第六話「魔法と剣」
俺の誕生日パーティーの時間は夕方。
それまでは修行。
というより、感覚を取り戻す為の準備運動のようなことをする。
2時間後くらいにはパーティーだ。
それまでには全盛期、15歳の頃の実力には戻るだろう。
俺はいつも修行していた森に来た。
ここは修行に打ってつけの場所だ。
理由は誰もいないから。それだけだ。
「よし、そろそろやるか」
まずは、魔法を使う。
今まで開発したオリジナル魔法の内の一つ。
『ファイアーボール』だ。
これは誰でも使えるような初級魔法。
けれど、俺のファイアーボールはみんなとは違う。
まぁ打ってみよう。
俺は、魔力を手のひらに集め炎をイメージする。ただの炎ではない。
青い炎、それをイメージする。
「ぼぉぉぉ」
最初の赤い炎から青い炎へと変わった。
それを確認した俺は、ファイアーボールを打つ。
「ズドーーーン!!!」
かなり巨大な岩に目掛けて打ったが、その岩は魔法により、塵と化した
みんなのファイアーボールの約50倍ほどの威力があると思う。
この魔法こそ、初めて開発に成功した魔法である。きっと誰でも教えたら使えるだろう。
それほど簡単な魔法である。
ま、そんなことはさておき、
ファイアーボールだけでわかった。
魔法は使える。昔と同じくらい使える。
俺は「よし!」とガッツポーズを取った。
衰えていなくて安心した。
ここで終わりたい所だが、次は剣だな。
俺の戦闘スタイルは基本的に魔剣ティシスと、魔法の二刀流みたいなかんじ。
よって剣技も15歳と同じ凄さに、しておかなければ。
うむ。やるぞ!
空間魔法で魔剣ティシスを取り出した。
空間魔法も発明した内の1つ。
俺だけの魔法。俺だけのポケット。
そして俺だけの
「ティシス、久しぶりだな」
「……」
魔剣ティシス。懐かしい。
俺はティシスに話しかけたが、
もちろん返事などあるわけない。
剣は喋らない。けれど、
こいつとは苦楽を共にした相棒って感じがするから、つい話しかけてしまうのだ。
ささっ!さっそくティシスで、今の俺の剣技を確かめよう。
魔剣ティシスは振るだけで、ドラゴンを倒せてしまう。
え?それって誰でも討伐できるじゃん!って思いたいところですが、もちろん簡単ではない。
俺にしか振れないし、持てないし、握れない。
よって、ティシスは俺専用の相棒だ!
あっ違う違う、自慢したいんじゃなかった。
俺は魔剣ティシスを強く握りしめた。
そして俺はある場所へ移動した。
そこは竜種の洞窟。
決して近づいてはいけない禁忌の場所。
なぜか?竜たちが大量にいるから。
竜たちに殺されるから。それが理由。
そんなことを考えていると、
3匹の龍が、こちらへと飛んできた。
ファイアードラゴン、アイスドラゴン、ブラックドラゴンだ。
名前の通り、炎系のドラゴン。氷系ドラゴン、闇系のドラゴン。
奴らは、三龍帝と呼ばれる最も強い3匹の龍。
記憶喪失の俺なら、その姿を見ただけで、いつの間にか三途の川を渡っているだろう。
「バタン」
俺の目の前に3匹が着陸した。横三列に並んだ。
俺のしたいことは1つ。
魔剣ティシスを一振りする。
この一振りでこの3匹を同時に殺せたら、剣の実力は衰えていない。そういう事となる。
「ぐぉぉぉ!!」
ファイアードラゴンが咆哮した。
それに合わせるように、他2匹も咆哮。
「うるさ!」
鼓膜が破れそうなので早めに試す。
「ティシス、いくぞ! 何年振りか忘れたけど。
感動の一振り!」
おもいっきり、剣を横一直線に、振るった。
光り輝いた線が一瞬見えた。と同時に、
龍たちは死んでいた。
グロテスクな感じだな、これをみるのも久しぶり。
と、それはいいとして、
成功だ!剣も衰えていない。
ということは全盛期のままの実力だ!
明日からにでも旅に出よう。
「絶対に見つけて、あのアペプ一族の三人を。
いや、4人だったか。まあ何人でもいい」
絶対に殺す。何人だろうと。
アペプ一族が生きているのなら殺すだけ。
…………
「はっ!」
いけないいけない、俺は1つ忘れていた。
目の前にある龍の死体の一部を回収せねば!
一部、というのは龍の体の中にある石。
これはとても綺麗な石、見た目は宝石のよう。
龍を倒せる人が滅多にいない為、高く売れるのだ。それを売って今まで生きてきた。
ギルゾックには錬金術でアクセサリーを作り売っていると嘘をついた。
ギルゾックには嘘をたくさんついてきた。
けど、それは知られたくない部分。
もし本当の俺を知ったら、彼らは……。
友達のままでいてくれるのだろうか。
---
3つの石を売った。金貨100枚、日本円だと1億円くらいかな?
こんなに金があっても困るので、ほとんどは寄付している、貧しい家庭のところとかにね。
金が全てではない。けれど、みんなには幸せになってほしい。
美味しいものを家族で食べる。それはとても幸せな事。なので俺は金を分けている。
もちろんシオン・グラジオラスという名と顔は伏せている。石を売る時もそうしているのだ。
かっこつけさせてくださいよー。という感じです。
「お」
俺はクレスタにあるデッカい時計台をみて、時間を確認した。
パーティーは30分後か。
30分……微妙だな。
この短いような、長いような、こういうの苦手なんだよな。
暇だし。暇だし。暇だし。
それが嫌なんだ。
俺は考えた、30分間の暇つぶしを。
「……あ!」
閃いた!これはいい暇つぶしになりそうだ。
そう、俺のとてーも良い頭で考え、導いた答え。
それは――
---
「よっす!」
「よっすではないわ。びっくりしたぞ! それにしても、久しいな。シオン」
「久しぶり。魔王は元気にしてたか?」
「うむ」
そう!それは俺の友達で、理解者。魔王だ!
彼は、全てを知っている。
昔、俺が話したのだ。
転生のことも、実力のことも、復讐のことも。
まあ理解者って言っても勝手に俺が、ペラペラ喋っただけなんだよな。
……ギルゾックも友達だけど、すべては話せない。
怖いから。友達に嫌われるのが。怖がられるのが。
でも、いつか話そう。もし話した後、彼が友達じゃなくなっても。
俺は友達を騙すままの方が辛い。
そうだ、今日話そう。
次いつ会えるかわからないしね!
うんうん。
そう1人で空を眺めていたら……いや室内だから空はないんだけど。
魔王が話しかけてきた。
「シオンよ。なにがあったのだ? よくきていたのに。1年間ほど、姿を見せなかったではないか」
「あぁ、それは、な?」
・・・・・・
・・・・・・。
俺は、復讐が一度失敗したこと、油断して記憶消去の呪いをかけられ1年間ほど記憶喪失だったこと。
最近、元に戻ったこと。
いろいろ話した。
それを聞いた魔王は笑った。
「はっはっは! シオンが呪い? おもしろい! そんなの掛けられるほど油断したのか! あのお前が? 最強のお前が? かっはは!」
「おまえさ〜。笑い事じゃねえわ! くそっ! 4人目とか知らなかったんだよ!」
「おっと。すまん。面白くてな。だが、すまんな、復讐はお前の目的なのに……」
なんか急に魔王がしょんぼりした。なんかかわいい。 そうだ、こいつかわいいんだ。
男だけど、たまに可愛くなる。
「いいって。次は必ず殺すぜ? 呪い無効の魔法とか作るわ」
それを聞き魔王はまた笑った。
「かっはっは! 呪い無効とな! お前は常識はずれなやつだ! ま、だがそれはお前の努力だな。
努力していない奴はこの世界で何もできない。
今のシオンはなんでもできるが、
それ相応の努力は必要」
「ったく。お前は情緒不安定かよ。まあありがとな。これからも努力します!」
「そうだな。我も努力はするさ!
強くなるのは好きだ!」
そうこう話していると、とっくに30分が経過しそうだ。あと3分。やばい遅刻しそう。
「ごめん。時間だ! また来るわ!」
「そうか、また来い、それと誕生日おめでとう。17歳だったか? まぁ歳なんざどうでも良い」
「さんきゅ……魔王! お前は何歳だ?」
俺は遅刻しそうになりながらも、それを尋ねた。
「うむ? 我は、多分250歳ほどだな。」
「ははっ! じじいじゃん!」
魔王は、なんだと!?とキレ、俺は大爆笑しながら、パーティーへ向かった。




