第三十二話「激突」
クレスタ。
俺が、住んでいた街でもあり。
リリーが住んでいた街でもある。
とてもとても平和な街だ。
そのクレスタに、バルクがいる。
そう、魔王から聞いた時は驚いた。
念のため探すつもりではあったが、
まさか、あんな小さい街にいるとは。
などと思いつつも、早速俺たちは、クレスタに向かった。
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クレスタ到着。
「ふむ、ここがクレスタか」
おー、と空中から見下ろして感心している魔王に、質問をした。
「奥さんの家に行かなくていいのか?」
魔王城に、何度かリリーが連れてきてくれたとか、言ってはいたが。
自分から会いにはいってないはずだし。
奥さんも向こうから来たら喜ぶだろうし。
なんて考えていたら、彼は微笑し、リリーの方に視線を向けて、口を開いた。
「それは呪いが解けてからだな」
「!! ママ喜ぶよ!」
顔が明るくなったリリーの声を聞き、再び魔王は微笑した。
ずっと、仲睦まじい親子を眺めていたいが。
早く呪いを解くためにも、バルクを見つけなければならない。
だが、もうここまで来れば余裕のよっちゃんだ。
現魔王である彼は、
呪い魔法を持つ人が、ある程度の範囲にいる場合。
隠れていても見つけられる。
その『ある程度の範囲』というのは、
クレスタという街の広さよりも、広範囲。
よって、クレスタに到着した時点で、
この街のどこに奴がいるかは、お見通しってわけ。
さすがはマイフレンド魔王くんだ。
「で、どこにいる?」
「うむ。森だな」
「森って……」
ん、まさかね。
いや、まさかだな。
クレスタの森といえば。
「シオンの修行してた森じゃない!?」
その大きい声に、魔王はびっくりした。
娘よ、お父さんは大切にね。
もう歳なんだから。
「ふ、ふむ? そうなのか?」
「あぁ。案内任せて」
この親子は、俺に頷き、
後ろを追従してきた。
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森。
誰がどう見ても普通の森。
しかし、以前に、リリーやギルゾックとの決闘で整地していたので、
整っている部分がある。
その綺麗な箇所に建物が一つ。
……いや、バルクだろこれ。
あんなのなかったし。
「あの犬小屋みたいなのが?」
「あぁ。バルクが中にいるんだろうな」
「リリーよ、犬小屋は可哀想だぞ」
とか言いつつも、魔王は満足そうに笑っている。
似た者親子だな。
「……いいか?」
着地した2人に確認をした。
今から始まるのだ。
リベンジマッチが。
「うむ」
魔王は頷き、
「うん!」
リリーも深く頷いた。
「結界魔法!」
結界魔法。
それを、ちょうど森を囲うよう貼り付ける。
これで戦闘準備完了。
魔王は、結界を確認した後。
犬小屋を破壊した。
彼の魔剣……リードで。
「はっ!?!?」
バルクが俺たちを見て驚愕した。
涎が垂れていて、呑気に寝ていたと分かる。
「バルク、牢屋に行け」
何回、このセリフを吐いたか忘れたな。
「嫌に決まってんだろうが!!
……? お前、魔王!?」
ずっと俺に目を向けていたが、魔王に目を向けた。
魔王は魔族の王。
人間が、その姿を見ると普通はしょんべんチビる。
「……」
彼の股間を見てみるとー?
おっ、しょんべんはチビってない。
けど、足がかなり震えている。
手も震えているし、唇もブルブルしてる。
恐怖。
それが彼から感じ取れる。
「おまえがばるくか!」
リリーが声を上げた。
「あ、あぁ? だれだおめぇ」
「私は、リリー・アマリリス!
魔王の娘だよ!」
「はぁ? くそが、どういうことだよ!
なんで場所わかんだよ!
魔王がなんでいんだよ!
なんでくるんだよぉぉ!!!」
声を荒げ、正気を保てていない。
「そんなのどうでもいいだろ。
お前は悪いことをした。
因果応報ってやつだ」
「いんがおーほー?
なんだよそれ!!」
あ、この世界にはないのか。
「ま、牢屋で反省しろ!」
今日イチの声量を出した俺に、
魔王も、いつもより声量を上げ、
「では、参るぞ!」
「いけ! ぱぱ!」
と、上段の構え。
それは、勇者と真逆な存在なのに、
勇者にしか見えない魔王の姿だった。
そして、瞬く間に、バルクの右手が、
ボトっと地面に落ちた。
「は?」
彼は、切断された手を見る。
二度見した。
何が起きたか理解したのか、
悲鳴をあげ、足が震え、しりもちをついた。
次に、欲しいものを買ってもらえず、
駄々を捏ねる子供みたいに動き回った。
「いやぁぁ! いだいいだい!!」
手が切断された場合。
俺や魔王くらいじゃないと治癒できない。
あ、治癒できる人がまだいたな。
「牢屋に行けば治してくれるぞ」
「は、はぁ?! ろうやでなおるわげぇ!!」
少し詳しくいうと、
牢屋ではなく、騎士団にいるんだよな。
治癒を得意とする人が。
その人が、牢屋の犯罪者を死なない程度には治してくれるんだとか。
……ま、噂だからしらんけど!
「ぐぞ!!! おまえらゆるざんぞ!!」
そう言って、立ち上がった。
次にとある魔法をバルクが自分に掛けた。
「ワープ!!!!!!」
・・・。
気まずい空気。
何故なら、その言葉が森に響いているだけで、
何も起こっていないから。
「な、なぜだぁぁぁぁぁぁ」
大号泣し、絶望しだした。
「結界貼ってるから」
「結界だと!?」
「ワープで逃げるんだろ?」
「……」
「その対抗策みたいな感じで、結界」
俺の言葉で、ありえないといわんばかりの顔をし、首を横にくる。
「うそだ」
自己暗示をするバルク。
それを見ている俺に、魔王が言う。
「シオン、拘束してくれ」
魔王から指示が出た。
こいつと会話をしている間に、
思念通話で通報してくれたらしい。
騎士団に。
「おっけー。拘束っと」
「ぐっ!」
あ、そうだ。
マリアから教わったデータを使っとこう。
「データ」
誰にも聞こえないほどの声量で呟いた。
発動したデータは、ワープを調べ始める。
ふむふむ。
ほうほう。
なるほどなるほど?
・ワープ
バルク・カタラによる開発呪い魔法。
ランダムな場所にテレポート可能。
次に、デメリットが書かれた。
デメリット。
成功確率0.01%
使用限度、人生で二度のみ。
ん、んんん???
この確率なに?
もしかして、俺が逃したあの時。
結構あいつ運良かったの?
なら、さっき使用した時、普通に逃げれてなかったんじゃ?
あと、人生で2回しか使えないの?
ちょっと……。
「よわくね?」
「は?」
おっと、声に出てた。
このゴミ魔法に内心、冷笑していると、
リリーが口を開いた。
「牢屋に行く前に、呪いを解いて」
「呪いだと?」
「パ……魔王に掛けた呪い!」
「ちっ、わかったよ」
全てを諦めたのか、潔くなっていた。
その後、はいはいと呪いを解いた。
違いがあまりわからんが、
本人は、「人間と仲良くなれる気がするぞ!」と言い出した。
娘とハイタッチしてたりもした。
仲良すぎだろうが。
「痛ってぇ、早くしろや」
「騎士団か?」
「あったりめえだろ! 早く治してほしいんだわ!!」
「……」
言っても良いのだろうか。
いや、よそう。
彼が死刑だということは……。
「お主は、死刑だぞ」
と、思っていたのに魔王は単刀直入に伝えた。
「え、え、は?」
彼の言葉で、バルクの顔色が、蒼白になった。
「死刑……だ……と?」
ショックを受けているバルクに、
容赦なく言葉を続ける。
「当たり前だろう? お主、暴れすぎたのだ」
ごもっとも。
呪い魔法は悪用厳禁。
なのに、何人にも掛けてきた。
だから奴は、死刑を免れないのだ。
すると、先程まで潔かったのに、声を荒げ出した。
「くそがぁぁ!!!」
その怒りの声は、森中に響き渡り、
その音を聞きつけるかのように騎士団が到着した。
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拘束したバルクは、一瞬で連行されていった。
騎士の皆さんは深く礼をして、その場を離れていった。
今頃、彼はあの世だろう。
それはいい。
どうでもいい。
今は、感動シーンなのだ。
魔王が人間から憎悪されなくなった。
まぁ、怖がられはするけど。
そのおかげで、奥さんに会いにいけた。
初めて拝見したけれど、綺麗だった。
リリーによく似た髪色で瞳。
母だ! となった。
それに、娘をよろしくと言われた。
友達だから当たり前だと思い、
「もちろんです」と返事をすると、
魔王は驚き、リリーは倒れた。
どうしたんだろう?
これに関しては、
よく、わからないけど……。
俺はとても感動した。
家族というものに。
魔王達を見ていつも思う。
自分の両親や弟が生きていたら。
彼らに負けない幸せさだっただろう。
しかし、家族との幸せはあまり無いが。
人との幸せは充分に味わえてる。
俺には友達も多い。
リリー、魔王。
ミリア、アイク。
それに、ギルゾックやシビア。
あ、近頃ギルゾックに会えてないな。
あいつが王都に作った店。
みんなで行こうか。
誕生日にもらった無料チケットもあるしね。
「リリー、魔王、あと奥様も。
ギルゾックのお店に行こうぜ!
明日の朝な!」
決めたことはすぐに伝える。
起きたリリーは「え! 行きたい!」と大はしゃぎ。
魔王と奥さんは「ギルゾックってだれ?」という困惑の表情をしていた。
次はラスト回です
自分でもメチャクチャな作品だと思う(T . T)
次の作品は頑張って、面白い作品にします。(多分)




