第十五話「ボクっ子少女」
どうして……ボクは、こんな所にいるんだろう。
どうして……ボクは、家族を殺されたんだろう。
どうして……ボクは、逃げられないんだろう。
いや、そんなことを考えても無駄か。
ボクはあの日、ある人達に全てを奪われた。
そして、アペプ一族という集団へ勝手に参加させられた。
その理由はボクが、呪い魔法持ちだからだ。
たぶん、呪い魔法を持ってるせいで、
家族を殺されたのも全部自分のせいなのかな。
ボクは……過去に1人だけ呪いをかけてしまった。
2年前くらいになるんだろうか。
あんまり覚えていない……。
でも、あの人はとても強かった。
もしかしたら、助けてくれたのかもしれない。
ふふ。
そんな願望を持ってても仕方ないか。
「オラァ! シビア、さっさと酒入れろや!」
「は、はい!!! すみません……」
始まった……。
「はは! ガゼル、あんまり虐めたらダメだよ!
死んじゃったらどうすんの!」
「フン、いっそ死んでもいいんじゃないか?
最近役に立ってるところを見ていないぞ」
彼らは、ボクの背中を蹴りながら喋っている。
これが毎度のこと。
そして、彼らこそアペプ一族の男3人。
ガゼル、ビズリス、ロバルタ。
ボクの名前はシビア。シビア・ソーティア。
このグループ唯一の女。
女だからと言って性的なことをされた事はない。
彼らがいうには、ボクは呪い魔法持ちだから、汚いだとか。
『こっちのセリフだ』と言いたいのも我慢しなければいけない。
奴隷魔法を……かけられているから。
従わなければいけない。
攻撃も許されない。
ほんと、このまま死んでいくんだろうな。
ボク……。
そんなことを考えつつ、汚れた部屋の端にチョコンと座った。
3人は真ん中でソファを置いて、そこに座っている。
「それにしてもよぉ! この村最高じゃね!?」
「たしかにね! ロット村って案外汚くないし!」
「フン。それに広いしな」
嫌でも話が聞こえてくる。
静かになった事は一度もない。
「それでよぉ。次はどこにする?」
……これが1番聞きたくない。
「どこにする」それは、
次にどこの家庭を壊すか。そういう意味だ。
「そうだね! この前見かけた家族が幸せそうだったよ!」
「ホウ。それは壊したいな」
「……」
壊したくないです。
なんて言える訳もなく。
「な? シビアも壊したいよな? な?」
「……は、はい」
勝手に口が動き、賛成してしまう。
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1時間が経過した。
彼らは、作戦会議をして、それが終了した。
家庭を壊すことに、作戦会議なんてしないでほしい。本当に気味が悪い。
「てかよぉ! あんときやばくなかったか!?」
「かは! またその話ー! まぁやばかったけど!」
「フン。私も死ぬかと思ったぞ」
「……!」
この会話はいつも聞き入ってしまう内容だ。
ボクは、こっそり聞き耳を立てる。
「あいつ、名前なんだっけか! 忘れたけどよぉ! あれはもう怪物だよな!」
「そうだね! 魔物よりも魔物だったよ!」
「フン。魔王よりも強いだろうな。戦った事はないが」
その人物は、黒髪黒目の男。
記憶消去の呪いをかけてしまった人でもある。
ボクと同じで、こいつらに家族を殺されたらしい。
……今頃きっと、ボクのせいで全て忘れている。
でも、本当に強かった。
アペプ一族の3人はとても強いはずなのに、
手も足も出ていなかった。
もし、あそこでボクが呪いをかけなかったら、どうなっていたのだろうか。
奴隷でなければ、必ず呪いをかけていなかったのに……。
ふっ、それは言い訳か……。
そんな後悔をしていると、ガゼルがこっちにきた。
「あんときはお前の呪いが助かったぜぇ!
あ・り・が・と!呪い持ち!」
煽られている。
呪い持ちという最悪のボクを際立たせてきている。
その赤い髪を燃やしてやりたい。
すると、次はビズリスがやってきた。
すごくニコニコしながらゆっくりと歩いて。
「シビアは〜! 死ぬまで俺たちの奴隷だよ! 呪いを色んな人にかけてね!」
嫌だ。
こんな呪いを人にかけていいわけがない。
これでもボクは、1人にしかした事ないんだ。
……これ以上増やさせないでくれ。
それにしてもこの紫髪……きもちわるい。
「フン。シビア。お前はさっさと死んだらいい」
黙れロバルタ。遠くから喋りかけてくるな。
死ねっていうけど、
ボクは14歳で、お前は50歳だろ。
先に死ぬのはお前だよじじい。
……ふぅ。
心の中では言いたい放題できるのが救いだ。
「どうせよぉ!
しょうもないこと考えてんだろシビア!!!!」
「ゴン!!」
あ……痛い。
視界が……赤い。
なに……?殴られた?いや、蹴られた。
顔面を蹴られた。……やばい意識が……。
「もー! 蹴るのは俺にやらせてよ!」
「フン。私もやりたかったな」
う……るさい。
1番やりたいのはボ……クだ。
もう……やだ。誰か……助け……。
「バタンっ」




