無いはずの胃が痛い
スライムに胃ってあるの?
いや、無いでしょう。
それから、あちこちに落ちているコアを回収していると、ミルンさんが
「あら?」
と、声をあげた。
俺もわかる。仲間が近くにいる。
ものすごいスピードでミルンさんの前に、メタルスライムが現れた。
そう、あれはきっと、あの時のメタルスライム。
「人間はどうしました?とにかく助かりました」
そういってフワフワと傾くミルンさんの前で、メタルスライムは
「姐さん、無事でしたか。人間を巻くのに時間かかっちまって申し訳ねぇ」
メタルスライムの方もペコリとミルンさんに頭を下げた。
話を聞くに、ミルンさんは人間との遭遇の前に、このメタルスライムに救援を要請していたようだ。
高速で移動するメタルスライムは、生き残りの俺たちスライムと、人間の亡骸を確認して
「しかし、人間二体を倒すとは。姐さん、強くなったんじゃねえっすか?」
「違うのですよ、メタン。そこの彼のお陰です」
二人の視線が俺に向く。
まばたきをしないメタルスライムの金属的な目が、俺を見る。
何故か背筋が凍るような冷たい感覚が走る。
「ほお、お前さん」
一瞬で俺の眼前に来るメタルスライム。
冷や汗なのか、俺の体を雫が伝う。
「顔を上げな。あっしはメタルスライムのメタンだ」
何故か威圧を感じる俺は、しどろもどろに「どうも」とだけ返事をした。
「あ、そうですわメタン。彼を王に紹介しようと思っていたのですよ。取次をお願いできますか?」
「ああ、まあ姐さんの願いなら構いませんが」
ギロリとしたような目で、メタンが俺を見る。
うう…なんか無いはずの胃が痛い。
あ、そうだ!
「と、とりあえず、人間とコアをどうしましょうか?」
よし、上手く言い出せたぞ。よくやった、俺。
「お前、その喋り。ただのスライムじゃあねえな?まあ、メシでも喰いながらお前の事を聞かせてくれや」
「あ、はい」
ドン
突然、イムオはメタンに体当たりをした。
メタンはその場から動いていない。
体当たりをしたイムオが跳ね返って俺の前で転がっている。
「ともだち!いじめるな!」
イムオ、ありがとう。
気持ちは嬉しいが、俺たちがケンカ売って勝てる相手じゃないんだよ…ほら、睨んでるよ。
「まあまあ、とにかく食事をしながら、これからどうするか考えましょう」
ミルンさんの仲裁で、何事も無くコアと人間を処理することとなった。




