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記憶消された復讐者  作者: 納豆にはネギ
第3章 魔王の娘編
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第二十四話「魔王の過去」


 我は今、とても幸せだ。

 娘のリリーにも会えた。

 その娘が、妻も連れてきてくれた。


 まだ一緒には住めないが、偶に会えるこの時がとても幸せなのだ。


 あれもこれもシオンのおかげだな。


 ……だが、やはりまだ苛立ちはある。

 あの時。呪いをかけられたあの時だ。

 呪い自体はどうでもよいが、


 それが理由で家族と暮らせぬのは癪だ。

 

---


 妻と結婚し、子を授かったと知った直後。

 魔王城に、ある男が現れた。


『あの〜、ここが魔王城っすか?』


 その時、我には妻がいたこともあり。

 何事にも警戒をしていた。

 同じ魔族が来たとしても。


 しかし、この男は人間。

 より一層用心した。


『なんだ貴様』


『俺の名前は――っす』


『――よ、なにをしにきた』


 名前は思い出せないが、容姿は今でも鮮明に記憶している。

 ガタイがよく、見るからに男という体つき。


『呪いをかけていいっすか?』


『……呪いだと?』


 名を名乗ったかと思いきや、次は意味不明なことを言い出した。


『はいっす!』


『なんでだ? 何故に呪いなのだ』


『いやー魔王のくせに人間殺さないなって』


『人間は嫌いではない。それに意味がない』


 途端に、男はケラケラ笑い出した。

 そして、我の未来視にありえないことが映る。

 

 

『……!? なぜだ』


『あれ? どしたっすか?なんか見えたっすか?』


 念のため、隣にいる妻を地下室へ逃した。

 


『貴様! どうやった!』


『呪いっすよ。魔王城にかけたんすよ』


『……魔王城に?』


『そっす。俺は貴方に勝てない。だからこの空間にいる者は魔力を練れなくしたっす。

 当然、俺以外がね。

 まーでも、建物に呪いは数分しかかけられない」


 そして、未来視に映ったことが次に起きた。


 ――により、呪いを受ける我だった。


---


「はぁ」


 奴は呪いをかけてどこかへ消えた。

 幸いにも妻には手を出さなかった。


 それだけでまだマシだが。

 最初、何の呪いかわからなかった。


 けど、突然にして襲いにきた大勢の人間。

 何もしてないのに、「許さない」と言われた。


 妻が攻撃されそうになり、仕方なく殺した人間もいる。

 

 その時のことが忘れられなく、我は妻とそのお腹にいる子を逃した。

 クレスタという平和な街へ。


 ……それにしても、そろそろ呪いをどうにかしたい。

 我は、なにがあっても当然家族を守る。

 父として。


 しかし、怖いものは怖い。

 守りきれないかもしれない。

 リリーも強いが、娘にそんなことさせたくない。


 呪いの解呪は、呪い魔法持ちしかできない。

 ……あの男を探して、解呪しろ。

 とかお願いをしても無理だろう。


 奴はかなり極悪な心を持っていた。

 腹黒、バケモノ、そういう感じであった。


 シオンが復讐したアペプ一族に近いのかもしれぬ。

 やはり、拷問しなければ……いやよそう。

 自分でヘマをして受けたのだ。


 頑張ろう。頑張って我が解決するのだ。


 そうして、解決法を出すため研究室に籠った。


---シオン視点---


 学食にやってきた。

 ここでは学年などが違くても、

 皆が会える場所でもあるのでよく利用する。


「それでさ、ママにも会わせたんだ!」


「へぇ、それはあいつも喜んだだろ」


 魔王に奥さんを会わしたらしい。

 彼の喜ぶ顔がすぐに浮かぶ。


「リリーさんの父上はどのような方なのでしょう?」


 ミリアはリリーに尋ねた。

 けど、魔王が父ということは内緒だ。


「まぁ、すごい人だよ」


「そうなのですか!? シオンさんよりも!?」


 おぉ、そこで俺を引き合いに出すのか。

 

「うん、もちろん」


「もー! シオンの方がすごいでしょ!」


 自分の父だからあまり分かってないんだろうが、

 魔王はかなりすごい奴だ。

 長く生きているし、偉業もたくさんある。


 ほとんどの魔族が神と崇めている。


「師匠! 食べ終わったら呪い魔法を教えてください」


「あぁ、いいよ。シビアはがんばってるね」


「えへへ」


 シビアは最近かなり頑張ってる。

 呪い魔法を正しく、上手く使うために、

 いろいろ修行の最中。

 

 もしかしたら、この学園の誰よりも強いかもしれない。

 いや、リリーの方が強いか。


「シオンくん! 僕にも魔法を教えてよ!」


「アイクにもね、教えるから」


「やった!」


 アイクは犬のように懐いてる。

 魔法を教えるのが散歩をすることみたいな。

 そんな例えは失礼か。一応彼は王子だし。


 そんなジョーク思考をかましていると、

 珍しい人がやってきた。


「あの……」


「……? アニスさん?」


 そう、アニスだ。

 俺はまだ手下アピールしている。

 ……聞きたいことがまだあるし。


 でもなんか、しょんげりしてる。

 以前までとの差がすごい。

 魔王城でビビらせすぎたか?


「どうしたんですか?」


「あ、いや、あの。リリーさん」


 ん?リリーに用があるのかな。

 

「なに? アニス、座っていいよ」


 あ、アニス?一応先輩だよ?

 リリーちゃんダメだよ?

 

「あ、はい。すんません。座らせてください」


 アニスはリリーに従い、席に座った。

 な、なぜか俺の隣に。



 どうしてここまでリリーに忠実なのか。

 それは会話をしてすぐにわかった。


 どうやら、俺の知らない間に、

 リリー対アニスが行われた。


 その結果、アニスがボコボコにされ、

 学園での立場が逆転したそう。


「そんなことがあったんだ」


「はい……」


 俺にも敬語なのは、リリーにそうしろと命じられたと。


 好都合。


「アニスさん、聞きたいことがあるんだけど」


「なんでしょうか」


「なぜ、後輩3人に世界崩壊を使わした」


「……え」


「なぜ、バルクとアイとライに危険なことをさせたか聞いてる」


 いけない事をした生徒に怒る鬼教師。

 それにしか見えないだろう。

 今のアニスと俺は。


「あの、世界崩壊って?」


「は?」


 はぁ。とぼけるのか。

 いるよな、こういう生徒。


「リリーやっちゃって」


「え? あ、うん!」


 リリーがアニスを睨みつける。

 これで、嘘はつけないはず。


「ひっ!! ほんとにしらないです!」


 ……あれ?ほんとうに?


「世界崩壊は?」


「使ったらダメな魔法ですよね」


 ちゃんと分かっている。

 まぁ授業で習うから当然だが。


「……バルクとアイとライ」


「アイとライは私の元手下です」


「バルク」


「ば、バルク? だれですか」


 少し怯えているが、その顔は嘘一つついていない正直な顔。

 いや、眼差しというべきだろうか。


「……わかった」


「ほっ」


 ほっとするな。

 ……てかバルクは知らないのか。

 アイとライは知ってる。


 うーん。よくわからん。


 でもあいつは16歳。

 同じクラスのはず。


「お前はクラスにいる人を全部知ってるか?」


「え、まあアタシがトップだったから」


 はぁ、こいつもしかしてクラス全員手駒にしてたな?

 まあいいけどさ。


「その上でバルクを知らないんだな?」


「はい。バルクはいません」


 ……バルク。

 怪しすぎる。見つけて問いただしてやりたい。

 けどどこにいるんだ?


 クラスにはいない。

 16歳が嘘だったのか?

 ……わからん。


 悩んだ末に辿り着いた結論。

 よし!学園長に聞くか。


 

 

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