街の酒場
今回も人間視点です。
ちょっとの間、スライムのサブは出てこないかも?
「で、後衛の二人を捨て置いて、前衛の戦士のアンタ一人で逃げてきたのか?」
「たかがスライム相手に?スライムなんて、ただの水ぶくれだろ」
「はっはっは、こりゃ傑作だ。おい、クランク。つくならもうちょいマシな嘘つけよ」
「お前、武器も盾も捨ててきたのか?大赤字じゃないか!」
「おい、ウチの猫がこの前スライム倒してたぞ?」
酒場の誰も、俺の話を信じない。
途方にくれていた俺は、マスターに呼ばれた。
カウンターに座った俺に、マスターは言った。
「クランク、依頼を出すかい?その場所まで案内はできるか?」
俺の返事を待たずに、周りの酔っぱらいどもが湧き立つ。
「おいマスター!こいつの話を信じるのか?」
「前の勇者が魔王の所に行ってから、魔物が街を攻めてこなくなった。しかし、強い魔物はどこかに潜んでいるって噂もあるしな」
「ああ、依頼はいくらだ?金額によっては受けてやるよ」
「森の中は、そんなにたくさんのスライムがいるのか。小遣い稼ぎに行ってみようかな」
「おい、クランク!なかなか盛り上がる話で酒がうまいぜ」
俺は行かない!あんな恐ろしい所には、もう二度と行きたくない!
クランクが酒場に戻った三日後、掲示板には酒場からの依頼が張り出された。
『”スライム森のモンスター調査”
報酬
五十ゴールド (結果次第で上乗せ有)
依頼内容
スライム森の生息モンスターを複数種討伐し、そのコアを酒場に提出する事
その他条件
三~四人のパーティ推奨
スライム・ドラキー・ゴースト程度のモンスター討伐経験者』
張り出された依頼書を見ながら、酔っぱらいどもが騒ぎ出す。
「安いなー」
「駆け出し向けか?」
「おお?お前ら、行って来いよ!薬草一個やるから」
一人の酔客のその声に、視線が一つのテーブルに集まる。
若い三人組のパーティが座している。
別の酔っぱらいが指をぱちりと鳴らし
「ああ、そいつはいいや。おまえら、草原のスライムばっかり狩ってるしな」
そう言って笑い出した。
三人組の彼らはお互いの顔を見合わせた。
「どうしようか」
と魔法使いのライムが問うと、戦士のガジが
「五十ゴールドあれば、もうちょっとマシな装備が買えるかな?」
と手に持つ“たけざお”を眺める。
盗賊のトムは少し考えてから席を立ち、一人の酔っぱらいの前に立った。
「おい、あんた。本当に薬草くれるのか?」
「おお?やるのか?ほら、持っていけ!」
酔っぱらいは、腰の袋をトムに突きつけた。
「帰ったら、面白い話を聞かせてくれよ!クランクよりもな!」
こうして、彼らはスライムの森に向かう事になった。




