第二十七話「修行」
学園寮の自分の部屋に帰宅した。
そして頭の中で色々考えた。
逃してしまったとか、
アペプ一族の時も最初は逃げられたとか。
後悔と反省の気持ちでいっぱい。
このままでは眠れそうにないので、思考を無にし、頑張って就寝した。
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ちゅんちゅんと、外から鳥の鳴き声が聞こえてくる。
とても眩しい。明るすぎるぅ……。
「あ」
起床した。
このベッドフカフカだなぁ。
枕の高さも完璧だし。
「……」
いやいや、それはどうでもいいんだ。
バルク・カタラを逃した。
くそ、悔しい。
思い返せば、俺は自分の力を信じすぎて、油断する場面が多いのかもしれない。
そうだ、初心に戻ろう。
初級魔法の練習とか、
剣の素振りとか、
何年前か忘れたけれど、
初期の初期にやってた修行をしよう。
「よし!」
ベッドから起き上がり、学園に向かう準備をした。
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今日も当然、授業はある。
が、以前からつまらないとしか思えない。
基本は全て知っているし、その応用もできていた。
なので、居眠りとかしちゃってた。
……今思えば、とてもだらしないと思う。
決めた!
その上でまた学び直せばいいんだ。
何事も基礎は大事だよね。うんうん。
ということで、今から授業が開始される。
先生が教壇に立ち、こほんと咳をし、喋り始める。
「今回は、中級魔法についてです」
その言葉で、俺は姿勢を正した。
このクラスの誰よりも綺麗な座り方だ。
「おや、君、いいね」
「え?」
突然、先生に指をさされて褒められた。
な、なんだ?
姿勢良すぎて目立ったか?
「君くらいだよ! 僕の授業を真面目に聞いてくれるのは」
先生は感動し、涙を流しはじめた。
おいおい、俺が泣かせたみたいじゃないか。
ちょっと、やめてほしい。
「え、だれだれ?」
「誰かが先生を泣かせた!?」
う、周囲の生徒からの視線が全て俺に。
きやぁぁ。恥ずかしい!
「シオン人気者だね!」
と、隣にいるリリーがそう言った。
恐らくこれは人気とかじゃないだろ。
「あ、あはは」
とりあえず笑っておく。
先生はまたもや、こほんと咳をし、気を取り直した。
さっさと始めろや授業を!
真面目に聞いてあげるから!
「はいはい、落ち着いてね皆さん!
中級魔法について教えますから」
そこから、1時間みっちり聞かされた。
中級魔法全種類、全詠唱、メリット、デメリット。
などなど。
中級ってのは、案外難しいものだ。
シビアを修業しているが、まだ2つしか習得できていない。
才能があるシビアで、だ。
もっとも、彼女は呪い魔法専門なので、ガチガチに魔法を鍛えなくても良い。
と、シビアについてはこの辺にしといて。
「ふぅ、なんか疲れたな」
座ったまま背伸びをした。
こんなにも疲れたのは久しぶり。
……やばい眠い。
あくびをしそうになるのを我慢してたら、ある女生徒が話しかけてきた。
「シオンさん!」
そういえば、同い年だから、この子もいたんだったわ。
「あぁ、ミリア」
そう、ミリアだ。
その隣にはアイクもいる。
「さっき、先生に褒められてなかった?」
「褒められたってか恥かいた」
「シオンさんかっこよかったです!」
いや、なにが?
かっこいい要素一つもないだろ。
「ちょっとミリア! あんまシオンを褒めないで」
「なんですかリリーさん!」
「あはは、この2人はいつもこうだよね」
アイクはそれを見て笑っている。
それ、というのはいつもの言い合い。
ミリアが俺を褒めたりすると、リリーがブチギレるのだ。
この言い合いは数分続き、
その間にこっそり教室を抜け出した。
アイクは俺に気づいて付いてきた。
「シオンくんどこにいくの?」
犬かこいつ。
尻尾振り回しすぎでしょ。
生えてないけど……。
「修行したくてさ」
「修行? 強いのに?」
別に強くなりたいからする訳ではない。
なんていうか、油断しないように、初心を取り戻すための修行。
と、アイクに説明した。
すると不思議そうに尋ねてきた。
「油断? なにに?」
「まぁ色々あってさ」
そう言った次の瞬間、悲鳴が聞こえた。
「きゃゃゃゃ!」
「え?」
俺はすぐに反応した。
見たら、近くの女子が叫んでいた。
「アイク様よ!!」
「え!? アイク様!?」
「どこどこ!?」
ぞろぞろと、女子がこちらに集まる。
そう、悲鳴の正体は、
「アイク様、付き合ってください!!」
アイクでした。
最近、俺はこいつの顔に犬を重ねていたから、忘れていたけれど、
とてもイケメンだったんだ。
くそぅ。羨ましい!
「ちょ、ちょっと!」
あらま、アイクさんが大勢の女子に潰されていく。
「シオンくん! た、たすけ……」
消えました。
波に攫われていった。
もちろん女子の。
俺は手のひらを合わせて、彼の安全を祈った。
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1人で体育館を貸し切り、修行をした。
その時間は約5時間。
ここまでするべきなのかは、俺も分からんが、質より量なのだ。魔法というのは。
ちなみに何をしたのかというと、
初級魔法、中級魔法、上級魔法。
この3つのすべてを使いまくった。
それにより、魔力は半分くらい消え去った。
次に、剣を振りまくった。
素振りってやつだね。
当たり前だが、魔剣ティシスを使うと、素振りで学園が消滅しそうなので、
木剣を使用した。
偶には木剣も良いなと感じた。
そして、ティシスに頼りすぎとも痛感した。
俺が命削って作った魔剣。
これに頼りすぎもクソもないのだけど、
そりゃ油断するわって程に強いから。
うんうん。木剣も良いね。
久しぶりに汗もかいて最高!
そう思いつつ、脱いでいた服を着直した。
その時、次にバルクと対峙した場合を想定した。
「あ、わかった」
ふいに、気づいた。
俺はこの修行で身につけたんだ。
油断しない戦い方というのを。
「よっしゃ!」
もう大丈夫。
次は逃しはしない。
俺は体育館を出て、マリアの所へ向かった。




