↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/6

第1話 昭和57年の夏と、始動する計画

昭和57年、夏。

カンカンと照りつける太陽の下、15歳の小太郎は汗を光らせながら、いつものように海沿いの海岸線をジョギングしていた。潮風が心地よく頬を撫でる、ごく普通の、平和な夏の日常。


だが、その上空——小太郎の視界には入らない遥か高空では、監視ユニットのガーディーが冷徹にデータを解析していた。


『GPSデータ照合……。ターゲット接近まで、あと2分。亀型24T2、現場到着。……横転準備。5、4、3、2、1、――横転!』


その瞬間、砂浜の上で、大きなカメがコロンと不自然にひっくり返り、四本の足をバタつかせた。

走り抜けようとしていた、小太郎の目に留まり、足を止めた。


「おいおい、どうしたんだよ! 大変じゃないか!」


小太郎は迷わず駆け寄り、汗だくになりながら重いカメを持ち上げ、優しく波打ち際へ放流してやった。ゆっくりと海へ消えていくカメを見送りながら、小太郎は満足そうに笑う。


だがその瞬間、『亀型ロボット24T2』の背中センサーが密かに作動していた。


『指紋照合完了。――ターゲット、王子・小太郎本人であることを確認しました』


海中の通信回線を通じて、地上で「町の修理工」として潜伏している連絡役の千春へデータが飛ぶ。


「了解」


千春は短く返事をし、通信機に向かって静かに次の指示を出した。


「ユキ、王子はあと15分後に帰宅予定。セットしてくれ。……ガーディー、帰宅確認後、戻ってこい」


15分後。

いつものように汗をぬぐいながら、小太郎が自宅の玄関を開けた。


「ただいまー!」


「お帰りなさい」


小太郎の母、ユキが、いつもの温かい笑顔で小太郎を迎える。


「母さん! 今日さ、海辺で大きなカメがひっくり返って苦しそうにしてたんだよ。だから俺、そっと海に放流してやったんだ!」


「まあ、大変だったわね。ふふ、ご苦労さま。今日の晩御飯は、小太郎の大好きなカレーよ」


「やったー! カレーだ!」


無邪気に喜んで奥へ走っていく小太郎の背中を、ユキは愛おしそうに見つめていた。


同じ頃——遥か深海に存在する超ハイテク都市、竜宮城。


壮大なホログラムが浮かび上がる玉座の間で、主である乙姫が側近たちを前に静かに語りかけていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。