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記憶消された復讐者  作者: 納豆にはネギ
第3章 魔王の娘編
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第二十五話「謎多きバルク」


 俺は1人で学園長室に赴いた。

 

「それで、聞きたい事とはなんだ?」


 ジビス学園長に聞きたいこと。

 それはバルクについて。

 

「バルクという生徒はいますか?」


 単刀直入に聞いた。

 その問いに学園長はこう答えた。


「知らないな」


 と、彼女が知らないということは、

 バルクは、ここの生徒ではないということ。


 それなら闘技場でのあれはなんだったんだ?

 バルク、アイ、ライ。

 彼らが危険な魔法を使用した。

 

 あの日、去り際に聞こえたのは、

 アニスがどうたらこうたら。

 

 でもそのアニスは何も知らない様子。

 そうだ、アイとライに聞くのが手っ取り早い。

 よし。「バルクってだれ?」と尋ねよう。

 

 そう決め、ジビスに礼をし、学園長室から離れようとした。

 すると、去り際に声をかけてきた。


「まぁなんだ! 困ったら助けよう!」


「……え?」


「これは最後の切り札って奴さ! 本当の本当に困ったらもう一度訪ねてこい!」


「わ、わかりました」


 その男らしくかっこいい台詞を聞き、俺は今度こそ部屋を離れた。


---

 

 教室にきた。

 どんな生徒がいるか知らなかったけど、

 よくよく探したらアイとライを発見した。

 しかも、案外席も近かった。


 アイライは、いつも2人でいるな。

 バルクについて、洗いざらい吐き出させてやる!


「アイとライだよな?」


 2人は、同時に首をかしげた。


「……?」


「だれですか?」


 ははーん。

 説教されると思っているのかな?

 とぼけても無駄だ!


「アイ、ライ。怒らないからさ、聞きたいことがあるんだよ」


「え? ライ、この人知ってる?」


「は? アイも知らないの?」


 ん、おかしい。

 怒らないと言っても、とぼけるのか?


「前に闘技場で会ったでしょ?」


「闘技場なんて行ったっけ私たち」


「いってない、いってない」


 俺は少し面倒くさくなりつつも、

 先輩として、優しめに色々質問した。


 まずはバルクのこと。

 

「バルクって? だれ?」


「男の人? そんな友達いないよね」


 数分の会話で色々分かった。


 そもそも、アイとライは他に友達がおらず。

 普段はこの2人でしか絡まないと。


 ここで俺は気づいた。

 最初からこの子達は何も知らない。

 嘘なんてついておらず、


 俺のことも、闘技場でのことも、バルクと戦闘していたことさえも。

 なにも分かっていなかった。

 

 いや、記憶していなかった。

 

「……わかった。ごめんね」


「? はーい」


「はーい」


 なんだったんだろうね。と言いつつ、彼女たちは自分の席に座り直した。


 俺も自分の席に座り、頬杖をつき、目を閉じた。

 深く考えたかったから。


 ……はじめに、アイとライは覚えてなかった。

 闘技場には行ったことすらないらしい。

 それに、バルクの存在も知らず。

 世界崩壊を使ったらダメとも理解してた。


 彼女らは、とても勤勉なようで、そこの判別はついてた。

 

 もしかして、アニスではなくて……。


 やっぱり、バルクか。

 あいつが怪しすぎる。

 

 16歳ってのは、もちろん嘘。

 アニスがどうたらってのも嘘。

 そして、奴は……。


 ――呪い魔法持ち。


 アイとライに記憶消去の呪いをかけた。

 って考えるのが合理的ではある。


 実際、昔、俺もかけられたから似たものを感じた。

 当然これは推理でしかないが。

 

 よし、バルクは見つけなければ。

 あいつはかなり危険だ。

 何のために呪いをかけたのかしらんが。


 いいことではないのはわかる。


 でも、どうやってバルクを見つける?

 ……あ。


 あいつがいた。

 アペプ一族を見つけてくれたし。

 魔王の娘、リリーの場所も特定できる。

 そう。


 占い師マリア博士だ!


---


「で、なんだ! 少女の部屋にきて」


 確かに、チビの童顔で声も高いけども。


「少女て……いや占ってほしい奴がいてさ」


 マリアは、はぁとため息をついた。

 

「仕方ないな。というか敬語」


 あっ。一応マリアは年上だった。


「ほんとうですか!」


「ただし!」


 ん、嫌な予感が……。


「開発魔法おしえてちょ?」


 とても小さな身長のマリアが、俺の見上げ、究極の上目遣いをしてきた。

 ……うるうるした目で。


 かわいい!って思いたいけどね。

 性格がだーめ。

 

 ま、開発魔法はいくらでもあるので、

 俺からしたら容易い条件。


「いいですよ、何個?」


「うーん、3個!」


 ……ちょっと多いけどまあいい。

 アペプ一族とまではいかないけど、

 バルクも少しだけヤバそうだし。


 そして、適当なのを3つ教えた。

 天才なだけあって、習得も早かった。


「よっしゃ! 占うぞ!」


 マリアは深呼吸をして、目を閉じた。

 占う時のあの雰囲気……。


 「……」


 バルクという名と、ガタイの良い体格を共有しておいた。


 前回は、魔王の娘ってだけで場所がわかったし、

 今回はかなり詳細を知れそう。


 「わかったぞ!」


 すぐにマリアは目を開け、研究室を、その高い声で響かせた。

 ていうか、掃除したのにまた汚く……。

 まあいい。


 「で? どこにいる!?」


 「ふむふむ。ここだ!!」


 いつも通り、脳に直接映像が映し出されるように、奴の居場所が判明した。


 「ほうここか」


 よくやったマリア。

 ふっ。バルク覚えておけ、呪いを悪用したことの重大さをその身に刻んでやる。


 「な、きもちわる!!」


 いかんいかん。

 くひひと笑みを浮かべてしまったので、マリアにキモがられた。


 「まってろ! バルク!!」


 俺は大きな声を出し、研究室から飛び出した。


 そして、バルク・カタラの居場所へ。


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