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ただのスライムのはずだったのに  作者: ピモラス
人間たちとの戦い
25/28

崖での攻防

メタンの誘導で人間たちは崖に来たが

 人間達が落石ポイントに迫る。

 メタンさん、うまく逃げてくれよー。


「今だ!落とせ!」


 崖の縁に寄せていた岩を、おおきづちの力と、いっかくうさぎの突撃で次々に落とす。

 轟音を伴い、土煙が谷間を覆う。


 見えない。

 やったのか?

 とにかく今のうちに、仲間たちを引きつれて逃げないと!


 俺は待機していたドラキーの足に掴まれ、崖下に降りた。

 そして、仲間たちの元へ向かった。


 そこにはミルンさんに回復された、鈍色に輝くメタンさんもいた。

「やったな、サブ!おめえはやるって、あっしは信じてたぜ」

「いや、メタンさんのお陰です。とにかく一旦ここから逃げましょう。これだけの岩で道をふさげば、しばらく時間を稼げるはずです」


 そうして、逃げようとしていた所に、聞いたことのある声が響いた。

「…くっく。見事だ。しかし…」

 あくまのめだまが地面から生えてきた。


「イオラ」

 背後の崩れた岩山から、けたたましい爆発音。

 土煙から、人影が迫ってくる。


「みんな!逃げろ!」

「逃がすかよ!」

「ピギー」


 舞う土煙で視界が悪い。

 しかし、回り込み、蹴りを放つ人影が見えた。


 徐々に晴れていく土煙の中、立っている人間は二人。

 武闘家と魔法使い。

 武闘家は顔から血を流し、左肩を押さえているが、魔法使いは無傷に見える。

 あの、ひらひらした服は『みかわしの服』なのか?

 落石を全て躱したのか?


「サブ、どうしますか?」

「おい、サブ。指示をよこせ」

 仲間たちも、黙って俺を見ている。


 戦って、勝てるのか?

 逃げて、逃げ切れるのか?

 どうすれば…


「……くっくっく。お前たちは価値がある。助けてやる。来い」


 あくまのめだまは、誰にでもなく、そう告げた。


 落石の中から、青い鎧の戦士が出てきた。

 最初は、人間の戦士も生きていたのかと思った。


 しかし、違う。


 ガシャンガシャンという機械音。

 青い鎧のような体、左腕の肘から先はボウガン。

 右手には剣を持ち、四本の足。

 丸い顔の前面は空虚な空洞。

 中央に赤い光が一つ。


 嘘だ


 スライムがいる場所に、『キラーマシン』がいるはずがない。

 人間二人もキラーマシンに目を奪われている。


「…くっく。殺れ」


 あくまのめだまは短く、それだけを言った。


 キラーマシンよりも先に、武闘家が動いた。

「キエー」

 という気合と共に、鉄の爪を装備した右手で正拳突きを放つ。

 キラーマシンは避けもせず、その攻撃を胸で受け止めた。

 そしてそのまま振り上げた剣を、振り回す。

 四本の足は地面を捉えたまま、上半身は二回転した。

 武道家の上半身と下半身は離れて倒れた。


 そして、キラーマシンは左手のボウガンを魔法使いに向けた。

 高速の矢が射出される。

 魔法使いはひらりと躱すと、

「ルーラ」

 そう唱えると、上空に飛んで行ってしまった。


 一瞬の出来事だった。



 俺たちは、助かったのか?

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