第三十話「学園を出る」
授業が終わり、
皆、学食などに向かう中。
「リリー、ちょっといい?」
「え? なに?」
リリーを引き止めた。
予想だけど、今回も話が長くなりそうだ。
「実はさ……」
授業前に、ミリアとアイクに説明したことと、似たような感じで彼女にも言った。
すると、リリーは苦笑しつつ、
「は? むりだけど?」
と、怒ってはいないようだが、
怖さを感じてしまう声音だ。
「色々あってさ……」
「色々?」
人探しと説明はしたが、
バルクの名は出していない。
ミリアのように付いてくると宣言されそうだからだ。
俺の失態だし、自分の尻は自分で拭いたい。
……でも、リリーには言ってもいいのだろうか。
友達に順位をつけているわけではないけど、
リリーは親友だし……。
アペプ一族の時もついてきてくれたし。
よし、話だけでもしておくか。
そう決め、彼女に全て話した。
バルクの存在。
呪い魔法の悪用。
まぁ、そこらへんを語った。
聞いてる最中、リリーの表情は段々と、真顔へ変わっていった。
いつもの固定してるような笑顔も無くなった。
いつ以来かな、この顔見るの。
魔王も呪い魔法をかけられているからか。
バルク自体の性格の悪さのことか。
表情だけでは分からないけど、
リリーも、あいつに対して嫌悪感を抱いているようだ。
「うざ」
「バルクのこと?」
「当たり前でしょ! 最低じゃん」
そう言い、拳を強く握り締めいてる。
結構、ムカついてるんだな。
「バルクってやつを、探すんだね?」
リリーが席から立ち上がり、
こちらに視線を向けて言った。
「まぁ、そうだけど……」
「いくよ」
迷いのない声音と、眼だ。
「でも、俺が逃したし、危険だ」
もちろん、ミリア達と比べれば、
リリーはバルクと戦えるだろう。
それほどまでに、彼女は強い。
けれど本当に危険なのは、奴の隠してる技なんだよな……。
あと何より、ミリア達を連れて行かなかったのに、リリーを連れてくの気まずい……。
そう思っていると、誰かが背後からツンツンとしてきた。
「……?」
だれだ?
幽霊か?
俺は恐る恐る、後ろを振り返る。
「え、アイク?」
アイクだった、まだいたのか。
ミリアはいない。
珍しいな、アイクが1人なの。
「どうした?」
「リリーさんと、いくんでしょ?」
「え?」
「ミリアには言っとくから!」
へ? なにを!?
怖い怖い。
「どういうことだ?」
「人探しに、リリーさんと行くんだよね!
ミリアは怒るだろうから説得しておくよ」
あ、そういうこと?
それなら、気まずくはない……。
「ちょっと! アイク、シオンから離れて!」
リリーが、忠犬みたいなアイクを俺から引き剥がす。
「リリーさん、以前のお礼に、今回はシオンくんと楽しんできて」
「お礼ってなに?」
たしかに、お礼ってなんだろう。
「氷魔法教えてくれたことだよ」
それを聞き、俺とリリーは納得し、「なるほど」と頷いた。
「た、楽しんできてって……」
リリーはそういい、顔を赤くした。
急にどうした?
まぁそれは良しとして、
リリーを連れて行ってもいいのだろうか。
いや、よくよく考えたら、
アペプ一族の時も付いてきてくれた。
俺の復讐に手伝ってくれた。
リリーは頼りになる。
よし、彼女は付いて行くと言ってくれた。
きっと、また助けてくれるんだろう。
俺は親友に甘えよう。
それに、頼られたら倍にして返そう。
お菓子買ってきてって言われたら100個買ってきてあげるくらいに。
「よし! リリーおねがい!」
「ん、なにが?」
「人探し手伝って!」
俺の言葉にリリーは表情を明るくした。
アイクも1人で頷いて、どこかへ行った。
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2人で、ジビス学園長に報告をしに行った。
人探しに行くので休学すると伝えると、
「お前たちの実力は、もう卒業できるレベルだ! 卒業するか?」
と問われ、俺は首を横に振った。
隣のリリーも同じくだ。
「もう少し学びたいことがあるので」
学びたいというよりも、楽しいからだけどね。
「そうか! まぁいつか戻ってこい!」
男らしいジビスに、俺たちは「はい!」と返事をして部屋を出た。
これで、学園を出ていける。
「リリー、準備は?」
「万端!」
「よし!」
俺も彼女も。
寮から必要な荷物を持ってきて、準備万端だ。
まぁ、空間魔法をリリーにも伝授したので、
両方身軽ではある。
が、一つだけ手に持っているものがある。
それは、アイクから貰った……いや、貸してくれた大きな本。
『ホンギル王国魔法陣一覧』
これさえあれば無敵。
なんだか、図鑑みたいだ。
「それが魔法陣の場所わかるやつ?」
手に持ってる本を覗いて言ってきた。
「そう。これ見ながら回ろう」
「おっけ!」
早速だが、俺とリリーは学園を出た。
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