メタルスライムがあらわれた
絶望しかけるサブの前に現れたのは
「メラ!」
戦士の盾に火の玉が炸裂した。
突如現れたメタンは、人間達の前に躍り出ていた。
「メラ!メラ!メラ!」
人間たちに向かいメラを乱発し、人間たちが動く前に霞むように消えた。
そして、俺の前に幻影のように透けて見えるメタンさんが現れた。
「おい、サブ。どこにいけばいい?指示しろ」
そうだ、まだ終わってない。
諦めるな。
「メタンさん。崖へ。人間を引き付けて、崖へ」
「わかった」
メタンはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「あっしの使う魔法の事を、誰にも言うなよ?」
そう言い終わる前に、メタンの姿は消えていた。
メタンの声が聞こえた。人間語だ。
「おい、ボンクラ人間ども。これでも喰らいな。メラミ」
スライムよりも大きな火の玉が、人間僧侶の背中に当たった。
「ベホイミ」
僧侶はすぐに回復した。
だが…
「マヌケみーっけ。そらよ」
メタンは僧侶にターゲットを絞ったのか、回復魔法を唱え終えた直後の僧侶に高速の体当たりをした。
戦士が守ろうとするが、メタンを捉えることはできなかった。
メタンに突き飛ばされた僧侶は転倒した。
武道家の目にも止まらない連撃を、霞むメタンは躱し、魔法使いの頭の上に乗った。
「ほれほれ、マヌケども。とろくてあくびが出るわ」
見事な挑発に、立ち上がった僧侶の顔は真っ赤だ。
そうだ、見とれている場合じゃない。
「みんな、崖へ行くぞ!」
こうして俺たちは崖を目指した。
俺はミルンさんと一緒に崖の上にいる。
ここに来る途中でミルンさんたちと合流した。
生き残りの大半は、崖の先で『囮役』をしてもらっている。
当然、無駄死になんてさせない。
崖の上には、おおきづちといっかくうさぎが待機していた。
岩を落とす準備は出来ていた。
来た、本当に来た。
つかず離れずの距離を保ちながら、メタンさんは人間たちを全員引き連れてきた。
「ほらほら、どうした人間ども。メラ!メラミ!ギラ!」
相変わらず炎の呪文をまき散らし、挑発を続けている。
しかし、メタンさんも無傷ではないようだ。
光沢のない、霞んだ金属のように見える。
「バギマ」
「よせ、呪文は効かない」
「捕えるのは無理だ。倒すぞ」
人間たちは、メタンさんを捕えるつもりだったのか?
だが、今それは重要じゃない。
しかし、人間たちがダメージを受けているようには見えない。
やれるのか?
違う
倒すのが目的じゃない
メタンさんは崖の落石ポイントへついた。
チラリ、とだけこちらを見上げた。
わかってます。
「サブ、私は下に降ります。もし人間たちが生き残ったら時間を稼ぎます」
ミルンさんは有無を言わせず行ってしまった。




