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湿地に帰る

王の元から、湿地に戻るのだが…

 俺とミルンさんは、スライムの王であるローニさんの洞窟から湿地に戻る事になった。


 スライムの移動速度だと結構遠いらしい。

 だけど、ミルンさんと「作戦会議」と称した散歩デートになった。


 よし、ゆっくりと移動しよう。


「王は、この森を愛しています。スライムたちが平穏に生きるこの森を」


 道中で聞いた、ミルンさんのその一言は、俺の心に響いた。

 ここは、俺にとっても安息の地。

 元人間だが、人間が荒らしにくるならば、容赦しない!


 と、意気込んでも、俺は最弱のスライムだ。


 そこで、ミルンさんに

「待ち伏せして不意打ちとか、罠を仕掛けたりできないかな?」

 と、聞いた時のミルンさんの飛び上がった姿は面白かったけど、かわいかった。


「実は私は、その…戦闘が…苦手なのです。回復は得意なのですが…詳しく聞かせてください」

 ええ、回復が得意なのは知っています。


「例えば、落とし穴を掘って、そっちに誘導するとか…スライムじゃ穴を掘れないかな?」

「森の外れに『いたずらもぐら』と『いっかくうさぎ』がいます。穴掘りが得意な彼らに協力を頼めば……」

「細い崖の上から石を落とすとか……非力なスライムでも、たくさんいればできるかな?」

「そうですね……森のおおきづちなら、協力してくれるでしょう。彼らは力持ちです」


 話に夢中になっていたら、湿地に帰ってきていた。

 もうちょっとミルンさんと二人でお話ししたかったんだけど……


 ドンッ


「おまえ、おかえり!ぼく、イムオ!」

 イムオが俺を発見し、勢いよく体当たりをしてきた。

 俺も負けじと体当たりをする。

「はは、ただいまイムオ。俺の名前は”サブ”だ。『おまえ』じゃなくて『サブ』と呼んでくれ」

「おまえ、サブ。なまえ、サブ、おまえ!」

「ああ、おまえじゃなくて…まあいいか」

 嬉しそうに、ぽよんぽよん跳ねるイムオを見て、俺も一緒に数回跳ねた。


 さっきまで、「作戦を立てれば、ワンチャン人間を撃退できるかも」なんて考えていたが、スライムが作戦通り動いてくれるのか?

 ちょっと不安だが、イムオやみんなを守るんだ!





 ミルンさんは、協力してくれそうなモンスターに声を掛けてくると言って行ってしまった。

 俺は湿地周辺にいるスライムを集めた。

 自由なスライムたちは、あまり集まらなかったが、そこそこ近くに来てくれた。

 大きな声で

「みんな、聞いてくれ」

 とは言ってみたものの、やはり聞いている者は、ほとんどいない。


 ああ、これはダメかもしれない。

 イムオだけが、何故かじっと俺を見つめている。

「ちゃんと聞いてくれるのはイムオだけだよ。あれ?イムオってそんなキャラだったっけ?」

「サブ!なまえ、サブ!」

 イムオは真剣な顔で、俺の名前を呼ぶ。


 んんんん?

 何故か、イムオが何を言いたいのかわかった。

 よし、イムオの言う通りにしよう。


 大きく息を吸ってから

「俺の名はサブ!王から名前を与えられたサブだ!皆、聞け!」

 ちょっと恥ずかしかったけど、これでいいんだな、イムオ。

 イムオはキリっとした顔で俺を見ている。


 目線をイムオから他のスライムに移す。

 あれ?あれれ?

 みんな、俺を見ている……

 よし、なんだかわからないけど、今だ!

 なるべく難しい言葉を使わないようにしないと。


「みんな、俺に力を貸してくれ!森を守るために!」


 …

 ……


 あれ?

 周りのスライムたちは動きを止めて俺を見ている。

 それ以外の反応が無いんだけど……


 ええい、このまま話を続けるぞ。


「森に人間が来たら、みんなで力を合わせて戦うんだ!倒せなくてもいい。追い返せれば、みんなが無事なら、それでいい。だから、協力してほしい!」

 スライムたちは相変わらずの無反応だけど、言い切ったぞ!


 ちょっと作戦を変えないとダメかも……


 ドン


 イムオが俺の上に乗っかってきた。

「おい、イムオ。今は遊んでいる場合じゃ…」


 ドン

 ドン

 ドン


 他のスライムたちも俺の体に体当たりをしたり、上に乗ろうとしている。

 いたたたた…いた…痛くない!?


「イムオ、サブにかす、ちから」


 一瞬の眩暈

 一瞬の煙が見えた


 俺の体は大きくなっていた。

 イムオや他のスライムが消えた?


 ……違う。


 イムオたちは、俺だ。

 俺たちは今、一つだ。

 これは、スライム合体「キングスライム」状態か!


 しかし、すぐにまた眩暈が起きて、体がバラバラになった感覚だけが残る。

 周りにはスライムたちが散乱している。

 でも、なにか「繋がり」を感じた。

 言葉ではなく、「感覚」で理解してくれたような気がした。


 だけど、合体状態の「キングスライム」を維持するのは、難しい。

 直感でわかってしまった。



 しばらく放心状態でいたのか、気が付いたら目の前にメタルスライムがいる。

 至近距離で、じっと俺を見つめている。

「メ、メタンさん?いつのまに」


 メタンは高速の体当たりをしてきた。

 七のダメージ。


 ニヤリとしたような表情のメタンは

「おう、サブ。おめえ、すげえじゃねえか。おやっさんに…」

 俺は最後まで聞き取れず、倒れた。



 キラキラと眩しい魔法の光で目が覚めた。

 ホイミスライムがホイミを唱えてくれたようだ。

 俺のヒットポイントは全回復した。


「おう、すまねえな。力加減を間違えた」

 メタンさんが「ペロッ」と舌を出して謝っていた。

 俺は最弱スライムです。

 もう二度と攻撃しないでください。

 死んでしまいます。



「元々あっしは森の監視役でさー。人間とか、強いモンスターが来たらおやっさんに報告したり、ピンチの仲間たちを出来る範囲で助けたりと」

 ああ、すばやさの高いメタルスライムならではだ。

 本気で逃げれば、人間じゃ追いつけないだろう。

 そもそも固いし、簡単にはやられないはずだ。


「で、サブよ。おめえの様子も見ておこうと思ったら、おめえ。キングになってやがったじゃねえか。たまげて飛び出しちまった」

「いや、自分でもどうやったのかわからなくて……」

「おやっさんの影響もあるかもしれねえが、てえしたもんだ」

 メタンさんは、体を震わせて俺に体当たりをしてくる。

 加減しているのだろうけど、痛いです。

 ほんと、やめてください。



「人間どもがシマに入ってきたらよ、サブ。おめえに伝える。後はわかるな?」

 それだけを言い残して消えてしまった。


 色々と驚いたけど、準備しなきゃ。

 メタンさんにも手伝ってほしいけど、きっとこの湿地以外も守備範囲なのだろう。

 みんなを守る為にがんばらないと。

 ミルンさんが戻ってきたら、行動開始だ。


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