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記憶消された復讐者  作者: 納豆にはネギ
第1章 記憶復活編
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第五話「記憶復活、そして怒り」

 

 俺は目を覚ました。


 窓から外を見てみるとまだ明け方だった。

 いつもはこんなに早起きしない。


 なんか今日は誕生日で嬉しい日のはずなのに。

 決戦に向かう日のような気分だ。


 俺は魂の中でシオン2号が話してきたことを全て覚えている。

 よし、あれを試そう。


 俺はベッドから起き上がり、

 硬い地面に正座した。


 寝転びながらするようなことではない。

 そんな気がする。


「……よし」


 ドキドキする。

 もしかして、あれをすると、

 気絶とかしないよな?

 一気に情報が入ってきて脳がパンクみたいな。


「……」


「パン!」


 自分のほっぺを全力で叩いた。

 おそらく真っ赤になっているだろう。


 気合いが入った。

 ただ、あることを唱えるだけなのに。

 とてつもなく緊張する。


「ふぅ、いくぞ!」


 いざ、初めて魔法を唱える。


「メモリア(記憶)」


 ……!すごい、脳に魔力と思われる物が、どんどん集まっている。目には見えないが、感じる。

 初めての魔法、初めての魔力使用のはずが

 初めてではないと体が覚えている。


「シュワンシュワン」


 どんどん魔力が脳に吸われる感じだ。



 ん?これいつまで魔力吸われるんだ?

 あ、なんか来そう。記憶来そう!

 思い出しそう!


 ワクワクしてきた!なんかしらんけど!

 あ!おもいだ……し、た。


 ……思い出した。


 全部。


 なにもかも。


 何がワクワクしてきた!だ。


 バカだな俺って。



 全て思い出した。

 俺がこの世界に生まれてからのこと。

 ついでに前世のことも。


 あと、家族のことも……

 ――それに、あの一族を


 「ぅ!! おぇぇぇぇぇ!!!」


 吐いた。

 たぶん怒りだろう。忘れていた、

 あのクソ一族への怒り。

 

 そうだ、あいつらを殺そう。

 ……その前に、記憶の確認からだな


---


 俺は日本に生まれ育った。名は如月勝利(きさらぎしょうり)。ごくごく平凡な男。

 実の母は浮気をしまくり、

 義理の父は酒に女にギャンブル。

 両親は俺を真面目に育ててはくれなかった。

 愛してくれることもなかった。


 1人で生きてきた。


 すぐに18歳になった。

 家を出て一人暮らしを始めた。

 あそこにいるくらいなら、死にものぐるいでバイトして一人暮らしをするほうがいい。

 

 俺はバイト終わり、散歩をしようと外にいた。

 信号を待っていると、仲睦まじい家族が隣に来た。

 俺は羨ましいなあと微笑んでいると、

 その家族の子供が、赤信号なのに走っていった。

 トラックが突っ込んで行った。


 俺は考える間もなく、子供を助けていた。

 もちろん俺はトラックに轢かれた。

 1人で死んだ。

 1人で育ち、1人で死ぬ。

 なんと、かっこいいじゃないか。

 可愛い子供は助けるし、

 俺って実は性格超いい?


 とか思っていたら。転生した。

 シオン・グラジオラス。それが新しい俺。

 両親はすごく普通だった。

 普通の母親、父親。

 でも、1番嬉しかったことがある。

 愛してくれた。優しかった。

 俺が転んだら、両親がどうしよう!と騒ぐ


 俺は当時3歳ながら、痛くないよ。

 と笑った。幸せだった。

 

 弟が生まれた。とてもかわいい。

 俺が5歳になり、弟は2歳。


 にーに。と言って、俺から離れなかった。

 そんな光景を両親は幸せそうに見ていた。

 俺も幸せだった。

 

 ふと思った。今度こそは幸せになりたいと。

 家族みんなで幸せになりたいと。


 そんなとき、ある一族が


  ――家族を殺した。


 一族の名は、アペプ一族。

 目の前で彼らは、俺の家族を殺した。

 俺は泣きながら、なぜ?と問うた。


 奴らは言った。

 「幸せを壊すのが趣味なだけ!」

 意味がわからなかった。

 なぜ俺は殺さないのか、また問うた。

 「壊した後、1人だけ残ったらもっとおもしろそうじゃん?」

 奴らはギャハハと笑った。

 

 気色の悪い笑い声。


 初めて人を殺そうと思った。

 感覚で魔法を撃ってみる。魔法が出た。

 ありふれた炎の魔法である。


 けど所詮は5歳の魔法。


 簡単に防がれ、バイバイ!とどこかへ消えた

 目の前にある家族の死体を置いて。

 

 俺は3人のお墓を作って、家を売った。


 クレスタという街に引っ越した。

 理由は強い魔物がいるから。

 

 修行した。あいつらを殺すために。

 

 1人、クレスタのある森の中で。

 魔法を撃ちまくった。

 魔力が切れると、剣に持ち替えた。

 剣を振るった。限界が来るまで。

 そして気絶。それを毎日。

 4年が経ち、9歳になった。

 気づけば俺は、どんな魔物でも勝てるようになった。


 世界一強いと言われる竜種も、

 会ったら最後と言われるワイバーンも、

 世界を滅ぼすと言われるアークデーモンも、

 すべて倒せる。

 なんなら100体に増えても多分、勝てる。


 俺は気づいた。

 魔物なんて怖くない。

 1番怖いのは人間だ。

 アペプ一族。奴らは人間。

 

 人間の考えることは魔物なんて非じゃない。

 恐ろしすぎる。


 俺は、誰にも負けない。

 前世で言う、最強ラノベ主人公。

 そんな感じだろう。読んだことなかったけど。

 


 なんか友達ができた。名はギルゾック。

 修行の終わり、飯でも食おうと酒場に入ったら、

 絡まれた。話したらいいやつだった。

 

 家に帰宅した。自分の実力を再確認する。


 魔法はたくさん開発した。

 魔力はおそらく、この世界の誰よりも多い。

 剣の実力も、王都最強の騎士よりも強いと思う。

 当然、これらは憶測である。


 魔法で剣を作った。名は魔剣ティシス。

 俺だけの剣。


 準備万端。


 10歳の誕生日。俺は、旅に出た。

 目的はアペプ一族。

 奴らを見つけて、殺す。


 旅の途中、魔王に遭遇。


 魔王は、とても良いやつだった。

 なのに、悪い噂が流れている。

 人を痛めつけたくないのに、自分を討伐に来る人が多くて困っているらしい。

 

 俺は提案した。

 勇者が魔王を倒したことにしよう。

 そしたら、魔王はこの世から消えたことになる。

 魔王狩りも無くなる。


 魔王は、うむ!と頷き、

 俺は魔王の角を片方切り落とし、自分のポッケに入れ

 治癒魔法で魔王の角は治しておいた。


 勇者ショーリが、

 魔王を倒したということにした。

 角をギルドに、ぽいっと投げつけておいた。


 旅は1年が経過した。11歳になった。 

 奴らは一体どこにいるんだろう。早く殺したい。



 15歳、最後の日。


 アペプ一族を見つけた。

 3人いる一族はすべて、死寸前まで追い詰めた。

 怯えるアペプ一族を見下した。

 「しね」と、トドメを刺そうと、自慢の魔法を放とうとした。

 そこで俺は油断した。


 4人目がいた。俺の知らない4人目。


 記憶消去の呪いをかけやがった。

「家族家族うるさいんだよ! いっそ忘れちまえー!」

 やつらはそう言い逃げていった。

 追いかけようとしたが、麻痺もかけられていた。

 数時間は身動きが取れない。


 困った。明日にはすべて忘れてしまう。復讐が終わってしまう。


 すぐに魔法を開発した。

 記憶を思い出すような魔法。

 その魔法を伝える用の魂空間魔法。


 未来の自分に、今の俺が現れるよう魂空間魔法をかけた。

 そして、自分の家に帰った。


 この2つの魔法に頼って、眠りについた。


---


 うん。大事なことは全部思い出している。


 あ、でも、今日は誕生日パーティーだ。

 今すぐにでも復讐の旅に出たいけど、

 リリーとギルゾックにはお世話になったし、


 最後くらい顔を出しておかないと。

 

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