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記憶消された復讐者  作者: 納豆にはネギ
第4章 バルク編
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第三十話「学園を出る」


 授業が終わり、

 皆、学食などに向かう中。


「リリー、ちょっといい?」


「え? なに?」


 リリーを引き止めた。

 予想だけど、今回も話が長くなりそうだ。


「実はさ……」


 授業前に、ミリアとアイクに説明したことと、似たような感じで彼女にも言った。


 すると、リリーは苦笑しつつ、


「は? むりだけど?」


 と、怒ってはいないようだが、

 怖さを感じてしまう声音だ。


「色々あってさ……」


「色々?」


 人探しと説明はしたが、

 バルクの名は出していない。

 ミリアのように付いてくると宣言されそうだからだ。

 俺の失態だし、自分の尻は自分で拭いたい。


 ……でも、リリーには言ってもいいのだろうか。

 友達に順位をつけているわけではないけど、

 リリーは親友だし……。

 アペプ一族の時もついてきてくれたし。


 よし、話だけでもしておくか。

 

 

 そう決め、彼女に全て話した。

 バルクの存在。

 呪い魔法の悪用。

 まぁ、そこらへんを語った。


 聞いてる最中、リリーの表情は段々と、真顔へ変わっていった。

 いつもの固定してるような笑顔も無くなった。

 いつ以来かな、この顔見るの。


 魔王も呪い魔法をかけられているからか。

 バルク自体の性格の悪さのことか。

 表情だけでは分からないけど、

 リリーも、あいつに対して嫌悪感を抱いているようだ。

 

「うざ」


「バルクのこと?」

 

「当たり前でしょ! 最低じゃん」


 そう言い、拳を強く握り締めいてる。

 結構、ムカついてるんだな。

 

「バルクってやつを、探すんだね?」


 リリーが席から立ち上がり、

 こちらに視線を向けて言った。

 

「まぁ、そうだけど……」


「いくよ」


 迷いのない声音と、眼だ。

 

「でも、俺が逃したし、危険だ」


 もちろん、ミリア達と比べれば、

 リリーはバルクと戦えるだろう。

 それほどまでに、彼女は強い。

 

 けれど本当に危険なのは、奴の隠してる技なんだよな……。


 あと何より、ミリア達を連れて行かなかったのに、リリーを連れてくの気まずい……。


 そう思っていると、誰かが背後からツンツンとしてきた。


「……?」


 だれだ?

 幽霊か?

 俺は恐る恐る、後ろを振り返る。


「え、アイク?」


 アイクだった、まだいたのか。

 ミリアはいない。

 珍しいな、アイクが1人なの。


「どうした?」


「リリーさんと、いくんでしょ?」


「え?」


「ミリアには言っとくから!」


 へ? なにを!?

 怖い怖い。


「どういうことだ?」


「人探しに、リリーさんと行くんだよね!

 ミリアは怒るだろうから説得しておくよ」


 あ、そういうこと?

 それなら、気まずくはない……。


「ちょっと! アイク、シオンから離れて!」


 リリーが、忠犬みたいなアイクを俺から引き剥がす。


「リリーさん、以前のお礼に、今回はシオンくんと楽しんできて」


「お礼ってなに?」


 たしかに、お礼ってなんだろう。


「氷魔法教えてくれたことだよ」


 それを聞き、俺とリリーは納得し、「なるほど」と頷いた。


「た、楽しんできてって……」


 リリーはそういい、顔を赤くした。

 急にどうした?

 まぁそれは良しとして、


 リリーを連れて行ってもいいのだろうか。

 いや、よくよく考えたら、

 アペプ一族の時も付いてきてくれた。

 俺の復讐に手伝ってくれた。


 リリーは頼りになる。

 よし、彼女は付いて行くと言ってくれた。

 きっと、また助けてくれるんだろう。


 俺は親友に甘えよう。

 それに、頼られたら倍にして返そう。

 お菓子買ってきてって言われたら100個買ってきてあげるくらいに。


「よし! リリーおねがい!」


「ん、なにが?」


「人探し手伝って!」


 俺の言葉にリリーは表情を明るくした。

 アイクも1人で頷いて、どこかへ行った。


---


 2人で、ジビス学園長に報告をしに行った。

 人探しに行くので休学すると伝えると、


「お前たちの実力は、もう卒業できるレベルだ! 卒業するか?」


 と問われ、俺は首を横に振った。

 隣のリリーも同じくだ。


「もう少し学びたいことがあるので」


 学びたいというよりも、楽しいからだけどね。

 

「そうか! まぁいつか戻ってこい!」


 男らしいジビスに、俺たちは「はい!」と返事をして部屋を出た。

 

 これで、学園を出ていける。

 

「リリー、準備は?」


「万端!」


「よし!」


 俺も彼女も。

 寮から必要な荷物を持ってきて、準備万端だ。

 まぁ、空間魔法をリリーにも伝授したので、

 両方身軽ではある。

 が、一つだけ手に持っているものがある。


 それは、アイクから貰った……いや、貸してくれた大きな本。

 『ホンギル王国魔法陣一覧』


 これさえあれば無敵。

 なんだか、図鑑みたいだ。


「それが魔法陣の場所わかるやつ?」


 手に持ってる本を覗いて言ってきた。


「そう。これ見ながら回ろう」


「おっけ!」


 早速だが、俺とリリーは学園を出た。

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