崖での攻防
メタンの誘導で人間たちは崖に来たが
人間達が落石ポイントに迫る。
メタンさん、うまく逃げてくれよー。
「今だ!落とせ!」
崖の縁に寄せていた岩を、おおきづちの力と、いっかくうさぎの突撃で次々に落とす。
轟音を伴い、土煙が谷間を覆う。
見えない。
やったのか?
とにかく今のうちに、仲間たちを引きつれて逃げないと!
俺は待機していたドラキーの足に掴まれ、崖下に降りた。
そして、仲間たちの元へ向かった。
そこにはミルンさんに回復された、鈍色に輝くメタンさんもいた。
「やったな、サブ!おめえはやるって、あっしは信じてたぜ」
「いや、メタンさんのお陰です。とにかく一旦ここから逃げましょう。これだけの岩で道をふさげば、しばらく時間を稼げるはずです」
そうして、逃げようとしていた所に、聞いたことのある声が響いた。
「…くっく。見事だ。しかし…」
あくまのめだまが地面から生えてきた。
「イオラ」
背後の崩れた岩山から、けたたましい爆発音。
土煙から、人影が迫ってくる。
「みんな!逃げろ!」
「逃がすかよ!」
「ピギー」
舞う土煙で視界が悪い。
しかし、回り込み、蹴りを放つ人影が見えた。
徐々に晴れていく土煙の中、立っている人間は二人。
武闘家と魔法使い。
武闘家は顔から血を流し、左肩を押さえているが、魔法使いは無傷に見える。
あの、ひらひらした服は『みかわしの服』なのか?
落石を全て躱したのか?
「サブ、どうしますか?」
「おい、サブ。指示をよこせ」
仲間たちも、黙って俺を見ている。
戦って、勝てるのか?
逃げて、逃げ切れるのか?
どうすれば…
「……くっくっく。お前たちは価値がある。助けてやる。来い」
あくまのめだまは、誰にでもなく、そう告げた。
落石の中から、青い鎧の戦士が出てきた。
最初は、人間の戦士も生きていたのかと思った。
しかし、違う。
ガシャンガシャンという機械音。
青い鎧のような体、左腕の肘から先はボウガン。
右手には剣を持ち、四本の足。
丸い顔の前面は空虚な空洞。
中央に赤い光が一つ。
嘘だ
スライムがいる場所に、『キラーマシン』がいるはずがない。
人間二人もキラーマシンに目を奪われている。
「…くっく。殺れ」
あくまのめだまは短く、それだけを言った。
キラーマシンよりも先に、武闘家が動いた。
「キエー」
という気合と共に、鉄の爪を装備した右手で正拳突きを放つ。
キラーマシンは避けもせず、その攻撃を胸で受け止めた。
そしてそのまま振り上げた剣を、振り回す。
四本の足は地面を捉えたまま、上半身は二回転した。
武道家の上半身と下半身は離れて倒れた。
そして、キラーマシンは左手のボウガンを魔法使いに向けた。
高速の矢が射出される。
魔法使いはひらりと躱すと、
「ルーラ」
そう唱えると、上空に飛んで行ってしまった。
一瞬の出来事だった。
俺たちは、助かったのか?




