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記憶消された復讐者  作者: 納豆にはネギ
第4章 バルク編
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第二十七話「修行」


 学園寮の自分の部屋に帰宅した。

 

 そして頭の中で色々考えた。

 逃してしまったとか、

 アペプ一族の時も最初は逃げられたとか。

 後悔と反省の気持ちでいっぱい。


 このままでは眠れそうにないので、思考を無にし、頑張って就寝した。


---


 ちゅんちゅんと、外から鳥の鳴き声が聞こえてくる。

 とても眩しい。明るすぎるぅ……。


「あ」 


 起床した。

 このベッドフカフカだなぁ。

 枕の高さも完璧だし。

 

「……」


 いやいや、それはどうでもいいんだ。

 バルク・カタラを逃した。

 くそ、悔しい。


 思い返せば、俺は自分の力を信じすぎて、油断する場面が多いのかもしれない。

 そうだ、初心に戻ろう。


 初級魔法の練習とか、

 剣の素振りとか、

 何年前か忘れたけれど、

 初期の初期にやってた修行をしよう。


「よし!」


 ベッドから起き上がり、学園に向かう準備をした。


---


 今日も当然、授業はある。

 が、以前からつまらないとしか思えない。


 基本は全て知っているし、その応用もできていた。

 なので、居眠りとかしちゃってた。

 ……今思えば、とてもだらしないと思う。


 決めた!

 その上でまた学び直せばいいんだ。

 何事も基礎は大事だよね。うんうん。


 

 ということで、今から授業が開始される。

 先生が教壇に立ち、こほんと咳をし、喋り始める。


「今回は、中級魔法についてです」


 その言葉で、俺は姿勢を正した。

 このクラスの誰よりも綺麗な座り方だ。

 

「おや、君、いいね」


「え?」


 突然、先生に指をさされて褒められた。

 な、なんだ?

 姿勢良すぎて目立ったか?


「君くらいだよ! 僕の授業を真面目に聞いてくれるのは」


 先生は感動し、涙を流しはじめた。

 おいおい、俺が泣かせたみたいじゃないか。

 ちょっと、やめてほしい。


「え、だれだれ?」


「誰かが先生を泣かせた!?」


 う、周囲の生徒からの視線が全て俺に。

 きやぁぁ。恥ずかしい!


「シオン人気者だね!」


 と、隣にいるリリーがそう言った。

 恐らくこれは人気とかじゃないだろ。

 

「あ、あはは」


 とりあえず笑っておく。

 

 先生はまたもや、こほんと咳をし、気を取り直した。

 さっさと始めろや授業を!

 真面目に聞いてあげるから!


「はいはい、落ち着いてね皆さん!

 中級魔法について教えますから」


 

 そこから、1時間みっちり聞かされた。

 中級魔法全種類、全詠唱、メリット、デメリット。

 などなど。


 中級ってのは、案外難しいものだ。

 シビアを修業しているが、まだ2つしか習得できていない。

 才能があるシビアで、だ。


 もっとも、彼女は呪い魔法専門なので、ガチガチに魔法を鍛えなくても良い。


 と、シビアについてはこの辺にしといて。


「ふぅ、なんか疲れたな」


 座ったまま背伸びをした。

 こんなにも疲れたのは久しぶり。


 ……やばい眠い。

 あくびをしそうになるのを我慢してたら、ある女生徒が話しかけてきた。


「シオンさん!」

  

 そういえば、同い年だから、この子もいたんだったわ。

 

「あぁ、ミリア」


 そう、ミリアだ。

 その隣にはアイクもいる。


「さっき、先生に褒められてなかった?」


「褒められたってか恥かいた」


「シオンさんかっこよかったです!」


 いや、なにが?

 かっこいい要素一つもないだろ。

 

「ちょっとミリア! あんまシオンを褒めないで」


「なんですかリリーさん!」


「あはは、この2人はいつもこうだよね」


 アイクはそれを見て笑っている。

 それ、というのはいつもの言い合い。

 ミリアが俺を褒めたりすると、リリーがブチギレるのだ。


 

 この言い合いは数分続き、

 その間にこっそり教室を抜け出した。

 アイクは俺に気づいて付いてきた。


「シオンくんどこにいくの?」


 犬かこいつ。

 尻尾振り回しすぎでしょ。

 生えてないけど……。 

 

「修行したくてさ」


「修行? 強いのに?」


 別に強くなりたいからする訳ではない。

 なんていうか、油断しないように、初心を取り戻すための修行。


 と、アイクに説明した。

 すると不思議そうに尋ねてきた。


「油断? なにに?」


「まぁ色々あってさ」


 そう言った次の瞬間、悲鳴が聞こえた。


「きゃゃゃゃ!」


「え?」


 俺はすぐに反応した。

 見たら、近くの女子が叫んでいた。

 

「アイク様よ!!」


「え!? アイク様!?」


「どこどこ!?」

 

 ぞろぞろと、女子がこちらに集まる。

 そう、悲鳴の正体は、


「アイク様、付き合ってください!!」


 アイクでした。

 最近、俺はこいつの顔に犬を重ねていたから、忘れていたけれど、

 とてもイケメンだったんだ。


 くそぅ。羨ましい!


「ちょ、ちょっと!」


 あらま、アイクさんが大勢の女子に潰されていく。

 

「シオンくん! た、たすけ……」


 消えました。

 波に攫われていった。

 もちろん女子の。


 俺は手のひらを合わせて、彼の安全を祈った。

 

---


 1人で体育館を貸し切り、修行をした。


 その時間は約5時間。

 ここまでするべきなのかは、俺も分からんが、質より量なのだ。魔法というのは。


 ちなみに何をしたのかというと、


 初級魔法、中級魔法、上級魔法。

 この3つのすべてを使いまくった。

 それにより、魔力は半分くらい消え去った。


 次に、剣を振りまくった。

 素振りってやつだね。

 当たり前だが、魔剣ティシスを使うと、素振りで学園が消滅しそうなので、

 木剣を使用した。


 偶には木剣も良いなと感じた。

 そして、ティシスに頼りすぎとも痛感した。


 俺が命削って作った魔剣。

 これに頼りすぎもクソもないのだけど、

 そりゃ油断するわって程に強いから。


 うんうん。木剣も良いね。

 久しぶりに汗もかいて最高!


 そう思いつつ、脱いでいた服を着直した。

 その時、次にバルクと対峙した場合を想定した。


「あ、わかった」


 ふいに、気づいた。

 俺はこの修行で身につけたんだ。

 油断しない戦い方というのを。


「よっしゃ!」


 もう大丈夫。

 次は逃しはしない。

 

 俺は体育館を出て、マリアの所へ向かった。

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