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記憶消された復讐者  作者: 納豆にはネギ
第1章 記憶復活編
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第三話「リリーの憧れ、勇者ショーリ」

 

 俺とリリーは、まずは腹ごしらえ、ということでギルゾックの酒場に来ている。

 ここは友達の酒場なのであまり気を使わないし、なにより飯もうまいのだ。


「リリーはなに食べるの?」


「んー。そーだなあ」


 リリーはメニューを見て子供みたいに、必死に悩んでいる。

 同い年なのに、子供っぽいところがあって可愛らしい。

 

「かわい」


「……」

 

 あ、やば。子供を見ている感じがして、つい口にしてしまった。まぁ聞こえてないだろう。

 聞かれて困ることでもないし。


 そんなことを考えていると、リリーは食べるものを決めたらしい。


「お、決まったか?」


「う、うん! き、きまったよーーう」


 なんかめっちゃ顔赤いんだけど。

 なんでだろ。今日は別に暑くないよな?

 

「な、なんでそんな顔赤いんだ?」

 

 リリーの肩がビクッと震えた。


「な、なんでも? そんなシオンは決まったの?」


「おう。俺はステーキにしようと思う!」


「いいね! 私はトリプルステーキだよ!」

 

 なんと。リリーは大食いなのを忘れていた、

 俺の三倍の量だぞ。トリプルステーキ。


「よっ、お二人さん。注文きまったか?」


 ギルゾックが注文を聞きにこちらへ来た。


「おう決まったぞー」


「うん!」


 俺たちはギルゾックにステーキとトリプルステーキを注文した。

 

 食べ物が来るまではジュースを飲みながら、

 リリーと雑談をするのが、いつものパターンである。


「それで、リリーは昨日なにしてたんだ?」 


「昨日はねー! SS難易度のクエストをしたよ!」


「うわー。すごいなまじで。さすがはクレスタ最強と言われるだけある冒険者様」


「もー!やめてよー」


 そう。リリー・アマリリスはこの街、クレスタでは最強の冒険者だ。

 クレスタは田舎の方であるが、王都の冒険者に比べてもリリーはかなり強い方だろう。


「そのクエストってどんな内容なんだ?」


「ワイバーンの討伐だね」


「ブフォっ!!!」


 びっくりして飲んでたジュースを吹いてしまった。

 ワイバーンて、会ったら最後。ってレベルのモンスターだぞ。

 

「あいつはデカいし、火を吹いて大変だったよ〜」


 俺は今ジュース吹いたけどな。


「ったく。リリーは規格外すね」


「えへへ!」


 それに比べて俺は、ゴブリンしか倒せない。

 ワイバーンからしたらゴブリンは、虫くらいだろう。


 正直、羨ましい。理由はないが、俺も男としてもっと強くなりたいと思ったりする。

 それに、お金が欲しい!!!!

 

「へいおまち!」

 

 とか考えていたら、俺らのステーキが来た。


「うわ! おいしそーーう!」


「ほんとだな!」


 俺とリリーは手を合わせて、この酒場全体に聞こえる大きな声でいただきますを言った。

 

---


 ふー。食った食った。やっぱりここの飯はうまいな、 それに安いし!ここ大事。

 

 俺たちはギルゾックに会計を頼んだ。

 ギルゾックは「別にいらねーよ」なんて言っていた。


 ほんとに良いやつだな。

 でも、その優しさに甘えるわけにはいかない。


「いや払うよ流石にな」


「そうだよ!」


 リリーもそう思うらしい。


「そうか? ま、明日はシオンのパーティーだしな!  今日は払ってくれ!」


「おう!」


 明日は俺の誕生日パーティーが、この酒場で開かれる。 貸切して、この3人だけで。

 はー、考えるだけでもたのしみすぎるぜ。

 

「どしたー? シオンー? 

 顔がニヤケてきてるぞーー? 

 そんなにたのしみかあー?」

 

 リリーは俺のほっぺをツンツンしてきた。

 

「こいつぅ、からかいやがって!」 


「あはは!」


「はっはっは!」


 「ふっ、ったく!」


 そうやって3人で笑い、俺とリリーは酒場を出た。

 次はなにしようかな。と思い、2人で歩いていると視線を感じる。

 けどこれがなんの視線か、俺には分かる。


 それは街の人の視線。そしてその視線の先は今隣で一緒に歩いているリリーだ。

 こいつは美人なのだ。

 綺麗な青い髪のツインテールで、宝石のような赤い瞳の少女。そして顔がいい。

 

 そりゃ見られるわな。友達の俺でも綺麗と思う顔だもん。

 でも俺のタイプは、大人で清楚な女性である。

 決して、リリーに恋心を抱くとかはない、たぶん。

 もちろん、友達としては最高に大好きである。


 と考えていたらリリーが何か見つけたらしい。あるところに指をさして俺に話しかけた。


「ねぇシオン。この像知ってる?」


「なにこれ?」


 リリーが指差したのは、一つの像だった。それはこの街、クレスタに住んでる人なら誰でも一度は、目にしたことがあるだろう。デッカい像。5メートルくらい?


 俺も見たことはあるが、なんだこれ。としかならずその像が一体なんなのかは知ってなかった。


「やっぱり知らないの?」


「う、うん」


「この像はすべての、街に建ってる! この世界で1番有名人! そして最強!」


「そうなの?」


 リリーはこくりと頷いた。そしてその顔はいつの間にか、にっこにこになっていた


 俺たちはその像に近づき、それを見上げた。


「この像、なにに見える?」


 なにに見える?どういうことだろう。

 俺はとりあえず見た感じそのままを言葉にした。


「かっこいい、男の人の像だね。剣を持っている。強そうだ」

 

 とてもデカい、人の像で、剣を右手に持ち、それは見ただけでわかる。強そうだ。


「そう! これはね、勇者の像なんだー!」


「勇者?」


「そう、勇者。私の憧れ! この勇者はショーリって名前でね。魔王を倒して、この世界を平和にしたんだ! それが明日で7年前のことになるね!」


「7年前か。それは記憶喪失の俺には覚えていないすごい出来事だな」


 明日で7年にもなるのか。勇者ショーリ、すごいな。 魔王ってどれだけ強いんだろ。

 すげえかっこいい、リリーが憧れるのもわかる。


 と考えていたらリリーがこちらを見て、語り出した。


「わたしはね? 10歳の時に、この話を聞いて強くなりたくなったんだ!」


 なるほど、こいつがなぜここまで強いのか分かってきた。勇者の偉業を聞き、それに憧れ、自分も強くなった。

 そんなところだろうな。


「ま! 私は元々才能あったけどね!」


「ははっ、そこはかっこつけて、努力でここまできましたって言えよ」


「あはは!」


 俺はこいつのこういうところが友達として好きだ。変にカッコつけず、笑いを取ったりするところ。

 一緒にいてたのしい。


---

 

「っと、もうこんな時間か」


「え? ほんとだ」


 いつのまにか暗くなってきていた。長話しすぎたな。


「じゃあ、今日はここで解散ってことにしますかー!」


「そうだな、明日、楽しみにしとくわ!」


「うん! 私も!」


 そういい明日の誕生日パーティーに備えるため俺たちは解散した。

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