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第2章-4 ある自動車評論家のメモ

11月〇日、MTエンヂニアリングの新車発表会に参加。

発表会の対象であった86-S6は、かつてのAE-86をほうふつとさせる、シンプルな直線で構成されたコンパクトなICE車であった。

なんと、外寸はこだわりの、ジャスト旧5ナンバーサイズ。

このサイズがかつては日本車の大半だったこと、日本の道路事情にベストフィットであることを思い出す。

この小さな車に、1.3L(!)直列6気筒エンジン(!!)を収め、しかも4人乗りのオープンカー、ちょっとした魔法である。日本人以外は想像すらしないパッケージングであろう、と確信する。

しかも、常用燃費は15~18L/㎞を期待できるとのこと、アクセルを開けなければ意外なほど燃費が良いのだ。

軽量が最大のメリット、ということである。


藤原拓海氏の運転による助手席体験;

まずは、初対面のレジェンド、藤原拓海氏が駆る86-S6の助手席に乗せていただいた。

スピードの求道者的な、職人的なイメージをなんとなく事前に持っていたのであるが、実際の彼は穏やかで、ご自分から話す感じではあまりないが、こちらの質問にはにこやかに対応してくれた。貴重な体験をさせていただいたことと併せ、感謝している。


①低回転運転

 まずは、キーを捻ってモードをSAVINGに入れ、低回転・高燃費運転。指紋認証キーをそのままモードセレクターに使うギミックは、新鮮であるが合理的。

 正直、SAVINGモードにはあまり期待していなかったが、非常に印象的な経験であった。走り自体は、回転数を低く維持し、一度つけた加速度は無駄にしない運転なのであるが、なんというのだろう、それが極端というのか、過去経験したことが無いラインどりで、非常に興味深かった。

 氏いわく、速度を出すためではなく「重力を味方にし、エネルギーを無駄にしない」ライン。下りでは重力で加速、上るときには出来るだけアクセル開度を抑えた最低限の加速を前もって実施し、勢いで登りきる運転。時速80㎞程度のクルージングであるが、コーナーでも速度を感じさせない、きわめてスムーズな運転。しかしドリフトしまくり。気持ち良い体験であった。

 なんと、メーターが示した燃費は、26L/㎞。ワインディングロードでこの数字は、燃費に全振りしたHEVより良いのではないだろうか。


②高回転運転

 こちらについては、予想通りと言おうか、予想していてなおはるかにそれを超えていたと言おうか。

 ほぼ常時キンコン音が鳴り続け、景色が横に流れる。(なお、この速度警告音はON-OFF可能とのこと。私の世代だとニヤリとさせられる)

 高回転で回る1,300cc直6エンジンのサウンドは官能的であったが、楽しむにはほど遠い。

 速いだけではない。ここでブレーキ、ここでクリップ、といった経験からくるポイントが、全く合わないのである。これは、怖い。おそらく、自分で運転をしない人間だと、わからない怖さではないだろうか。

 池谷氏の気持ちが分かった。

 仕事だったのでなんとか気絶しなかったが。なお、燃費は4L/㎞。

 なお、SUPERモード時のイルミネーションは、助手席からはあまり印象的ではなかったが、後から動画を見てかなり驚いた。美しく、特別なモードに入ったことが一目瞭然。藤原氏はあまり好きでは無さそうであったが。

 

86-S6の試乗会につづき、予定外であったが急遽、開発中のRX-zzの試乗会が行われた。

RX-zzは開発中であるが、かなり煮詰まっている印象であった。


これは、TKマッハコーポレーション社長、高橋啓介君の発案だった模様。

「試乗はハチロクだけで、ロータリーは見るだけなんて、お客さんに気の毒ですよ!」という話声が聞こえてきた。「自分が乗りたいだけでしょ」という小さな声も聞こえたが、あれは片桐カナタの声ではなかっただろうか・・・

旧知の高橋君が運転する助手席に乗せてもらった。彼がキーを操作すると、右後輪前のエアインテイク部分が、後ろ斜め上に持ち上がったのには驚いた。何と、後部座席用の出入り口が、エアインテイクを動かすことで作られるのだ。バッグを後部座席に放り込んだ高橋君がにやりと笑う。私の驚いた顔を見たかったのだろう。思惑通りに驚いてしまったわけだが、これは誰でも驚くだろう。


①低回転運転

 ロータリーエンジンの音はほとんどしない。レンジエクステンダー的に、静かに低回転で安定稼働。

 正直、ロードノイズに紛れて、エンジンの存在すら忘れるレベル。

 この状態では、ほぼFR的な挙動。パワフルではないが、低重心・比較的軽量の車体と相まって、きわめて走りの質は高い。

 高橋君は、「寝てくれてもいいですよ。double-zというよりzee zee zeeですよね」と笑いながら流す。彼は、その気になればいくらでもおしとやかな運転ができるのだ。この車をオープンにして北海道の原野の中の道を走ったら、最高に気持ちいいだろう。


②高回転走行

 性格がガラッと変わる。zzzモード(笑)が眠くなるほどに穏やかな運転だとしたら、こちらは、暴力的なまでに前輪が引っ張り、後輪のモーターが押し、全体としてはFFベースのAWD的な挙動に一変する。

 エンジン音が甲高く咆哮する。zzzモードでのおしとやかさから一転して、高らかに自己主張を奏でる。どうやら忘れさせてくれていただけだったらしい。

 可変エアロ(透明なので、展開するまで存在に気付かなかった)が展開する。ギミックとして極めて印象的。

 ウエストがくびれた滑らかな曲線から構成されるボディに、透明な羽根は、一見して妖精の女王のような印象を与えるが、女王だとしても相当なじゃじゃ馬である。

 重量バランスの良さもあって、スポーツカーとしても相当に速い。

 速いが、怖くない。藤原氏の運転と異なり、私が知る既存の運転技術の延長線上にあるからだろうか。

 基本通りのグリップ運転、ドライバーが余裕をもって走らせていることもあり、走りは滑らかなことこの上ない。

 ロータリーサウンドを満喫させていただいた。

 燃費は悪そうだが・・・と思って聞いたところ、回答は以下の通り。

 「PHEVなので言いにくいですが、zzzモードと本気走行モードだと、ざっくり10倍違いますよ」

 とのことであった。

 この車で北海道や九州の道を駆け抜けたら、うっかり時速140㎞で一発免停とか、捕まらなかったとしてもいつの間にかガス欠とか、リアルに心配。

 なお、こちらはSUPERモードのイルミネーションは、もっと派手であった。「プログラムできるんですけどね、まずはデフォルトで選べる中から一番派手なのにしておきました」とのこと。


所感:

 これだけ自動運転EVがシステムとして普及し、個人で乗用車を所有することが減ってきた現代ではあるが、いずれも1台で普段使いでの効率の良さとドライビングの楽しさを両立できる、面白い2台であった。

 それなりに商売になるのではないか、という期待が持てる。

 こういう車を求める層は、意外と多いのではないか。MFGの隆盛は、自分でも運転してみたいという若者を増やしているとも言うし・・・

 私も買いたいが、どちらを買うかが問題だ。

 若い時だったら86、家族と一緒にまったり走る(のがメイン)だったらzz、だろうか。

 86には、昔の歌を思い出させてもらった。三人乗ればいっぱいで、タイヤがきしんで・・・還暦に近い私にとって、青春時代を思い出させる車であった。

 zzは、どうだろう。この車は、少しシートを傾けて、気楽に、北海道や九州や、オーストラリアやインターステートをほんの数百キロ駆けさせるのがふさわしい気がした。モーターだけで維持できる程度のゆったりした速度で。高橋君だったら、下品に追い抜いていくV12のアメ車を、むきになって追い回すのだろうな、と思ったら、リアルに情景を想像できて笑えた。突然イルミネーション派手派手になったRX-zzに追い回されたら、かなり驚くのではないだろうか。

この世界線では、こちらの世界と異なる歴史を辿ったとして、以下の前提を置いています。

・1990年代初頭に画期的な電池の技術が発明された。

・日本国内で、BEVの開発・投入が世界に先駆けて実施された。その際、軽自動車~小型車中心、フリート、郵便局・宅配業界から進捗。V2G技術にも初期から対応。

・進んだBEV技術は、自動運転技術の開発も促進した。

・その結果、電池及び電動機器類は、こちらの歴史と比べ、2010年時点で25~30年先を行っている。ドローンも、その影響で高性能化。

・東日本大震災の際、原子力発電所の冷温停止に成功。また、被災地では、郵便局などがBEVがV2G技術で被災者を支援。日本の原子力発電、BEV技術が国際的に注目を集めた。

・被災地復興に当たり、特区となった被災地では、自動運転BEVを前提とした街づくりが行われた。

 法対応も加速し、BEVの有用性が一気に脚光を浴び、内燃機関車への研究費が削られることとなった。

・5ナンバーという区分は、このころに廃止されている。

・BEV化が進展し、内燃機関車がほぼ趣味用途での旧車のみとなった頃、富士山が噴火。

 BEVがインフラに強く依存すること、インフラを失った場合には内燃機関車が利便性を発揮することが全世界に示された。

・この事態に対応するために閣議決定で通された臨時法案が、その後の復興事業の必要性から延長された。噴火時点で、既にBEVへの以降がかなり進んでいたが、復興のために液体燃料使用の移動機器が大量に必要となったため、中古車両の雑な整備(ニコイチを含む)による投入、試作品や改造車両の投入もやむなし、とされたため、以下の条件を付したうえで特殊ナンバーを発行。 ①災害指定地域内での使用には制限なし。但し事故発生時の損害賠償責任は当然あり ②災害指定地域内外での使用にあたっては、前後の2基、またはそれ以上の数の車載カメラ搭載と自分で消去不能なログの取得を義務付ける。(復興のために、当然ながら指定地域外でも走行が必要であるため) 事故発生時には、ログの確認により、法令違反には重加算された罰金・減点が課される・・・換言すると、多少素性がアヤシイ機械であっても、運営するものの責任において使用可能、但しログは残し違法行為があった場合には厳しい処罰、という運用となった。正式な法律名は非常に長く、魅力と覚えやすさ双方を欠いていたため、『MFG法』という通称が半ば公式名称として扱われる。レースのMFGという名称は、もともとこの法律を念頭に置いて決定されたと世間では理解されている。

・なお、噴火直後、E-powerやロータリーエンジンの辛うじて残っていた工場は、オーダーすら受けていない時点で、内燃機関利用の発電機向けのフル生産を開始した、という話が巷間伝えられる。供給した会社はいずれも黙して広報活動しなかったため、真偽不明であるが、発電機が投入されたタイミングから間違いないと世間では理解されている。

・本旨から外れるが、化石燃料輸入量の大幅減、原子力発電システムとBEVシステム輸出量増で、この世界では某現実世界と比べ、日本円ははるかに強い。(1 USD=95 JPYをイメージ)


長くてすいません。しかし、MFゴースト世界でのBEVの普及速度に屁理屈をつけるためには、最低でもこのくらいの説明がいると思うんです・・・これでも、大型建機とか、どうなっているんだろう、と考えるとかなり厳しいです。やっぱ水素かな・・・燃料電池搭載の大型車って、動く工場みたいに運用できると思うんですよ。昔、『ラグナロック・ガイ』という漫画に、移動医療車という車両が登場していましたが、あれも、何らかのxEVに違いない(確信)。

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