間話「ミリアの恋」
私はあの日、恋をした。
お兄様と一緒に、馬車を乗っていたあの日だ。
盗賊と出会した私達双子は、何もできなかった。
盗賊を倒せるか倒せないかでいうと、もちろん倒せはする。
けれど私、ミリアは王女。
お兄様であるアイクは王子。
そんな立場もあって、人である盗賊に向かって魔法なんて放ってはいけない。
それでもお兄様は倒そうとした。
私はそれを止めようか悩んだ。その時。
窓からとても綺麗な光が見えた。
何かと思い、窓を少し覗く。
そこには男性が立っていた。
黒い髪の毛、黒い瞳。
彼は、10人ほどの盗賊を、
見たこともない魔法を使い、瞬時に拘束していた。
もうそこで私は恋に落ちていたのだ。
こんなに強い人は見たことがない。
こんなに綺麗な魔法は見たことがない。
こんなにも、頼れる人を見たことがない。
そんなことを考えていたら彼が、ノックしてきた。
私はとても慌てた。お兄様はすぐに出ようとしたが、それを止めた。
まずは第一印象が大事。
髪も今のうちに整えて。
笑顔も忘れずに。
何度も馬車内にある鏡を見て確認した。
よし!と思い、扉を開ける。
心の中で、驚愕した。
窓越しに見たよりもかっこいい。
色々、礼を済ませてお兄様も出てきた。
彼はすぐに戻ろうとしていて、
ここでさよならなんて嫌だったから、
引き止めてしまい、そこからはたくさん会話ができた。
はぁ。喋れば喋るほど好きになってしまう。
声も好き。髪も好き。瞳も好き。
シオン・グラジオラス。その名前も好き。
何もかもが大好きになっていた。
会話ごとに鼓動がバクバクと動いてしまう。
バレていないだろうか?
そんなことばかり考えてたりした。
ホンギル王国につき、
シオンさんの隣で歩けた。
魔法について質問もできた。
でも、リリーさんが厄介かも知れない。
女の勘だが、この人もシオンさんのことが好きだと思う。きっとそうだ。うん、敵だ。
私達のお城に着いた。
この時、父上に話そうと決意した!
婚約をさせてほしいと!
緊張しながらも、婚約したいとちゃんと言えた。
シオンさんは驚いていたけれど、私はそんなの気にしない女なのだ。
早くしないと!誰かに取られる前に。
……ダメだった。
やっぱりリリーさんに止められた。
父上は反対してなかったのに……。
まぁでも、シオンさんが『こ、婚約は……ちょっと今は……』と言っていたので、きっといつかしてくれるに違いない。
そう思い、一旦保留にしておいた。
はぁ……シオンさんに早く会いたい。
どこへ行ってしまったの……私の王子様!
「……い!……おい! ミリア!」
「はっ!!」
おっと。しまったしまった。
シオンさんのことを考えていたら、ボッーとしてしまっていた。
「なんですか? お兄様」
「もう……さっきから呼んでたのに。
ここ、ここ教えて!」
今は授業中だ。
そして、隣の席にいるお兄様が呼んでいた。
わからない箇所があったからだと思う。
「あー。ここはですね……こうこうこうで……」
「……! なるほど! ありがとうミリア!」
「いえいえ!」
私たちは双子。
顔も似ているし、
魔法の実力も同じくらい。
でも、魔法の得意不得意が真逆なのだ。
だからいつも教え合っている。
「ていうか、ミリアさっき
シオンくんのこと考えてたでしょ」
「え!? なんでわかったんですか!?」
やばい。
それほど顔に出ていただろうか。
……いや、双子だから考えていることが分かるとかそんなことだよね。
「うん。顔が溶けてたよ。ほんとシオンくんのこと大好きだね!」
……普通に顔に出てました。
溶けるってなに?
ふにゃー。って感じ?
……恥ずかしい。
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授業も終わり、お兄様はマリア博士の研究室に、
私は気分転換に校内で散歩をする。
広くて綺麗なので楽しい。
すると、男子生徒が騒いでるのを発見。
「なぁ! さっきの美人だれ!?」
「え、わからねえ。ウチの生徒じゃなくねえか?!」
「どんな人だった? 教えろよ!」
男の子は楽しそうで良いね。
私も混ざってシオンさんがかっこいい事を自慢しようかな?
その時、1人の生徒が話題の美人の特徴を言う。
「えっと、青い髪のツインテール!」
……ん??それって……
リリーさんじゃない?
美人で青い髪でツインテール。
私は男子生徒が見たという場所へ向かった。
リリーさんに会いたいというわけではない。
もちろんシオンさんに会うためだ。
会いたい会いたいと。
私は、胸の鼓動が高鳴った気がしていた。
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場所とは、学園の入り口付近。
そこに今、私は到着した!
そしてとてもかっこいい人がいた!
周りに2人ほどいるがそんなのどうでもいい。
……ん?知らない女の子もいますね。
まあいいや。
「シオンさーん!!!!!」
私はシオンさんに手を振りながら走って行った。
「……? あっ、ミリア! 久しぶりだな!」
「はい! 待ってましたよ!!」
はぁ。幸せすぎる。
この人はなぜこんなにも素敵なんだろう。
声を聞くだけで顔が熱くなる。
「ちょちょ、ミリア! ストップ!」
ちっ。リリーさんめ。
この人はいつも邪魔ばっかりしてくる。
やっぱり敵だ敵だ!恋敵だ!!
「なんですか! 私たちは会話中です!!!」
「いや、シオン疲れてるから! 今日は寝かせてあげて!」
「……え?」
え、え?そうだったの?
シオンさん疲れてるの……?
ってことは私とんでもないことを!
「す、すみません! シオンさんが疲れてるとは知らず!」
「いやいや、大丈夫だよミリア。でも今日はゆっくりするね。また明日喋ろう」
「はい!! おやすみなさい!」
そして3人と謎の女の子は学園内にある、
誰でも使用可能な休憩部屋まで行った。
はぁ。私はさっきからなんてことを。
少し自制しなければいけない。
好き勝手していたら迷惑をかける。
よし!明日からは良い子でいよう。
良い子ミリアちゃんでいよう。
それでシオンさんにアタックしよう!
そう決めて、私は学園の女子寮へ帰宅した。




