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記憶消された復讐者  作者: 納豆にはネギ
第4章 バルク編
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最終話「友達と幸せ」


 王都にある、

 ギルゾックが新しく開店した酒場にやってきた。

 ここにいるメンバーは以下の通りだ。


 魔王、とその奥さん、リリー。

 アイク、ミリア、シビアの6名。

 あ、あと店主のギルゾックもいる。


 彼らから、近頃あった出来事が語られる。



---



 魔王の呪いは解呪された。

 

 これによって、人間からの憎悪が無くなり、奥さんとリリーと、一緒にクレスタで暮らせるように!


 が、リリーはまだ学園生活を楽しみたいらしく、当分の間は魔王夫婦で暮らすらしい。

 

 惚気のようなものを、にんまり笑顔で魔王から聞かされた。


 幸せそうで何よりですな!



---



 ミリアは、退屈だったらしい。


 俺が旅……いや、そこまで大層ではないか。

 学園を離れていた期間は、わずか1日。


 それでも彼女は長く感じたとのこと。

 しかも、アイクから、リリーと一緒にデートに行ったと聞かされて号泣。


 3日以上帰ってこなかったら、国王の権力を使って、俺達を探そうと決めていたんだとか。

 ……デートじゃ無いし、そんな簡単にお父さんの権力使わないで!


 ちなみに、アイクは魔法の練習ばっかりしていたと。

 いや、誤解を生んだこと謝れ!



---



 シビアは呪いの修行をたくさんしてたとのこと。


 彼女は、呪いもそうだが、普通の魔法も才能がある。

 元学園最強のアニスを倒したらしいし。


 俺はとんでもない子を育成しているのかも。

 

 あ、友達もできたらしい!

 これは普通に俺も嬉しいことである。

 

 最初は、アペプ一族の奴隷だった。

 初めて彼女を見た時の印象は、形容し難いものであった。


 このまま死んでいくと覚悟しているように見えたし、逃げたいと悲しんでる気もした。


 そんなシビアが今はもう!

 学園生活を楽しめているんだ。

 なんか、泣けてくる。



---



 ギルゾックは楽しかったんだとさ。


 何ヶ月か経ったのか、よくわからんけども。

 この店を立ち上げた時は、チラシ配りまくって、

 一度来た客はその味に魅了されて、

 もう、わんさか客が来るようになって〜。

 そんな、自慢話を聞かされまくった。


 今では、王都で一二を争う店にまで!

 最近会えてなかったけど、少しだけ有名人にもなっていてびっくりした。


 やっぱり、実力がある人は王都に行けってこのことだわ。

 魔法とかじゃなくて料理の実力だけど……。



---



 皆の話も、聞き終わり、味を楽しむ時間となった。

 新たな飯が机に並べられると、それをすぐに、口の中に頬張る。

 その美味さを、ただただ幸福に感じる。


「うめぇ」


 意識なんてしてなかったのに、その言葉がぽつりと口から溢れでた。


「シオン! これもうまいよ!」


 フォークに刺された一口サイズのお肉を、リリーが俺の口に向けてくる。


「ん、ありがと」


 と、その時。


「ちょっとまったぁ!!!」


 それを見ていたミリアがすかさず止めに入る。


「ちょ! なにミリア!」

 

「なにって! 間接キ……」


 最後まで言わずに、顔が赤くなった。

 何を言おうとしたのか俺には分からず、

 リリーに尋ねようと、顔を見てみると、


「か、か、か、……」


 彼女も顔を真っ赤にしていた。

 この状況を理解できないでいると、

 遠くから、シビアが可愛く走ってきた。


 謎のジュースを片手に。


「シオンさーん! これ!」


 飲んで、と言わんばかりの顔である。

 「ん!」とコップを突き出した。


 それに従って、

 既に半分くらい減ってるジュースを飲んでみる。


「ん、うま!」


 その味に、ビビっときた。

 な、なんだこれは。

 オレンジ……いや、いちご……?

 すべてのフルーツが混ざっている!?


「し、シビアさん」

「んー? なんですか?」


「あ、あなた、それ、ストロー……」

「あ! 間接キスってことですかー?」


 間接キス?

 あれ、あぁ確かに。

 ストローで飲んだな。

 けど、それがどうしたんだろ。

 

 ん、もしかして……。


「ミリアと、リリー。

 もしかして、間接キスを意識して、恥ずかしくなった……わけないか」


 うん、そんなわけはない。

 前世の恋愛的な照れなわけない。

 しかもあれって、漫画だけだろ。


 ……恋愛したことないから分からんけど。

 てか、俺の口から間接キスって言うのきも!


 など考えていると、俺の言葉に、2人が反応した。


「な、な、な、わけないじゃん!!」

「そ、そうですよ! そんな子供みたいな!」


 シビアは子供だけど照れたりしてなさそうだったがね。


「おー? なんだなんだ?」


 この騒ぎにギルゾックとアイクが、こちらの席へと来た。

 

「ミリア、そこはね。『照れちゃいましたぁ』って可愛く言えばシオンくん堕とせるんじゃない?」


 おいお兄さん、なんのアドバイスしてるんだよ。

 てかそれ、ぶりっ子ってやつじゃないの?

 俺は、そんなのでおちません!

 

 いやまて、ミリアのような美人にされたらわからんな。


「照れちゃいましたぁ」


 いや、実行に移るの早すぎ!

 あ、上目遣いだ。

 瞳、綺麗だ。

 こう見ると、ほんとに王女なんだなってわかる。


 と、キュン! とかしてる間に、


「ミリア」


 うわこわ!

 なにこの声!

 鬼のような声音だ……。

 

 ミリアと呼ぶ、リリーの声。

 それと同時に、上目遣いしてる彼女の頭が掴まれた。

 ……リリーの手によって。

 

「いったぁーーーい!!!」


 ミリアの悲鳴が店中に響く。

 うわ、やばいって。

 片手だけで、ミリアが少し持ち上げられてる。


 リリー怪力すぎだろ。

 さすが、魔族!

 魔王と魔族の娘だ!!


「リリー!」


 おっと、魔王……お父様からご指名がきてるぞ。

 魔王の横には怒った顔をしている奥様。


 彼の声に恐る恐る、リリーは振り向く。

 

「ぱ、パパ?」

「こっちにこい」


 呼ばれ、テクテクと向かっていく。

 かなり遅い。

 が、ようやくして彼の元につき。


 遠いので会話は聞こえないが、

 パパの魔王が叱っている。

 ママの魔王妃も、怖くはないが叱っている。


 ミリアに暴力振るったと思われたんだろう。

 ま、あながち間違ってないか。

 ほぼ暴力だなあれ。うんうん。


 数十秒後。

 リリー半泣き。

 父のあんな姿見たことないんだろう。

 なんなら、最近初めて会ったくらいだし。

 

「シビア、ミリアのこと治癒してあげて」

「はーい!」


 さっき悲鳴をあげた彼女だが、怪我はしていない。

 なのに、大袈裟に痛がっている。

 これもアイク直伝の俺に向ける攻撃……いや、ハートなのだろうか。


 と、感心していると、隣のデカ男が口を開いた。


「なんだか、リリーも嬉しそうだな」

 

 ギルゾックが、我が子を見る目で、遠くのリリーを見ている。


「嬉しそう? そうか?」


 どちらかといえば、悲しそうだけどね。

 めっちゃ怒られてるし。


「ふっ、わからんか」

「はぁ? なんだよ」


「リリーも、女友達とかいなかったろ。

 あと、父親とも仲良くしてるしな」

「……」


 確かに。

 リリーは、いかつい男のギルゾックと、

 平凡な男である俺くらいしか友達はいないっぽかった。


 けれど、今はミリアがいる。

 あと、歳は違うが、シビアもそうだ。


 男の俺たちには分からん友情があるに違いない。


 あと魔王。

 彼が父親ってことに、俺は驚いた。


 でも、リリーは嬉しそうだった。

 魔王とか、関係なしに。

 父親がいて会えたことに喜んでいた。

 今こうやってとても仲良いしね。


 ……こういうところだよなぁ。

 ギルゾックも大人なんだよなぁ。

 俺が考えられる事以上に、考えている。


 彼のことは、人として、見習いたいな。

 でも……。


 俺は、ギルゾックの背中を叩いた。

 

「いって! なんだよ!?」

「かっけぇけどさ! リリーより弱いぞお前!」


「なっ!? そこはいいだろうがよ!」

「はははっ!」


 俺たちは笑い合った。

 不思議と、これが懐かしく思えた。


 笑いで出た涙を拭きながら、

 改めて周囲を見渡す。


 近くでまだ、笑ってるギルゾック。


 叱られてるリリー。

 叱りつけている魔王達。


 それに、飯を楽しんでるアイク。

 ジュースを飲みながら、魔法の練習をしている真面目なシビア。


 皆それぞれ、違うことをしているけれど。

 楽しんでいるのは間違いないと感じられた。

一応完結です。(おまけ回があとひとつ)

かなりゴ……こほん!変な作品になりました。

それでも見てくれた人に感謝!!!


次の作品は面白くするので!(たぶん)

次はいっぱいみてね


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