↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽霊界隈で「派遣」と呼ばれています。~怖くない主人公の迷惑すぎる日常~  作者: 凪塩 未来


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/28

シーズン2・第10話:日常への帰還と、街に降り注ぐ大迷惑

皆様、こんにちは! 作者の [作者名] です。


シーズン2・第10話をお読みいただき、そしていつも温かい応援を本当にありがとうございます!


ついに廃病院での大満足(?)な取材を終え、大量の幽霊たちを引き連れて「日常の街」へと帰還する楓ちゃん。本人はご機嫌ですが、その裏で友人や家族たちがどんな大迷惑(大怪異)に見舞われているのか……。


「幽霊派遣」の本領が(無自覚に)発揮される帰り道のエピソード、ぜひお楽しみください!


それでは、第10話スタートです!

「ふう、今回は大収穫だったわ! これで今週末の新作怪談はバッチリね!」


水野楓(みずの かえで)は、夜風を受けながら最寄りの駅へと続く坂道を軽快な足取りで下っていた。

手元のスマートフォンには、廃病院のロビーや手術室で撮影した写真(もちろん何も映っていないが、彼女の脳内では大興奮のロケーション)と、びっしりと書き込まれた取材ノートが握られている。


彼女の表情は達成感と満足感に満ち溢れており、深夜の暗い夜道であっても足取りは弾んでいた。


——だが、その「背後」の光景は、到底平和な人間のものとは言えなかった。


ゴゴゴゴゴ……と、地を這うような冷気がアスファルトを伝う。

楓の背後には、ロビーの白衣ナースや手術室の外科医を含め、今回の廃病院ツアーで便乗してきた総勢八十体を超える「大名行列(幽霊たち)」が、すし詰め状態でぞろぞろとついてきている。


『おいおい、本当に人間の街まで来ちまったぞ……!』

『すげえ、私、何十年ぶりに外の空気を吸っただろ……!』

『おい、前を歩いてるその女、マジでいい乗り物だな。一歩も歩かずにここまで来ちまったよ』

『で、この後はどうするんだ? ここは人間の生活圏だろ?』


ざわめく霊たちに、古株の霊がニヤリと笑って答える。

『決まってらあ。この女の生活圏に行けば、面白いように人間どもが怯えて悲鳴を上げる。あのビルの窓ガラスを割るもよし、リビングのテレビを勝手につけるもよし、やりたい放題だぜ!』


当の本人は、背後で繰り広げられているそんな不穏な会話には一切気づかず、「夜風が気持ちいいなぁ」などとのんきに鼻歌を歌いながら、自宅のあるマンションへと続く通りに入っていった。


その頃、楓の自宅アパートのすぐ近く。

親友である佐藤美咲(さとう みさき)は、自分の部屋のベッドの上で、ブルブルと震えながらスマートフォンを握りしめていた。


(……なんか、今日の夜、やけに空気が冷たくない……?)


一人暮らしの部屋の天井付近で、照明のカバーがカタカタと不規則に揺れている。

キッチンのほうからは、水道の蛇口をひねっていないはずなのに、ポチャン、ポチャンと水滴の落ちる音が響いていた。

美咲は怖がりな性格であり、最近、友人である楓が心霊スポットにハマってからというもの、なぜか自分の部屋でも奇妙な現象が頻発するようになっていた。


(まさか……ねえ、うん。気のせい、気のせいだわ……!)


布団を頭まで被って震える美咲の部屋のドアノブが、カチャリと音を立てて勝手に回った。

もちろん、外には誰もいない。しかし、ドアの向こう側から、ぞろぞろと足音が近づいてくる気配が――。


さらにその頃、楓の実家でも。

リビングでテレビを見ていた父親が、「おい、いま勝手にチャンネルが変わったぞ……?」と首を傾げ、職場の同僚のデスクの周りでは、コピー用紙が尾を引くように勝手に印刷され続けるという怪現象が起きていた。


すべては、自らは霊感ゼロで平然と歩いている「水野楓」という名の巨大な磁石が、あちこちの心霊スポットから拾ってきた霊たちを、知らぬ間に自宅や職場へと「配達(派遣)」して回っているがゆえの惨劇だった。


ピピッ、と改札の電子音が響き、楓は最寄りの駅を抜けてマンションの敷地内へと足を踏み入れる。


「ふう、今日もよく歩いたなぁ。温かいお風呂に入って、さっそく執筆を始めるとしよう!」


満面の笑みで自分の部屋の玄関を開ける楓。

その背後から、大量の幽霊たちが「お邪魔しまーす!」とばかりに、一斉になだれ込んでいく。


驚かせたい霊たちと、体験したい(が鈍感な)人間。

そして、その余波を一身に受けて絶叫する周囲の人々。

楓が「幽霊派遣」としての自覚を持つ日はまだ遠い。だが、彼女の日常を巻き込んだ怪奇のパレードは、今日も盛大に加速していくのだった――。

シーズン2・第10話、最後までお読みいただきありがとうございました!


霊感ゼロの主人公がスタスタと歩いて帰るだけで、街のあちこち(友人宅や実家、職場)が盛大にホラーハウスと化していくカオスな展開、いかがでしたでしょうか。

本人は「今日もよく歩いたなぁ」とのんきにお風呂に入っていますが、周囲の悲鳴が聞こえないのがまたシュールですね(笑)。


次回からは、この大量の「派遣された霊たち」が日常に居座ったことで、さらなるドタバタや新たな展開が巻き起こっていきます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。