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記憶消された復讐者  作者: 納豆にはネギ
第4章 バルク編
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第三十二話「激突」


 クレスタ。

 俺が、住んでいた街でもあり。

 リリーが住んでいた街でもある。

 とてもとても平和な街だ。


 そのクレスタに、バルクがいる。

 そう、魔王から聞いた時は驚いた。


 念のため探すつもりではあったが、

 まさか、あんな小さい街にいるとは。


 などと思いつつも、早速俺たちは、クレスタに向かった。



---


 

 クレスタ到着。


「ふむ、ここがクレスタか」

 

 おー、と空中から見下ろして感心している魔王に、質問をした。


「奥さんの家に行かなくていいのか?」


 魔王城に、何度かリリーが連れてきてくれたとか、言ってはいたが。

 自分から会いにはいってないはずだし。

 奥さんも向こうから来たら喜ぶだろうし。

 

 なんて考えていたら、彼は微笑し、リリーの方に視線を向けて、口を開いた。


「それは呪いが解けてからだな」

「!! ママ喜ぶよ!」


 顔が明るくなったリリーの声を聞き、再び魔王は微笑した。


 ずっと、仲睦まじい親子を眺めていたいが。

 早く呪いを解くためにも、バルクを見つけなければならない。


 だが、もうここまで来れば余裕のよっちゃんだ。

 現魔王である彼は、

 呪い魔法を持つ人が、ある程度の範囲にいる場合。

 隠れていても見つけられる。


 その『ある程度の範囲』というのは、

 クレスタという街の広さよりも、広範囲。


 よって、クレスタに到着した時点で、

 この街のどこに奴がいるかは、お見通しってわけ。


 さすがはマイフレンド魔王くんだ。


「で、どこにいる?」

「うむ。森だな」


「森って……」


 ん、まさかね。

 いや、まさかだな。

 クレスタの森といえば。


「シオンの修行してた森じゃない!?」


 その大きい声に、魔王はびっくりした。

 娘よ、お父さんは大切にね。

 もう歳なんだから。


「ふ、ふむ? そうなのか?」

「あぁ。案内任せて」


 この親子は、俺に頷き、

 後ろを追従してきた。



---


 森。

 誰がどう見ても普通の森。


 しかし、以前に、リリーやギルゾックとの決闘で整地していたので、

 整っている部分がある。


 その綺麗な箇所に建物が一つ。

 ……いや、バルクだろこれ。

 あんなのなかったし。


「あの犬小屋みたいなのが?」

「あぁ。バルクが中にいるんだろうな」

「リリーよ、犬小屋は可哀想だぞ」


 とか言いつつも、魔王は満足そうに笑っている。

 似た者親子だな。


「……いいか?」


 着地した2人に確認をした。


 今から始まるのだ。

 リベンジマッチが。


「うむ」


 魔王は頷き、


「うん!」


 リリーも深く頷いた。


「結界魔法!」


 結界魔法。

 それを、ちょうど森を囲うよう貼り付ける。


 これで戦闘準備完了。

 魔王は、結界を確認した後。


 犬小屋を破壊した。

 彼の魔剣……リードで。


「はっ!?!?」


 バルクが俺たちを見て驚愕した。

 涎が垂れていて、呑気に寝ていたと分かる。


「バルク、牢屋に行け」


 何回、このセリフを吐いたか忘れたな。


「嫌に決まってんだろうが!!

 ……? お前、魔王!?」


 ずっと俺に目を向けていたが、魔王に目を向けた。


 魔王は魔族の王。

 人間が、その姿を見ると普通はしょんべんチビる。


「……」


 彼の股間を見てみるとー?

 おっ、しょんべんはチビってない。

 けど、足がかなり震えている。

 手も震えているし、唇もブルブルしてる。


 恐怖。

 それが彼から感じ取れる。


「おまえがばるくか!」


 リリーが声を上げた。


「あ、あぁ? だれだおめぇ」

「私は、リリー・アマリリス!

 魔王の娘だよ!」


「はぁ? くそが、どういうことだよ!

 なんで場所わかんだよ!

 魔王がなんでいんだよ!

 なんでくるんだよぉぉ!!!」


 声を荒げ、正気を保てていない。


「そんなのどうでもいいだろ。

 お前は悪いことをした。

 因果応報ってやつだ」

「いんがおーほー? 

 なんだよそれ!!」


 あ、この世界にはないのか。

 

「ま、牢屋で反省しろ!」


 今日イチの声量を出した俺に、

 魔王も、いつもより声量を上げ、


「では、参るぞ!」

「いけ! ぱぱ!」


 と、上段の構え。

 それは、勇者と真逆な存在なのに、

 勇者にしか見えない魔王の姿だった。

 

 そして、瞬く間に、バルクの右手が、

 ボトっと地面に落ちた。


「は?」


 彼は、切断された手を見る。

 二度見した。

 何が起きたか理解したのか、

 悲鳴をあげ、足が震え、しりもちをついた。

 

 次に、欲しいものを買ってもらえず、

 駄々を捏ねる子供みたいに動き回った。


「いやぁぁ! いだいいだい!!」


 手が切断された場合。

 俺や魔王くらいじゃないと治癒できない。

 あ、治癒できる人がまだいたな。


「牢屋に行けば治してくれるぞ」

「は、はぁ?! ろうやでなおるわげぇ!!」


 少し詳しくいうと、

 牢屋ではなく、騎士団にいるんだよな。

 治癒を得意とする人が。

 その人が、牢屋の犯罪者を死なない程度には治してくれるんだとか。


 ……ま、噂だからしらんけど!


「ぐぞ!!! おまえらゆるざんぞ!!」


 そう言って、立ち上がった。

 次にとある魔法をバルクが自分に掛けた。


「ワープ!!!!!!」


 ・・・。

 気まずい空気。

 何故なら、その言葉が森に響いているだけで、

 何も起こっていないから。


「な、なぜだぁぁぁぁぁぁ」


 大号泣し、絶望しだした。


「結界貼ってるから」

「結界だと!?」


「ワープで逃げるんだろ?」

「……」


「その対抗策みたいな感じで、結界」


 俺の言葉で、ありえないといわんばかりの顔をし、首を横にくる。


「うそだ」

 

 自己暗示をするバルク。

 それを見ている俺に、魔王が言う。


「シオン、拘束してくれ」


 魔王から指示が出た。

 こいつと会話をしている間に、

 思念通話で通報してくれたらしい。

 騎士団に。


「おっけー。拘束っと」

「ぐっ!」


 あ、そうだ。

 マリアから教わったデータを使っとこう。


「データ」


 誰にも聞こえないほどの声量で呟いた。

 発動したデータは、ワープを調べ始める。


 ふむふむ。

 ほうほう。

 なるほどなるほど?


 ・ワープ

 バルク・カタラによる開発呪い魔法。

 ランダムな場所にテレポート可能。

 

 次に、デメリットが書かれた。


 デメリット。

 成功確率0.01%

 使用限度、人生で二度のみ。


 ん、んんん???

 この確率なに?

 もしかして、俺が逃したあの時。


 結構あいつ運良かったの?

 なら、さっき使用した時、普通に逃げれてなかったんじゃ?


 あと、人生で2回しか使えないの?

 ちょっと……。


「よわくね?」

「は?」


 おっと、声に出てた。

 このゴミ魔法に内心、冷笑していると、

 リリーが口を開いた。


「牢屋に行く前に、呪いを解いて」

「呪いだと?」


「パ……魔王に掛けた呪い!」

「ちっ、わかったよ」


 全てを諦めたのか、潔くなっていた。

 その後、はいはいと呪いを解いた。

 

 違いがあまりわからんが、

 本人は、「人間と仲良くなれる気がするぞ!」と言い出した。

 娘とハイタッチしてたりもした。


 仲良すぎだろうが。


「痛ってぇ、早くしろや」

「騎士団か?」


「あったりめえだろ! 早く治してほしいんだわ!!」

「……」


 言っても良いのだろうか。

 いや、よそう。

 彼が死刑だということは……。


「お主は、死刑だぞ」


 と、思っていたのに魔王は単刀直入に伝えた。


「え、え、は?」


 彼の言葉で、バルクの顔色が、蒼白になった。


「死刑……だ……と?」


 ショックを受けているバルクに、

 容赦なく言葉を続ける。


「当たり前だろう? お主、暴れすぎたのだ」


 ごもっとも。

 呪い魔法は悪用厳禁。

 なのに、何人にも掛けてきた。

 だから奴は、死刑を免れないのだ。


 すると、先程まで潔かったのに、声を荒げ出した。


「くそがぁぁ!!!」


 その怒りの声は、森中に響き渡り、

 その音を聞きつけるかのように騎士団が到着した。



---



 拘束したバルクは、一瞬で連行されていった。

 騎士の皆さんは深く礼をして、その場を離れていった。


 今頃、彼はあの世だろう。

 それはいい。

 どうでもいい。


 今は、感動シーンなのだ。


 魔王が人間から憎悪されなくなった。

 まぁ、怖がられはするけど。

 そのおかげで、奥さんに会いにいけた。

 初めて拝見したけれど、綺麗だった。


 リリーによく似た髪色で瞳。

 母だ! となった。


 それに、娘をよろしくと言われた。

 友達だから当たり前だと思い、

 「もちろんです」と返事をすると、

 魔王は驚き、リリーは倒れた。


 どうしたんだろう?

 これに関しては、

 よく、わからないけど……。


 俺はとても感動した。

 家族というものに。


 魔王達を見ていつも思う。

 自分の両親や弟が生きていたら。

 彼らに負けない幸せさだっただろう。


 しかし、家族との幸せはあまり無いが。

 人との幸せは充分に味わえてる。


 俺には友達も多い。

 リリー、魔王。

 ミリア、アイク。

 それに、ギルゾックやシビア。


 あ、近頃ギルゾックに会えてないな。

 あいつが王都に作った店。

 みんなで行こうか。

 誕生日にもらった無料チケットもあるしね。


「リリー、魔王、あと奥様も。

 ギルゾックのお店に行こうぜ!

 明日の朝な!」

 

 決めたことはすぐに伝える。

 起きたリリーは「え! 行きたい!」と大はしゃぎ。

 魔王と奥さんは「ギルゾックってだれ?」という困惑の表情をしていた。

次はラスト回です

自分でもメチャクチャな作品だと思う(T . T)

次の作品は頑張って、面白い作品にします。(多分)

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