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記憶消された復讐者  作者: 納豆にはネギ
第3章 魔王の娘編
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第二十三話「仲良し親子」


 翌日。

 リリーにもう一度魔王に会わした。

 

 魔王は、自分がリリーの父親だと。

 昨日はごめん、今までごめん。

 そう、彼女に謝罪していた。


 当の本人は、「え! そうなの!?」と驚きはしていたが、

 父が魔王と知り、喜んでいた。

 リリーがいうには、かっこいいからだそう。


 当然、彼女は父がいたことさえ知らなかったらしい。

 母に聞いても教えてくれなかったのだとか。

 

 何故教えなかったのだろうかと、思っていると。

 魔王が「それは我が話すなとお願いしたのだ」と。


 リリーは「そうなんだ!」と適当に納得し、「今度お母さんも連れてくね」

 なんて言っていた。

 魔王はそれを聞きとても喜んでいた。


 

 あっという間に2人は仲良くなっていき、家族というものに、俺は感激を受けた。

 

 今もまだ家族が生きていたら、俺もこんなふうに仲良くしてたのかな。

 ……それは良いとして。

 

 ふと、気になることがあったので聞いてみる。


「なぁ、魔王。俺も人間のはずなのに、なんで呪いの効果がないんだろう」


 魔王にかけられた呪い。

 それは理不尽に人間から憎悪される。

 そういったもの。


「うむ……それは我にも分からぬのだ」


「もしかして、シオンも魔族だったり!」


 リリーの言葉。

 それは自分でも考えたことがある。

 でも両親は人間だった。

 ……だったよな?やばい、記憶が曖昧だ。


「俺が魔族か分からないものなのか?」


「すまぬ、シオンは我よりも強い。

 自分以下の魔族しか鑑定はできぬのだ」


「そっか、まあいいや。これは好都合ってことで! 魔王には憎悪しないしね」

 

 俺の言ったことに、魔王は微笑んだ。

 いつもなら、豪快に笑うのに、

 娘の前だからちょっとカッコつけてるな。


「そういえば、私も魔族なんだよね?」


「うむ、そうだな」


「じゃあ! もっと強くなれる!?」


 ほんと、リリーは強くなるのがすきだ。

 理由はかっこいいからだろうが。


「ふむ……未来視はどのくらい扱える?」


「えっと、1日に2回使えて、2秒先が読めるよ!」


 魔王はそれを聞き、椅子から立ち上がった。

 そしてリリーと俺の肩に手を置いた。


「よし! 鍛えるぞ」


「き、鍛えるって……俺もなのか?」


「よーし! やるぞー!」


 魔王とリリーは気合いマックス。

 そんな中、振り回される俺。

 なんともまぁ、可哀想だ。



 俺たちは魔王城にある、

 訓練場?のような部屋に行き、

 魔王による、鍛錬が開始された。


---


 鍛錬は3時間が経過した。


 あの親子は、未来視の時間増幅訓練をしている。

 

 魔王は、最大3分先読めるようになったらしく、

 リリーは、2秒だったのが、30秒まで成長していた。


 俺はというと、その仲睦まじき雰囲気に入れる気がせず。

 少し遠くで自主練をしていた。


 いつも通り、魔法を撃ちまくり。

 いつも通り、魔剣ティシスを振りまくった。

 これが、俺のベストな練習法だ。


 ぜひ、リリー達も真似してほしい。


「おーい! シオン!」


 つまらんこと考えてたら、リリーに呼ばれてしまった。


「どうした?」


「シオンよ、我と勝負だ!」


 おぉ、魔王と勝負か。懐かしい。

 

「いいぜ! やろうか」


 勝負、それは殺し合いではない。

 単なる、傷を与えた方の勝ちというもの。


 俺と魔王は少し距離を置き、

 向かい合った。


 リリーは審判のような位置に立っている。

 そして、今。彼女により合図が出た。


「よーい……どん!!」


 その声と同時に魔王は、素早く動いた。

 俺の視界から魔王は姿を消す。

 

「……」


 ここで焦ってはいけない。

 何度か彼とは勝負したことがある。

 視界からいなくなる時はいつも決まって、

 ……上にいる。


 俺は、上を見上げた。

 

「魔剣リード!!」


 彼が叫んだその名。

 魔王によって作り出された魔剣。

 ティシスといい勝負のできる唯一の剣だ。


 そのまま剣を向けつつ、上空から降りてくる。

 このままではスパンと切られてしまう。

 ので、避ける。


「どうしたシオン! ティシスを使え!」


「様子見してたんだよ」


 ティシスを使えという要求がきたので。


「魔剣ティシス!」


 空間魔法からいつも通り取り出す。


「今日もよろしくな」


「……」


 うん。ティシスからの返事はなし!

 当たり前!


 そうこうしているうちに、

 魔王はリードの能力を使ってきた。


「リード・ライト!」


 剣に光を纏わせ、それを構えた。

 その姿は、剣士そのもの。

 こいつが人間なら騎士にでもなれそう。


「行くぞ、シオン」


「こい!」


 ティシスで防御の体制に入る。

 カキンという音と共に、リードの攻撃を防いだ。


「……! やはりティシスは凄まじいな」


「俺の相棒だからな、あたりまえ」


 俺は一度離れ、距離を置いた。

 次はティシスの攻撃だ!


「ティシス・シゴロス!」


「なっ!?」


「えっ! それって!」


 ティシスに纏ったのは、『シゴロス』

 親子揃ってそれに驚いているようだ。


 これは防御魔法のシゴロス防御。

 応用してなんたらかんたらして、

 その魔法を剣に装着させた!


 元々、シゴロスは、どんな攻撃も一度防げるチート。

 それを剣に乗せることにより、


 どんなものでも破壊するチートになった。


「いくぞ! 魔王!」


 その声と共に、魔王に攻撃……。


「ギブ! ギブアップ! とまれぃ!」


「えどうした?」


 魔王は、はぁとため息をついた。

 

「シオン、お前な。我の魔剣を破壊する気か」


「……あっ」


 確かに。あのまま魔王に攻撃したら、

 魔剣リードが破壊されるか、

 魔王が死ぬかの二択だった。


「ごめん。ミスミス」


「はぁ……まぁどのみち我は負けていた」


「え! そうなの、パパ」

 

 パパという単語に魔王は少し頬を赤らめた。

 そして、いかんいかんと気を取り戻す。


「あぁ、未来視でな。リリーの合図と共に、我は死んでいた」


「えー。先に言ってくれよ」


「じゃあ、次は私とパパの勝負!」


 ほう、親子対決か。

 これはおもしろそう。

 未来視と未来視!


「いかん」


 あれ?なんで??


「えー! なんで!?」


 リリーも同じ反応をした。


「娘と勝負など! 考えるだけでも恐ろしい」


 あー、ただの過保護だった。

 てか魔王が恐ろしいとかいうなよ。

 相場はあなたが恐ろしいんだよ。


「もー、じゃあシオン!」


「……!!!! ダメだ!!」


 こっちの方がダメらしい。

 別にリリーに傷を与えるつもりはないけどね。


「勝負は終了。そうするぞ!」


「はいはい」


「えー、はーい」


 案外、パパには逆らえないリリーであった。


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