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記憶消された復讐者  作者: 納豆にはネギ
第4章 バルク編
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第二十六話「棲家」


 呪い魔法について説明しよう。

 

 呪い魔法と、いっても沢山の種類が存在する。

 

 まず、記憶消去する呪い。

 これは、一部でも全部でも、指定した範囲の記憶を消去できる呪いだ。


 多分だが、バルクは、闘技場での一部の記憶を消したのだろう。

 もっとも、それはアイとライにかけている。

 俺にはかかってない。


 ……通常、魔物に使うんだけどねこれ。


 次が、憎悪の呪い。

 魔王にかけられている呪いだね。

 

 誰かから嫌われるという悲しい呪い。

 全ての人間に憎悪されるように、魔王は呪われているけれど、

 1人の人間に嫌われるように〜というのも可能。


 当然、こちらも魔物用。


 語れば長くなるので、この辺にしておくが、これら以外にも呪い魔法はある。


 こんな呪い魔法を扱えるのが、稀にいる。

 それが呪い魔法持ちと呼ばれる人である。


 おっと、説明はこのぐらいにしておこう。

 

 俺は今、ロット村にいる。

 ここに来るのは二度目だな。


 以前はアペプ一族がいた。

 けれど、今回はバルクがいるとされている。


 ……ここは悪人の棲家か?


 まあいい。この村は地味に広い。

 壊れた建物もたくさんあるし、

 見つけるのは苦労するっちゃする。


「うーん」


 一旦、その場に立ち止まり、周囲を見渡す。

 ……わからない。

 これは一つ一つの建物を見ていかないと。


 ……少し面倒くさい。

 と、思いつつも頑張る!

 

 呪い悪用ダメ絶対。

 バルクが呪い魔法持ちか確定していないけれど、

 もしそうなら牢屋にぶち込む一択。


 

 俺は数え切れない程ある建物を見て回った。

 そして、あと半分くらいかなってところで、


「お」


 寝ている男発見。

 すーぴーすーぴーしている。

 うん。こいつはバルクで間違いない。


 とても気持ちよさそう。

 俺も寝ようかな?


 な、なんてね。もちろん冗談だ。


「おーい起きなさい」


 起こしに来るおかんみたいになっているが、

 とにかく叩きまくった。


 べしべしと。


「むにゃ……」


 き、きもい。

 まだ、夢の中にいるようだ。

 本格的に起こさないと。


「君は呪い魔法持ちなのか?」


 夢の中の彼に聞こえるように言った。

 すると、


「は?」


 目だけがパチクリと開いた。

 そして、数回瞬きして、こちらを見た。


「え、は、あんた」


 焦り。それが彼から感じる。

 

「呪い魔法」


 もう一度尋ねた。

 今度は起きている。

 次に来る言葉を待っていると、


「しねぇ!」


 と言って、同時に起き上がり、

 魔法を放ってきた。

 言葉通り、殺意マシマシ高威力で。


「それは肯定と受け取っても?」


 なんのことですかと言わずに、

 殺そうとしてくるのは確信犯。


「いいからしねや!」


 彼が眠っていたベッドとその建物が、魔法により消え去った。

 そして、いつの間にか戦闘に入った。


「いいからさ、牢屋に入れよ」


「入るわけねーだろ」


 バルクの否定と共に、呪い魔法を放ってきた。

 動けなくなる、麻痺の呪い。


「やっぱり呪い魔法持ちだね」


 正直、彼の攻撃は俺に当たらない。

 バルクは未熟すぎるのだ。


 これなら、シビアでも勝ててしまいそうだ。


「拘束魔法」


 拘束しようと、奴に魔法をかけようとした。

 その瞬間、謎の呪い魔法を使用した。


「くっそ!ポータル!!!」


 ぽ、ポータル?

 そんなの存在したか?

 呪いはかなり勉強したつもりだけど……。


 その魔法が何なのか理解できないまま、バルクを拘束した。


「さぁ、牢屋に入ろ」


 そういえば、牢屋ってどこだっけ?

 あ、王都の騎士団に渡せばいいんだっけ。


 とか考えているその時。


「お前どうやって居場所がわかった?」


 突然の質問タイム。

 それに仕方なく答える。


 王都魔法学園にいるマリア博士に、占ってもらった。

 とか、まあそんな感じのことを。


 すると、奴は苦笑した。


 「あーそんなのいたなあ」


 多分、諦めたのだろう。

 そりゃそうだろう。

 俺の自慢の拘束魔法だもん。

 ここから逃げる方法はないよーん。


 ……おっと、いけないいけない。


「俺も確かめたいことがある」


「なんすか?」


「お前は何故こんなことしてる?

 何故、アイとライに危険な魔法を使わせたりした?」


 この問いに、バルクはため息をつき、全て話した。

 


 バルクは呪いを人にかけるのが好きだと。

 過去に偶然、呪いを使って、思ったらしい。

 気持ち良い、と。


 快楽を感じた。

 三代欲求すべてが無くなっても良いから、この快楽をずっと感じたいと。


 それほどまでに彼は狂っていた。

 聞いてる最中、共感できるとこは一つもなかった。


 さらに、他人を危険に陥るのも好きだと。

 アイとライはアニス信者のバカ。

 この2人を利用して、世界崩壊を使わせたら、どうなるのだろうか?

 アイ達は死ぬのか、それとも生き残って闘技場が無くなるのか。

 

 それが知りたかったらしい。

 本当に意味がわからない。


「はぁ、なんか聞いてないことまで聞かされたような……」

 

「まぁまぁ、これで最後っすからね」


 そういうものなのだろうか。

 牢屋にいっても面会とかできるだろう?

 俺はしないけど。


 よし、そろそろ牢屋にぶち込もう。

 あ、騎士団に任せるのか。


「おい、そろそろ……」


 と、バルクに話しかけた。

 その瞬間、奴は、不気味に微笑んだ。


「さん」


「……は?」


 なにか言い出した。


「に」


 ……に?

 これって、カウントダウン?

 なにかが起こる?

 なんだ?何が起こる?


 何か良くない気配を感じ、

 でもそれが何か分からず、

 とにかく頭をフル回転させた。


「いち」


 答えより先に、間も無く何かが起こってしまう。


「ま……」


 待ってと言おうとした。

 

「ゼロ」


 きえた。

 何が消えた?

 見たらわかる。


「なんで?」


 俺が拘束していた一人の人間が、

 姿を消したのだ。


 残ったのは、呆然と一人で立っている俺。


 広い廃村の中に孤独と突っ立ってる俺。


「あいつ、まさか」


 やっと、頭で回転させてた疑問が晴れた。

 戦闘中、バルクが使った呪い魔法。

 『ワープ』。

 名からして、どっかに逃げたんだろう。

 これは、彼の開発した呪い魔法なのか?


 頭を使うほど、難しいことかなのか?


 ……はぁ、俺ってこんな頭悪いんだ。

 


 空を見上げて、考える。

 まずは、バルクのこと。


 俺の想像よりあいつはクズだった。

 呪いを平気で人に使うし、

 死ぬのか生きるのか、とか意味わからん実験しているし。


 これは最悪、牢屋が無理なら殺さないと、


 「……」


 脳裏にアペプ一族のことが掠った。

 3人殺した時のこと。

 今思い出せば、あの時の俺って……人殺し。

 

 ……いけない。

 今はバルクのことについてだろう。

 

 まず、学園に戻り、マリアに頼む。

 バルク・カタラの居場所をもう一度占ってもらうんだ。


 居場所を確認した後、

 ワープという魔法の対策。

 

 俺ならできる。

 開発魔法は得意だろ。

 そのくらい数日あれば作れる。

 よし。


 戻ろう。

 

 王都魔法学園へ。


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