第十七話「復讐完了」
顔面血だらけで顔は見えずらい。
髪色は少し血がついた、ピンク。
おそらく年齢は年下だと思う。
その女が今目覚めた。
そしてこの状況に困惑している。
彼女が敵であれば、襲ってくるだろうが、その気配は全くない。
「おい! シビア、命令だ! こいつになんでもいいから呪いをかけろ!! いますぐだ!」
「ぐ、ぐぁあぁ!!!」
ガゼルが、シビアという名の彼女に命令をした。
その瞬間、とても苦しみ出した。
これは……奴隷魔法か?
そうか、そうだったんだな。
初めてあの子を見た時、
怯えていたような気がしたんだ。
それは、奴隷魔法によって操られていたから。
「ぐあーー!!!」
彼女は理性を失い、なにかの呪いを、俺に向かってかけようとしてきた。
「拘束魔法!!」
「……ぐっ!!」
優しめの拘束魔法をかけておいた。
すぐに楽にしてあげないと。
「ガゼル……お前はこの子の人生を奪ったのか?」
「……」
「おい! 黙ってないで何か言え!」
俺の予想だと、この女の子の家族も殺されていて、
仕方なく奴隷にさせられた。
そんな理不尽なことがありえそう。
そんなことを考えていたら、
ガゼルが不気味な笑みを、浮かべた。
「くひひ! あぁそうだよ! シビアの家族は俺たちが殺した! その後に無理やり俺らの仲間に入れたんだよ。呪い魔法持ちだからな! 奴隷にもしたぜ!!!」
テンションが急におかしくなった。
全て諦めたのだろうか。
まぁそれはいいとして、
1つ、訂正したいことがあった。
「ガゼル、呪い魔法は確かに、忌み嫌われることが多い。けれど、呪い魔法は最強なんだぜ?」
「は? なにいってんだおめぇ」
「はぁ……まぁわからないか。――じゃあ死ね」
その言葉と同時に、ガゼルの首は、魔剣ティシスによって跳ねられた。
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シビア以外全員殺した。
本当に弱い奴らだ。
復讐は終わった。
そして思った。俺は本当にクズだ。
家族は復讐してくれなんて頼んでないし、
頼むはずもない。
けど、俺が殺してやりたかった。
家族を殺した奴らを許せなかった。
初めて人を殺したが、なにも思わなかった。
もちろん、相手がクズだからというのもある。
でも、俺は……。
はぁ、まあいいのかな。
……母さん。父さん。弟よ。
今度、墓参りに行くからね。
そんなことを思いながら、
俺は魔剣ティシスを収納した。
3人の死体は、あまりにもグロテスクなので、
炎魔法で炭にしといた。
そして、今もなお、拘束魔法で縛っているシビア。
自我は取り戻している様子だ。
「よっ。全て殺したよ」
その言葉に、シビアは目を輝かせ、
涙を流した。
ポロポロと落としながら、何度も「ありがとう」と呟いていた。
「君はもう自由だ。奴隷魔法も解除されているしね」
「え?……ほんとですか?」
そう。奴隷魔法は施した本人が死亡したら、自動的に解除されるシステムだ。
ガゼルが奴隷魔法をかけた本人ということ。
「でも……ボクは呪い魔法持ち。……なのでみんなに嫌われるし、不幸にしかならない……」
おぉ、これは相当ネガティブ思考にさせられているな。
よし、呪い魔法の良い点を教えてあげよう。
「えっと、シビアだっけ? 呪い魔法は、確かに忌み嫌われる。
けど、それは人にかける場合だよ」
「人にかける場合?」
俺は、彼女の拘束魔法を解き、
謎のソファに共に座り、話をした。
「みんなは、呪い魔法を人間にかけるものだとばかり思っている。そして恐怖してる。
けどね? それは間違いなんだ。
呪いは、魔物や、敵にかけるのが正しい」
「……」
「確かに、呪いを、人間にかけて悪いことをする奴は少なくない。
けどそれは普通の魔法も同じことだよ。
魔法で人間をいじめる人もいるでしょ?
……だからね、呪いとか関係なく。
正しい使い方をしたら嫌われないよ。」
「……ほんと、ですか?……ボク……」
なんか、説明が難しいけど、
言いたいことは、
呪い魔法と魔法は、ほぼ同じ!
ともに正しく使いましょう!
そしたら、嫌われることはないよ!
って感じかな?
本人に伝わっただろうか。
「ま、これからは魔物に呪いをかけちゃお!
呪い魔法は最強だからね!」
「……! はい! 本当に、ボクを助けてくれてありがとうございました! あなたはボクのヒーローです!」
……ヒーローか。
シビアという救えた人がいるなら、俺は良いことができたのだろうか。
あ、そういえばリリー達を待たせている。
シビアを連れて戻ろう。
あと、この子はいい子だ。
牢屋にぶち込む予定だったが、それは無し!
そして気づいた。俺は、復讐が終わり、
肩の荷が降りて気が楽になっていることに。
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リリー達と、合流した。
いろいろ聞かれたが、
とりあえず馬車に乗ろう。
そして、来た時も馬車だったのだ。
もちろん高級馬車さ!
俺はお金持ちだから!!
4人で馬車に乗り、色々と聞かれた。
大丈夫だったのか?
怪我は無かったのか?
ちゃんと殺せたのか?
すっきりできたのか?
てか、その女の子だれ?
などなど、質問に全て答えた。
すると2人は「よかったね」と頭を撫でてくれた。
俺は自然と涙が溢れていた。
なんだろう。とても、疲れた。
復讐がやっと終わったんだ。
これはフラグではない。
そう思いたい。
これからは平和に楽しく暮らしていきたい。
と考えていたら、隣にいるシビアに話しかけられた。
「え、えっとシオンさん」
「ん? どうしたシビア」
「ボクはこれからどうすれば……いいでしょう」
あー。
確かに考えていなかった。
まあでも、シビアの好きに生きてほしい。
「自由だよ! シビアのしたいことをすればいいと思う!」
そういうと、リリーとギルゾックも頷いた。
「じゃあ、ボクね!」
「うん、なになに?」
シビアはごくりと唾を飲み込んだ。
深呼吸もしていた。
何を言うんだろう。
「シオンさん達についていきたい!」
「俺たちに? えっと……どんな意味?」
「ボク、呪い魔法を上手く使えるようになりたい。だから! シオンさんに教えてもらいたいんだ。……ダメかな?」
ぐっ!
上目遣いはやめろ!
14歳と聞いているが、この歳でこの可愛さは反則だ。
「いいよ。好きにしてくれ!」
「ほんと!? やったぁ!!!!」
別に可愛いからお願いを聞いたわけではない。
本当に好きにしてほしいんだ。
今まで不自由だった分。
シビアは、バンザーイとし、
とても喜び笑っていた。
時折、俺に抱きついてきたが、
リリーが離してきた。
別に俺はいいんだけどな。
いや、これはロリコンではないからね?
そんな騒がしい馬車の中。
俺たちはあっという間に魔法学園についた。
いや、帰還した。




