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記憶消された復讐者  作者: 納豆にはネギ
第2章 復讐編
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第十七話「復讐完了」

 

 顔面血だらけで顔は見えずらい。

 髪色は少し血がついた、ピンク。

 おそらく年齢は年下だと思う。


 その女が今目覚めた。

 

 そしてこの状況に困惑している。

 彼女が敵であれば、襲ってくるだろうが、その気配は全くない。


「おい! シビア、命令だ! こいつになんでもいいから呪いをかけろ!! いますぐだ!」


「ぐ、ぐぁあぁ!!!」


 ガゼルが、シビアという名の彼女に命令をした。

 その瞬間、とても苦しみ出した。


 これは……奴隷魔法か?

 そうか、そうだったんだな。

 

 初めてあの子を見た時、

 怯えていたような気がしたんだ。

 それは、奴隷魔法によって操られていたから。


「ぐあーー!!!」


 彼女は理性を失い、なにかの呪いを、俺に向かってかけようとしてきた。

 

「拘束魔法!!」


「……ぐっ!!」


 優しめの拘束魔法をかけておいた。

 すぐに楽にしてあげないと。


「ガゼル……お前はこの子の人生を奪ったのか?」


「……」


「おい! 黙ってないで何か言え!」


 俺の予想だと、この女の子の家族も殺されていて、

 仕方なく奴隷にさせられた。

 そんな理不尽なことがありえそう。


 そんなことを考えていたら、

 ガゼルが不気味な笑みを、浮かべた。


「くひひ! あぁそうだよ! シビアの家族は俺たちが殺した! その後に無理やり俺らの仲間に入れたんだよ。呪い魔法持ちだからな! 奴隷にもしたぜ!!!」


 テンションが急におかしくなった。

 全て諦めたのだろうか。

 まぁそれはいいとして、

 

 1つ、訂正したいことがあった。


「ガゼル、呪い魔法は確かに、忌み嫌われることが多い。けれど、呪い魔法は最強なんだぜ?」


「は? なにいってんだおめぇ」


「はぁ……まぁわからないか。――じゃあ死ね」


 その言葉と同時に、ガゼルの首は、魔剣ティシスによって跳ねられた。

 

---

 

 シビア以外全員殺した。

 本当に弱い奴らだ。

 

 復讐は終わった。

 そして思った。俺は本当にクズだ。

 家族は復讐してくれなんて頼んでないし、

 頼むはずもない。


 けど、俺が殺してやりたかった。

 家族を殺した奴らを許せなかった。

 

 初めて人を殺したが、なにも思わなかった。

 もちろん、相手がクズだからというのもある。

 でも、俺は……。


 はぁ、まあいいのかな。

 ……母さん。父さん。弟よ。

 今度、墓参りに行くからね。


 そんなことを思いながら、

 俺は魔剣ティシスを収納した。

 

 3人の死体は、あまりにもグロテスクなので、

 炎魔法で炭にしといた。


 そして、今もなお、拘束魔法で縛っているシビア。

 自我は取り戻している様子だ。


「よっ。全て殺したよ」


 その言葉に、シビアは目を輝かせ、

 涙を流した。

 ポロポロと落としながら、何度も「ありがとう」と呟いていた。


「君はもう自由だ。奴隷魔法も解除されているしね」


「え?……ほんとですか?」


 そう。奴隷魔法は施した本人が死亡したら、自動的に解除されるシステムだ。

 ガゼルが奴隷魔法をかけた本人ということ。


「でも……ボクは呪い魔法持ち。……なのでみんなに嫌われるし、不幸にしかならない……」


 おぉ、これは相当ネガティブ思考にさせられているな。

 よし、呪い魔法の良い点を教えてあげよう。


「えっと、シビアだっけ? 呪い魔法は、確かに忌み嫌われる。

 けど、それは人にかける場合だよ」


「人にかける場合?」


 俺は、彼女の拘束魔法を解き、

 謎のソファに共に座り、話をした。


「みんなは、呪い魔法を人間にかけるものだとばかり思っている。そして恐怖してる。

 けどね? それは間違いなんだ。

 呪いは、魔物や、敵にかけるのが正しい」


「……」


「確かに、呪いを、人間にかけて悪いことをする奴は少なくない。

 けどそれは普通の魔法も同じことだよ。

 魔法で人間をいじめる人もいるでしょ?

 ……だからね、呪いとか関係なく。

 正しい使い方をしたら嫌われないよ。」


「……ほんと、ですか?……ボク……」


 なんか、説明が難しいけど、

 言いたいことは、

 

 呪い魔法と魔法は、ほぼ同じ!

 ともに正しく使いましょう!

 そしたら、嫌われることはないよ!


 って感じかな?

 本人に伝わっただろうか。

 

「ま、これからは魔物に呪いをかけちゃお!

 呪い魔法は最強だからね!」


「……! はい! 本当に、ボクを助けてくれてありがとうございました! あなたはボクのヒーローです!」


 ……ヒーローか。

 シビアという救えた人がいるなら、俺は良いことができたのだろうか。

 あ、そういえばリリー達を待たせている。

 シビアを連れて戻ろう。


 あと、この子はいい子だ。

 牢屋にぶち込む予定だったが、それは無し!



 そして気づいた。俺は、復讐が終わり、

 肩の荷が降りて気が楽になっていることに。


---


 リリー達と、合流した。

 いろいろ聞かれたが、

 とりあえず馬車に乗ろう。


 そして、来た時も馬車だったのだ。

 もちろん高級馬車さ!

 俺はお金持ちだから!!


 4人で馬車に乗り、色々と聞かれた。

 

 大丈夫だったのか?

 怪我は無かったのか?

 ちゃんと殺せたのか?

 すっきりできたのか?

 てか、その女の子だれ?


 などなど、質問に全て答えた。

 すると2人は「よかったね」と頭を撫でてくれた。

 俺は自然と涙が溢れていた。

 

 なんだろう。とても、疲れた。

 復讐がやっと終わったんだ。

 

 これはフラグではない。

 そう思いたい。

 これからは平和に楽しく暮らしていきたい。


 と考えていたら、隣にいるシビアに話しかけられた。


「え、えっとシオンさん」


「ん? どうしたシビア」


「ボクはこれからどうすれば……いいでしょう」


 あー。

 確かに考えていなかった。

 まあでも、シビアの好きに生きてほしい。


「自由だよ! シビアのしたいことをすればいいと思う!」


 そういうと、リリーとギルゾックも頷いた。


「じゃあ、ボクね!」


「うん、なになに?」


 シビアはごくりと唾を飲み込んだ。

 深呼吸もしていた。

 何を言うんだろう。


「シオンさん達についていきたい!」


「俺たちに? えっと……どんな意味?」


「ボク、呪い魔法を上手く使えるようになりたい。だから! シオンさんに教えてもらいたいんだ。……ダメかな?」


 ぐっ!

 上目遣いはやめろ!

 14歳と聞いているが、この歳でこの可愛さは反則だ。


「いいよ。好きにしてくれ!」


「ほんと!? やったぁ!!!!」


 別に可愛いからお願いを聞いたわけではない。

 本当に好きにしてほしいんだ。

 今まで不自由だった分。


 シビアは、バンザーイとし、

 とても喜び笑っていた。

 

 時折、俺に抱きついてきたが、

 リリーが離してきた。

 別に俺はいいんだけどな。

 いや、これはロリコンではないからね?


 そんな騒がしい馬車の中。

 俺たちはあっという間に魔法学園についた。

 いや、帰還した。

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