第二話「夢、そして女」
なんだろう。俺はお前だって……。
厨二キャラきたー、夢に出てくるのが厨二かよ。
なんか納得だ、俺のことを弱者とか弱々しいな。とかいちゃもんつけてくるの
これは厨二だからか!
……男がこちらを睨んできた。
「どうせ俺は変なことを考えているんだろ?」
さすが夢だ、自分の考えてることは相手に見抜かれてしまうのか。
まあいいや、夢だしこっちも強気に行くぞ!
「ふっ! 厨二キャラだなおまえ! 痛いぞ!」
「ふっ。そんなことを考えていたか」
「あぁ。そーだよ、厨二だ! 何歳だお前?」
俺は歳を聞いた。この男からは声しか聞こえず、見た目は真っ黒だ。
「うーん。15歳……かな?
記憶喪失になるのは16歳からだからね」
は?記憶喪失は16歳から?なんだこいつ?てか15歳かよさすが厨二。王道の年齢だね。
「年下か。15歳てドンピシャの歳すぎるだろ」
俺は思ったことを率直に言った。
すると、厨二病痛男からは予想外の返事がきた。
「お前さ、厨二厨二言ってるけど、記憶なくなったんだろ?」
「はい? 記憶喪失だけど、関係ある?」
「あるさ、だってこの世界に厨二なんてないぞ」
「……えっ?」
すぐにわかった。この世界に厨二がない?なんのことだ?とはならなかった。
確かに厨二病とか聞いたこともないし、いない。
ではなぜ、俺は厨二という言葉をしっていて、その特徴を的確に知っているのだろう。
頭が痛い
吐き気がする
夢なのに
苦しい
フラフラになってしまい、そんな俺を見て男が声をかけた
「あまり深掘りするな。夢の中では危険だ、考えるなら現実でたくさん考え、思い出すんだ」
「思い出す?」
「あぁ、そうだ」
「わ、わかった」
俺は、思い出すとはなんなのか、聞かないようにした。
これ以上聞いたら夢の中なのにゲロが出そうだ。
「おっと、そろそろ覚める時間だ」
「夢から?」
「そうそう。あー、あと」
またもや何か言うらしい。
早くしてくれ、俺はこの変な夢から覚めたい。
「厨二病は『日本人』の俺とお前しかわからない単語だぞ!」
「日本……人?」
「考えるな。今はまだ考えるなよ?」
なんだよ、お前が言い出したんだろ。
でも、考えないようにしておこう今は。
「そうだ、シオン。いや、俺」
「な、なに」
「次が最後だ。次に寝たらまた俺が現れて、ある事を伝える」
急に男……いや、俺と名乗るこいつは漢な雰囲気になっていた。さっきまでのアホそうな雰囲気ではなく、侍のように。
ん?さ、さむらい?まあいいや……。
「最後って? ある事って?」
「……」
消えてゆく。それはまるで人間の像を砂で作ったのに、嵐で崩れ去ってしまうかのように
「あ、おい、まって!」
引き止めようとしたら目の前が明るくなってゆく。
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目が覚めた。
朝だ、夢のことは覚えている、次が最後って言ってたよな。
夜寝たらあいつがまた現れるのか?
あ、そうだ。考えるなら現実でって言ってたなよな?
(日本人、厨二病、侍)
俺は夢の中で出てきた謎の単語について考えてみた。
日本人……うん、わかんない。でも、なぜか懐かしいような、そんな気がした。
厨二病とか侍とか、それもなんなのか分からない。けどやっぱり懐かしい。
俺は深く考えたが、対して何も分からず終わってしまった。
それに、1番気になるのはあいつだ。
あいつは俺だと、そう言っていた。
でも顔は見えない声は聞こえる、声は確かに俺に似てた?かも?しれない。
けれど所詮は夢の中での事。
そう、思っていた。
あいつが日本人とかそんな事を言う前までは。
日本人ってのを聞いた瞬間に、所詮夢の中とかいう考えは何故か消え去っていた。
あの男の言う一つ一つに信用をしていた。
まるで血の繋がった家族と話しているかのようだ。もしかしたら、あいつは亡くなった親の幽霊なのかな?
記憶喪失になってしまって親がどんな人なのか覚えてない。きっとそうだ。あれは親の幽霊だね。
俺は適当にそう解釈した。
ウンウンと1人部屋の中で頷いていたその時……。
『おーい! しっおっんー!』
びっくりした。思念通話だ。
思念通話……それは、この世界に生きている人ならだれでも使えるような初級魔法。
いや、魔力は必要ないから魔法っていえるのだろうか?まあそんなのはどうだっていいか。
これは遠くにいる人にも会話ができる便利な魔法である。
そして、急にでっかい声で話しかけてきたのは。
「大声やめてよリリー。びっくりするよー」
『あははっ! ごめんごめん! てか、今日遊ぶ約束してるよね!? 忘れてる!?』
リリー・アマリリス。俺が記憶喪失になった後にできた女友達だ。よく一緒に遊んでいる。
「忘れてないよ。それは昼からでしょ? 今は朝だよ」
『あ、そうだった』
「もう」
はぁ、この子はいつもこんな感じだ。せっかちなのか、ほんとに忘れてたのか。
まあリリーと遊ぶのは楽しいので、朝からでもいいんだけどね!
「今から遊ぶ? ちょうど早く起きて暇だったし」
『ほんと!? あそぼあそぼ!
今からそっちいくね!』
「はーい」
ふぅ、通話が切れた。来るまで準備しとくか。
すぐさま、服を着替えて、次は歯を磨こ……。
「よし! ついた!!」
はぁ、こいつまじで早いんだよ。
「リリー早いね。いつも通り」
「あれ? シオンまだ準備してないの?」
「うん。早すぎてね君が」
「あははっ!」
リリーは本当にいつも早い。たまにクエストも一緒にするが、こいつは強すぎて一瞬で敵がいなくなる。
俺が弱すぎるのもあって、リリーには助けてもらってしまうのだ。
「シオン明日誕生日だね」
「あ、そうだね」
そういえばそうだ。俺が記憶喪失になったあの日は、酒場のギルゾックによれば、丁度俺の誕生日だったらしく、明日はその日の一年後
17歳の誕生日だ。
記憶喪失から1年が経つのか。早いなあ。
夢の中の俺は15だっけ?
まあ今はそれはいいや。
「明日は盛大に祝おうね! ギルゾックさんの酒場で!!」
「おう!」
俺もテンションが上がってしまった。
16歳の時は、記憶喪失の日になって、そんなパーティーとかの雰囲気ではなく、結局したのは3日後とかになったんだよな。
あの時はリリーとも友達になる前だから、ギルゾックと2人でした。
あいつはいい奴だから2人でも楽しかった。
けどリリーも今年は一緒。数倍楽しくなりそうだ。
「明日が楽しみだ!」
「どしたー? シオンー? テンションあがっちゃったかー? こどもだなぁー!」
「うっせ!」
そういい2人で笑って、外へ遊びに出た。




