第三話「リリーの憧れ、勇者ショーリ」
俺とリリーは、まずは腹ごしらえ、ということでギルゾックの酒場に来ている。
ここは友達の酒場なのであまり気を使わないし、なにより飯もうまいのだ。
「リリーはなに食べるの?」
「んー。そーだなあ」
リリーはメニューを見て子供みたいに、必死に悩んでいる。
同い年なのに、子供っぽいところがあって可愛らしい。
「かわい」
「……」
あ、やば。子供を見ている感じがして、つい口にしてしまった。まぁ聞こえてないだろう。
聞かれて困ることでもないし。
そんなことを考えていると、リリーは食べるものを決めたらしい。
「お、決まったか?」
「う、うん! き、きまったよーーう」
なんかめっちゃ顔赤いんだけど。
なんでだろ。今日は別に暑くないよな?
「な、なんでそんな顔赤いんだ?」
リリーの肩がビクッと震えた。
「な、なんでも? そんなシオンは決まったの?」
「おう。俺はステーキにしようと思う!」
「いいね! 私はトリプルステーキだよ!」
なんと。リリーは大食いなのを忘れていた、
俺の三倍の量だぞ。トリプルステーキ。
「よっ、お二人さん。注文きまったか?」
ギルゾックが注文を聞きにこちらへ来た。
「おう決まったぞー」
「うん!」
俺たちはギルゾックにステーキとトリプルステーキを注文した。
食べ物が来るまではジュースを飲みながら、
リリーと雑談をするのが、いつものパターンである。
「それで、リリーは昨日なにしてたんだ?」
「昨日はねー! SS難易度のクエストをしたよ!」
「うわー。すごいなまじで。さすがはクレスタ最強と言われるだけある冒険者様」
「もー!やめてよー」
そう。リリー・アマリリスはこの街、クレスタでは最強の冒険者だ。
クレスタは田舎の方であるが、王都の冒険者に比べてもリリーはかなり強い方だろう。
「そのクエストってどんな内容なんだ?」
「ワイバーンの討伐だね」
「ブフォっ!!!」
びっくりして飲んでたジュースを吹いてしまった。
ワイバーンて、会ったら最後。ってレベルのモンスターだぞ。
「あいつはデカいし、火を吹いて大変だったよ〜」
俺は今ジュース吹いたけどな。
「ったく。リリーは規格外すね」
「えへへ!」
それに比べて俺は、ゴブリンしか倒せない。
ワイバーンからしたらゴブリンは、虫くらいだろう。
正直、羨ましい。理由はないが、俺も男としてもっと強くなりたいと思ったりする。
それに、お金が欲しい!!!!
「へいおまち!」
とか考えていたら、俺らのステーキが来た。
「うわ! おいしそーーう!」
「ほんとだな!」
俺とリリーは手を合わせて、この酒場全体に聞こえる大きな声でいただきますを言った。
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ふー。食った食った。やっぱりここの飯はうまいな、 それに安いし!ここ大事。
俺たちはギルゾックに会計を頼んだ。
ギルゾックは「別にいらねーよ」なんて言っていた。
ほんとに良いやつだな。
でも、その優しさに甘えるわけにはいかない。
「いや払うよ流石にな」
「そうだよ!」
リリーもそう思うらしい。
「そうか? ま、明日はシオンのパーティーだしな! 今日は払ってくれ!」
「おう!」
明日は俺の誕生日パーティーが、この酒場で開かれる。 貸切して、この3人だけで。
はー、考えるだけでもたのしみすぎるぜ。
「どしたー? シオンー?
顔がニヤケてきてるぞーー?
そんなにたのしみかあー?」
リリーは俺のほっぺをツンツンしてきた。
「こいつぅ、からかいやがって!」
「あはは!」
「はっはっは!」
「ふっ、ったく!」
そうやって3人で笑い、俺とリリーは酒場を出た。
次はなにしようかな。と思い、2人で歩いていると視線を感じる。
けどこれがなんの視線か、俺には分かる。
それは街の人の視線。そしてその視線の先は今隣で一緒に歩いているリリーだ。
こいつは美人なのだ。
綺麗な青い髪のツインテールで、宝石のような赤い瞳の少女。そして顔がいい。
そりゃ見られるわな。友達の俺でも綺麗と思う顔だもん。
でも俺のタイプは、大人で清楚な女性である。
決して、リリーに恋心を抱くとかはない、たぶん。
もちろん、友達としては最高に大好きである。
と考えていたらリリーが何か見つけたらしい。あるところに指をさして俺に話しかけた。
「ねぇシオン。この像知ってる?」
「なにこれ?」
リリーが指差したのは、一つの像だった。それはこの街、クレスタに住んでる人なら誰でも一度は、目にしたことがあるだろう。デッカい像。5メートルくらい?
俺も見たことはあるが、なんだこれ。としかならずその像が一体なんなのかは知ってなかった。
「やっぱり知らないの?」
「う、うん」
「この像はすべての、街に建ってる! この世界で1番有名人! そして最強!」
「そうなの?」
リリーはこくりと頷いた。そしてその顔はいつの間にか、にっこにこになっていた
俺たちはその像に近づき、それを見上げた。
「この像、なにに見える?」
なにに見える?どういうことだろう。
俺はとりあえず見た感じそのままを言葉にした。
「かっこいい、男の人の像だね。剣を持っている。強そうだ」
とてもデカい、人の像で、剣を右手に持ち、それは見ただけでわかる。強そうだ。
「そう! これはね、勇者の像なんだー!」
「勇者?」
「そう、勇者。私の憧れ! この勇者はショーリって名前でね。魔王を倒して、この世界を平和にしたんだ! それが明日で7年前のことになるね!」
「7年前か。それは記憶喪失の俺には覚えていないすごい出来事だな」
明日で7年にもなるのか。勇者ショーリ、すごいな。 魔王ってどれだけ強いんだろ。
すげえかっこいい、リリーが憧れるのもわかる。
と考えていたらリリーがこちらを見て、語り出した。
「わたしはね? 10歳の時に、この話を聞いて強くなりたくなったんだ!」
なるほど、こいつがなぜここまで強いのか分かってきた。勇者の偉業を聞き、それに憧れ、自分も強くなった。
そんなところだろうな。
「ま! 私は元々才能あったけどね!」
「ははっ、そこはかっこつけて、努力でここまできましたって言えよ」
「あはは!」
俺はこいつのこういうところが友達として好きだ。変にカッコつけず、笑いを取ったりするところ。
一緒にいてたのしい。
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「っと、もうこんな時間か」
「え? ほんとだ」
いつのまにか暗くなってきていた。長話しすぎたな。
「じゃあ、今日はここで解散ってことにしますかー!」
「そうだな、明日、楽しみにしとくわ!」
「うん! 私も!」
そういい明日の誕生日パーティーに備えるため俺たちは解散した。




