姫様」
「あ~~~お腹すいたぁ~ お爺様早くこないかなぁ~」
「姫様 はしたないですわ」
「二人とも身体は大丈夫そうですね」
「ええ、昼食後精霊に治癒してもらいましたから……」
クレアの傍にいた精霊がアーサーにニコニコ笑いながら手を振っていた。
「おお、そろっていたか。遅くなってすまんかったな」
「お爺様 おっそ~~い」
食事をとりながら今日のことを話していた。
「アーサー君の勉強はそうじゃった?」
「私の教え方が良いから、完璧よ」
「姫様、アーサー様が優秀なだけです」
「いや、リアが分かりやすく教えてくれたからだよ」
「ワッハッハ 本当に優秀なようじゃの。
そのへんはお母上似かの?大変聡明なお方じゃったからのう。
お父上も聡明じゃったが、お母上には負けておった」
「へぇ~美人で頭も良くって優しいなんて完璧な女性だったのね」
「お前じゃ太刀打ちできんわい。お転婆で勉強嫌いで……」
「お爺様!!」
「ワハハハハハ」
「そういえば例の男爵から詫び状がきておったわ。
馬鹿息子の非礼を詫びたのは良いが、アーサー君を貴族に対する不敬罪で裁くから引き渡せなどと書いてきおった」
「「まあっ!!」」
「アーサー君は公爵家所縁の人間で、公爵家の客人である。
子息だけでなく、男爵まで当家に無礼を働くつもりなら、いつでも相手になってやると返事しておいた」
「ご迷惑かけて申し訳ありません」
「かまわんよ。ワシは事実を書いたまでじゃ」
「お爺様 はやく潰してしまいましょう」
「お前は血の気が多いのぉ~。もう少しすればロバートの奴がなんとかするわい」
こうして夜は更けていった。




