おまけ「シビアの友」
俺は、18歳になった。
中々に、充実した学園生活が送れた。
もう満足である。
なので、今日をもって卒業します!
---シビア視点---
今日、シオンさんが卒業してしまう。
シオンさんは、ボクのヒーロー。
二度と会えないってわけじゃないけど、
やっぱり寂しい……。
他にも、リリーさんや、アイクさん、ミリアさん。
彼女らもいなくなっちゃう。
でも、悲しんでなどいられない。
もっともっと、魔法が上達するように頑張らなければ。
シオンさんに練習ノートも作ってもらったし。
もう、1人でがんばれるぞ。
よし。
などと、意気込んでいると、
「ねぇねぇ! シビアちゃん!」
後ろから喋りかけられた。
振り返ると、マロンちゃんがいた。
あ、マロンちゃんは友達である。
「ん? どうしたの?」
彼女は、どこか不思議な女の子。
眠そうで、フワフワと、してる雰囲気でもある。
しかし、見た目の割には魔法が得意。
「あのね、シオンさんって知ってるよねえ?」
ん?
シオンさん?
なんでシオンさんなんだろう。
「まぁ、うん。知ってるよ?」
そう返事をすると、
彼女は、ポッと顔が赤くなった。
「そ、そうなんだぁ……」
モジモジとし、髪を触っている。
トイレに行きたいのかな。
「あのさ!!」
「わっ!?」
急に肩を掴まれ、大きな声を出してきた。
いつもは、こんな子じゃない。
大きな声とか聞いたことがない。
普段は、眠たそうな声である。
「どうしたの!? マロンちゃん熱ある!?」
赤すぎるその頬を触ると、ものすごい熱さだった。
「ちがうよ! あのねあのね……」
さっきから、なにが言いたいんだろう。
あーもう! じれったいなあ!
「シオンさんがなに!」
「……実はね」
マロンちゃんは、ごくりと唾を飲み込んだ。
なんだか、緊張してこちらも同じ動作をしてしまう。
「実は、シオンさんが好きなの!!!」
「……」
あ、え、は、はい??
す、好きって?
「えっと、らいく?」
「らぶ!!」
「アイクさんじゃなくて?」
「シオンさん!」
どんどん、彼女の顔の熱が冷めていく。
言えてすっきりしたのだろうか?
緊張が解けたんだろうか。
恋愛事は、詳しくないから分からない。
けれど、今。
こうやって、ボクにそれを話したということは、
つまり、そういうことだ。
「今日卒業するからってことだね?」
ボクの言葉に、彼女は大きく頷く。
「マロンちゃんを紹介すればいいってこと?」
またもや、大きく頷く。
正直、断る理由はない。
シオンさんがモテるのはいいことだ。
彼はボクのヒーロー。
その彼が、モテて嫌な気はしないからだ。
しかし……。
「マロンちゃん……覚悟してね」
「……え? 覚悟?」
「リリーさんと、ミリアさんにだよ……」
そう言うと、彼女は、キョトンとした顔で首を傾げた。
この言葉の意味を理解できていないらしい。
よし、分からせるには、この方法しかないな。
……連れて行こう。
あと1時間後くらいには、
シオンさん達が、卒業する。
この学園は、わざわざ卒業式を開きはしない。
身内同士で勝手にパーティーしてろ。みたいな感じだ。
その場所は、ギルゾックさんの店。
きっと、いつものメンバーがいるだろう。
ボクも行くつもり。
だが、今回はマロンちゃんも連れて行こう。
いや、でも、怖いな。
彼女、今日で死ぬかも。
---後日談---
昨日、シオンさん達は卒業。
ギルゾックさんの店で、宴をした。
マロンちゃんを連れて……。
シオンさんは、「君だれ?」と、
歩み寄り、マロンちゃんの顔を真っ赤にさせてた。
それを見たリリーさんとミリアさんは、マロンちゃんに向けて魔法を放った。
近くにシオンさんがいたおかげで、彼女は死なずに済んだ。
……そう、これなのだ。
彼に近づく女は、殺されるのだ。
いや、流石にそれは誇張しすぎだが。
危険なのは間違いない。
なにせ、リリーさんと、ミリアさんは、
学園最強の女生徒と記録されるほどになっている。
その2人が、シオンさんLOVEなのだ。
今までも、彼に近づいた女はいた。
しかし、瞬きすると、いなくなってた……。
もう、それが怖くて怖くて!
あ、ちなみに、マロンちゃんは反撃しました。
その勇敢さに、ボクは感動した。
酒場で女達の争いが起き、
ギルゾックさん半泣き。
戦は、30分以上繰り広げられ、
いつしか、マロンちゃんは認められていた。
シオンさんは、なにが起きているのか理解できてなかった。
少し呆れてしまう。
鈍感にも程がありますよ。
ボクもシオンさんが好きだっていうのに……。
おわり




