第二十三話「仲良し親子」
翌日。
リリーにもう一度魔王に会わした。
魔王は、自分がリリーの父親だと。
昨日はごめん、今までごめん。
そう、彼女に謝罪していた。
当の本人は、「え! そうなの!?」と驚きはしていたが、
父が魔王と知り、喜んでいた。
リリーがいうには、かっこいいからだそう。
当然、彼女は父がいたことさえ知らなかったらしい。
母に聞いても教えてくれなかったのだとか。
何故教えなかったのだろうかと、思っていると。
魔王が「それは我が話すなとお願いしたのだ」と。
リリーは「そうなんだ!」と適当に納得し、「今度お母さんも連れてくね」
なんて言っていた。
魔王はそれを聞きとても喜んでいた。
あっという間に2人は仲良くなっていき、家族というものに、俺は感激を受けた。
今もまだ家族が生きていたら、俺もこんなふうに仲良くしてたのかな。
……それは良いとして。
ふと、気になることがあったので聞いてみる。
「なぁ、魔王。俺も人間のはずなのに、なんで呪いの効果がないんだろう」
魔王にかけられた呪い。
それは理不尽に人間から憎悪される。
そういったもの。
「うむ……それは我にも分からぬのだ」
「もしかして、シオンも魔族だったり!」
リリーの言葉。
それは自分でも考えたことがある。
でも両親は人間だった。
……だったよな?やばい、記憶が曖昧だ。
「俺が魔族か分からないものなのか?」
「すまぬ、シオンは我よりも強い。
自分以下の魔族しか鑑定はできぬのだ」
「そっか、まあいいや。これは好都合ってことで! 魔王には憎悪しないしね」
俺の言ったことに、魔王は微笑んだ。
いつもなら、豪快に笑うのに、
娘の前だからちょっとカッコつけてるな。
「そういえば、私も魔族なんだよね?」
「うむ、そうだな」
「じゃあ! もっと強くなれる!?」
ほんと、リリーは強くなるのがすきだ。
理由はかっこいいからだろうが。
「ふむ……未来視はどのくらい扱える?」
「えっと、1日に2回使えて、2秒先が読めるよ!」
魔王はそれを聞き、椅子から立ち上がった。
そしてリリーと俺の肩に手を置いた。
「よし! 鍛えるぞ」
「き、鍛えるって……俺もなのか?」
「よーし! やるぞー!」
魔王とリリーは気合いマックス。
そんな中、振り回される俺。
なんともまぁ、可哀想だ。
俺たちは魔王城にある、
訓練場?のような部屋に行き、
魔王による、鍛錬が開始された。
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鍛錬は3時間が経過した。
あの親子は、未来視の時間増幅訓練をしている。
魔王は、最大3分先読めるようになったらしく、
リリーは、2秒だったのが、30秒まで成長していた。
俺はというと、その仲睦まじき雰囲気に入れる気がせず。
少し遠くで自主練をしていた。
いつも通り、魔法を撃ちまくり。
いつも通り、魔剣ティシスを振りまくった。
これが、俺のベストな練習法だ。
ぜひ、リリー達も真似してほしい。
「おーい! シオン!」
つまらんこと考えてたら、リリーに呼ばれてしまった。
「どうした?」
「シオンよ、我と勝負だ!」
おぉ、魔王と勝負か。懐かしい。
「いいぜ! やろうか」
勝負、それは殺し合いではない。
単なる、傷を与えた方の勝ちというもの。
俺と魔王は少し距離を置き、
向かい合った。
リリーは審判のような位置に立っている。
そして、今。彼女により合図が出た。
「よーい……どん!!」
その声と同時に魔王は、素早く動いた。
俺の視界から魔王は姿を消す。
「……」
ここで焦ってはいけない。
何度か彼とは勝負したことがある。
視界からいなくなる時はいつも決まって、
……上にいる。
俺は、上を見上げた。
「魔剣リード!!」
彼が叫んだその名。
魔王によって作り出された魔剣。
ティシスといい勝負のできる唯一の剣だ。
そのまま剣を向けつつ、上空から降りてくる。
このままではスパンと切られてしまう。
ので、避ける。
「どうしたシオン! ティシスを使え!」
「様子見してたんだよ」
ティシスを使えという要求がきたので。
「魔剣ティシス!」
空間魔法からいつも通り取り出す。
「今日もよろしくな」
「……」
うん。ティシスからの返事はなし!
当たり前!
そうこうしているうちに、
魔王はリードの能力を使ってきた。
「リード・ライト!」
剣に光を纏わせ、それを構えた。
その姿は、剣士そのもの。
こいつが人間なら騎士にでもなれそう。
「行くぞ、シオン」
「こい!」
ティシスで防御の体制に入る。
カキンという音と共に、リードの攻撃を防いだ。
「……! やはりティシスは凄まじいな」
「俺の相棒だからな、あたりまえ」
俺は一度離れ、距離を置いた。
次はティシスの攻撃だ!
「ティシス・シゴロス!」
「なっ!?」
「えっ! それって!」
ティシスに纏ったのは、『シゴロス』
親子揃ってそれに驚いているようだ。
これは防御魔法のシゴロス防御。
応用してなんたらかんたらして、
その魔法を剣に装着させた!
元々、シゴロスは、どんな攻撃も一度防げるチート。
それを剣に乗せることにより、
どんなものでも破壊するチートになった。
「いくぞ! 魔王!」
その声と共に、魔王に攻撃……。
「ギブ! ギブアップ! とまれぃ!」
「えどうした?」
魔王は、はぁとため息をついた。
「シオン、お前な。我の魔剣を破壊する気か」
「……あっ」
確かに。あのまま魔王に攻撃したら、
魔剣リードが破壊されるか、
魔王が死ぬかの二択だった。
「ごめん。ミスミス」
「はぁ……まぁどのみち我は負けていた」
「え! そうなの、パパ」
パパという単語に魔王は少し頬を赤らめた。
そして、いかんいかんと気を取り戻す。
「あぁ、未来視でな。リリーの合図と共に、我は死んでいた」
「えー。先に言ってくれよ」
「じゃあ、次は私とパパの勝負!」
ほう、親子対決か。
これはおもしろそう。
未来視と未来視!
「いかん」
あれ?なんで??
「えー! なんで!?」
リリーも同じ反応をした。
「娘と勝負など! 考えるだけでも恐ろしい」
あー、ただの過保護だった。
てか魔王が恐ろしいとかいうなよ。
相場はあなたが恐ろしいんだよ。
「もー、じゃあシオン!」
「……!!!! ダメだ!!」
こっちの方がダメらしい。
別にリリーに傷を与えるつもりはないけどね。
「勝負は終了。そうするぞ!」
「はいはい」
「えー、はーい」
案外、パパには逆らえないリリーであった。




