第77話 顔面がパンみたいにふくれてるしー鼻からちもでてるよー
夢を見ている。
『太郎くん。東京に行くって、ほんと?』
「ああ」
夢の中の俺は学生服を着ていて、学生鞄を自転車の籠に乗せ、自転車を手押ししながら帰路についていた。その横を、おかっぱ頭の綺麗な女の子が歩いている。高校時代の同級生、すみちゃんだ。
すみちゃんは地元の名家の娘さんで、文武両道の優等生だった。男勝りな所があるけれど明朗闊達な性格で同学年どころか下級生にもファンが居たのを覚えている。3年間同じ学級に居たから、彼女とは結構仲が良かった。ただ、卒業したら地元の大学に進学する彼女と東京に出る俺はこの日。高校の卒業式以降会う事はなかったんだ。
前世の懐かしい思い出だ。でも、今回俺が求めているものとは違う。収穫があるとすれば鞄と学生服、それに自転車だろうか。
『じゃあ、第二ボタン。貰っても良い?』
「ん……」
ぶちッと俺が学生服の第二ボタンを引きちぎって彼女に渡すと、すみちゃんは寂しそうに笑ってそれを受け取った。
よし、次の夢に行かないとな。
「チェンジ! ザンム、もう一回頼む!」
「えぇ……えい」
「ぐふっ」
起き上がった俺の言葉を聞いて、ザンムが心底嫌そうな表情を浮かべて俺に拳を叩きつける。間近に迫る熊パンチを眺めながら、俺は確信を覚えた。これならいい夢見れそうだ。
『太郎! 反政府派のテロ組織が襲ってきたぞ! あいつら見境ねぇんだ!』
「人命は! 死傷者は出てるのか!?」
『倉庫の警備員が負傷してる! あいつら、倉庫の中身を全部持ってくつもりだ!』
安全ヘルメットをかぶったアラブ人のヤコッペが、肩に担いでいたライフルを構えて叫んでいる。これはサハラ砂漠に建てた支社に左遷された時の夢だな。移動はもっぱらラクダで、誰も彼もがスーツなんて着ないでトーブを着て生活してた。もちろん俺もだ。
ヤコッペに連れられて倉庫に向かうと警備員を拘束した反政府テロ組織……というかもう規模的には反乱軍だな。こいつらが倉庫の中身をバンバン自分たちのトラックに突っ込んでる所に出くわした。銃口を周囲から向けられながらなにをしているのかと叫んだら、これを革命の原資にするんだ答えが返ってきた。ふざけた話だ。
「うちの物を持っていくなら対価を払え。アッラーの神様ってのは取引相手に銃弾を撃ち込めって教えてんのか?」
『ほぉ。剛毅な男だ。気に入った』
相手のリーダーだったモハメドさんはテロリストの割には育ちの良さがわかる紳士で、政府を倒した後なら対価を支払うって言ってきたんだけど。まぁ、こっちも商売だからな。テロリストに物資を提供したって言われても困るから、代わりに砂漠で一番役に立つものを提供すると言って井戸掘りを俺の責任で行ったんだ。
最初は出る訳ないだろと反乱軍の連中も笑っていたが、そこはダウジングの太郎ちゃんと呼ばれた俺の腕の見せ所。二本の金属棒を持って砂漠を練り歩き、反応があった場所を掘ったら見事に水が出てきたのだ。そっからは反乱軍の連中も態度を変え、モハメドさんは俺の事を『遠い地の兄弟』とか呼んで妹を嫁に貰ってくれって言ってくれた。ただそっちは断った。勝手に重機を動かしたって事でサハラ支社から日本本社に叩き返される直前だったからね。
数年後くらいに政府をぶっ倒したってニュースで見た時は、さもありなんと思ったもんだ。なんというかカリスマ性ってやつ? 明らかにただのテロリストじゃないって思ったし実際にどっかの国の王族だったらしいからな。まぁこの夢もちょっと目的の者とは違う……とは言えないか。
この夢の中、俺と一緒に働いていたヤコッペがつけていた安全ヘルメットには防塵ゴーグルがついているのだが、こいつは水中ゴーグルとしても使えるのだ。うちのサハラ支社が日本から持ち込んだ商品でヤコッペは勝手にそいつを使っていたんだが、問題はそこじゃない。
倉庫だ。夢の中に出ていた倉庫には、うちのサハラ支社が取り扱っている商品がバッチリ収められている。この中には、ヤコッペがつけていた防塵ゴーグルの子供版も含まれているのだ!
「という訳で、システィ! このゴーグルをつけてみてくれ!」
「ぶえええぇぇん! 兄ちゃ、兄ちゃ! おけがしてる!」
「ちょ、アンタ大丈夫!?」
目的のものを創り出した俺は、満面の笑みを浮かべながら妹にゴーグルを届けた……んだがちょっと様子がおかしいな。見た事が無い勢いで妹が泣き出してしまった。こう、最高のゴーグルを用意したお兄ちゃんが頼れる姿を見せて、妹が感激して抱き着いてくるってのがパターンだと思うんだけども。
「俺、そんなひどい顔してる?」
「顔面がパンみたいにふくれてるしー鼻からちもでてるよー」
「そいつはひでぇな」
そりゃそんな奴が近寄って来たら妹も怖がるはずだ。つい夢中になって現実を見ていなかったな。猛省しないと。
「そんな事はどうでも良いわよ! 早く治療しないと」
「あ、ロゼッタ。今日は引率の手伝いありがとう、これシスティに渡してあげて。水中でも目が痛くならないから」
「なにそれ、うちの家で扱いたい……じゃなくて。ああ、もう! とにかく、アンタはこっちで寝てなさい! コーケン師範代には私から伝えておくから」
実家が海軍なロゼッタにとってもこのゴーグルは魅力的な物みたいだ。まぁ泳ぐときの負担が結構少なくなるしな。
確保しておいた海の家横のスペースにはゴザが敷かれているため、そこの一角に寝かされる。俺としては全然イケるんだけど、顔のケガはどうしても見た目が派手になるからなぁ。周りが心配するのは頷ける。だから妹よ、その包帯は止めなさい。グルグル巻きにしてもケガは早く治らないんだぞ。
「しかし、まぁ。なんだ、こういう日もたまにはいいもんだなぁピッグス」
「いや怖ぇよ。なんでさも良い話だなぁで纏めようとしてんのお前。いきなり猟奇的事件が砂浜で起こって真夏の砂浜が真冬みたいに静まり返っちゃったじゃん」
「お、おう。すまん」
ピッグスと軽口を叩いていると小腹が空いたのでラーメンを創り出す。ただ、口の中が切れてるから辛かったり熱いものはNGだ。という訳で真夏にピッタリなザルラーメンである。つけダレにつけて食べるのだがこれがまぁ……めちゃめちゃ血の味がするけど、食べている内に口の中が治ってきたのか途中からは美味しくつるつると食べることが出来た。
ううん、ざるラーメンは美味しいんだが、ケガをしたからか体がエネルギーを欲している。後でピッグスから鉄板を奪い取って焼きラーメンでも作るかな。最近妹は目新しいラーメンじゃないと食べてくれない贅沢さんになっちゃったけど、焼きラーメンならきっと食べてくれるはずだ。
タロゥ(8歳・普人種男)
生力35 (35.0)
信力99 (99.9)ー
知力34 (34.0)
腕力40 (40.0)
速さ35 (35.0)
器用34 (34.0)
魅力33 (33.0)
幸運23 (23.0)
体力35 (35.0)
技能
市民 レベル3 (100/100)ー
商人 レベル3 (100/100)ー
狩人 レベル3 (100/100)ー
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル3 (100/100)ー
薬師 レベル3 (6/100)UP
我流剣士 レベル4 (100/100)ー
木こり レベル2 (70/100)
楽士 レベル3 (18/100)UP
教師 レベル2 (82/100)UP
パチン・コ流戦闘術 レベル5 (18/100)UP
テイマー レベル0 (82/100)UP
絵師 レベル3 (3/100)UP
語り部(紙芝居) レベル5 (10/100)UP
スキル
夢想具現 レベル2 (100/100)ー
直感 レベル3 (59/100)UP
格闘術 レベル3 (84/100)UP
剣術 レベル5 (37/100)ー
弓術 レベル4 (53/100)UP
小剣術 レベル4 (53/100)UP
暗器術 レベル4 (53/100)UP
斧術 レベル3 (42/100)UP
フォークダンス レベル5(40/100)
フォークマスター レベル0 (40/100)
念話 レベル0 (65/100)UP
女たらし レベル3 (100/100)ー
取得可能スキル
素人○貞 レベル5(100/100)ー




