第十三話「マリア博士」
なんかすごいことになっていたが、
リリーが必死に止めてくれた。
リリーは俺が復讐をしなければいけないのを知っていて止めてくれたんだと思う。
ミリアは納得行かない顔をしていたけど、「一応は婚約を保留にしときますね!」と言っていた。
ギルゾックやアイクは困った顔をしていた。
そして、謁見も終わり、
俺たちはアイクの部屋に訪れた。
「え、えっと。魔法学園にいくんだよね?」
そう俺がアイクに確認をした。
「うん! でも、普通に向かうと遠いからね」
「ある方法を使うんですよ! シオンさん!」
おぉ、ミリアが一段と増してグイグイ来てる気がする。
まぁそれはいいとして、ある方法とはなんだろう。
リリー達も分かっていない顔をしている。
「方法ってのはなんなんだ?」
「うんうん」
「こっちです! みなさん、私についてきてください!」
そう言ったミリアにみんなついていく。
すると隠し扉を見つけた。
扉に、アイクの手をかざし、何かを唱えている。
『教会への魔法陣』
隠し扉が開き、地下への階段があった。
みんなで階段を降りていき、
広い床へと到着。
そこには魔法陣が描かれていた。
とても大きな魔法陣。
「これ、魔法陣?」
「うん! そうだね」
「これは、教会への魔法陣なんですよ!」
「……教会? 学園ではなくて?」
聞くと、魔法学園へ飛べる魔法陣は描けなかったらしい。
なので、1番学園に近い教会への魔法陣だそう。
「では! さっそく行こうか!」
アイクの声に、みんなで魔法陣に乗る。
ピカピカと段々光ってゆく。
光も眩しくなり、
俺は目を閉じた。
視界が眩しく無くなっているのを、
閉じながらも感じ取り、目を開けた。
そこは、見るからに教会だった。
「ついたね。よし、教会から出よう!」
俺たちは、すぐさまここから離れ、
外に出た。
---
学園に着くまで5分くらい。
まぁ早歩きしたのでもっと早く着いた!
「ここが、王都魔法学園です!」
とても大きな学園だ。
国王のお城もデカかったけど、それと同じくらい。
「みんな、ついてきてね! マリア博士の所まで案内するから!」
そうして、アイクが先頭。
相変わらず、ミリアは俺の隣。
……に来ようとしたが、リリーが引き離していた。
マリア博士の所まで歩きながら、この学園について教えてもらった。
正式名称は『王都魔法学園』
初等部、中等部、高等部があり、何歳からでも入学できるという。
そして、自分の魔法の実力が評価されれば、何歳からでも卒業は可能だと。
でも自分が満足していない実力の場合、卒業のタイミングは自分で決められる。
まーなんというか、いいね。
ちっちゃい子も魔法を学べるのはいいことだ。
そしてある程度は魔法が使えるようになる。
いーねいーね。
そう考えてたら、
アイクが「ついたよ」といい、立ち止まった。
「ここ?」
「うん! ここだよー」
ここと、言われても。
研究室と聞いていたのだけど、
扉からして不気味な雰囲気を漂ってる。
俺は、アイクを信じ、扉を開けた。
「キィーン」
うん。本当に研究室か?
想像してた通りのお化け屋敷なんだが、
マリア博士は幽霊なのかな?
「……薄暗いね」
「そうだな、本当に博士という人はいるのか?」
リリー達も驚いている様子だ。
すると急に、パッと明かりがついた。
明るくなりはしたけど、
部屋中にある大量のゴミが丸わかりになった。
「なんだお前達!」
どこからか、男の声がした。
でも、どこかで聞き覚えのある声。
リリーは「え!?」と、その人物を必死に探している。
ギルゾックも「ん?」と言っている。
2人はその人物の声がわかるのかな。
俺はまだ、ピンときていない。
アイクとミリアは、ため息をついて、
やれやれ、としている。
俺だけがわかっていないのか?
この状況はなんなんだ?
そして、男の正体が判明した。
俺たちの目の前に現れた。
それは、
――俺だった。
顔も同じ、背も同じ、髪と瞳も同じ黒色。声も同じだ。
俺は悟った。
これ、ドッペルゲンガーだ。
出会ってしまったのだ。明日には生きていないだろう。遺言を書いておこう。
いやいや、復讐をするまでは死ねないぞ。
「お前はだれだ?」
俺はドッペルゲンガーに聞いた。
「ふっふっふ」
「なんだよ……」
不気味な笑みを浮かべたドッペルゲンガー。
「がっはは!!! 騙されたな!!!」
「は、はい???」
突然、ドッペルゲンガーの声が変わった。
高らかな笑い声。
子供のような高い声。
「俺の名は……いや、ウチの名は!」
見る見るうちに、その姿は変わっていく。
身長はちっちゃく。
髪色も、左右でピンクと紫の変な色。
顔も女の子のような幼い顔。
「……そう、ウチこそが。マリアだ! がはは!」
「は、はぁ……」
なんともいえない反応をしてしまった。
マリアは、最高の登場シーンと、
思ってるようで高らかに笑っている。
アイク兄妹は、未だに困った顔を、
リリー達は、俺と全く同じ反応をしていた。
いや、リリーはなんだか残念そうな顔をしている。
「あの、あなたがマリア博士ですか?」
「そうだ! ウチがマリア。天才だ!」
なんか、いや、うん、うざいな。
あまり人に対してこういう感情は抱かないけど、マリアはうざい。
「先程のは一体なんですか?」
リリーがマリア博士に問いかけた。
俺の姿だったことだろう。
あれは俺も気になるところではある。
「あれか? あれはな……驚かせようと思って変身魔法でシオンに化けたんだ!」
変身魔法……聞いたことがないな。
開発魔法だろうか。
俺以外に開発できる人がいたとは。
「え!? 変身魔法ですか?!」
アイクが、マリアに近づき肩を掴んだ。
いつのまにか目が輝いている。
本当に魔法オタクなんだな。
「そうだ! 開発したんだぞ! すごいだろ!」
「なんと、シオンくん以外にも開発できる人が身近にいたとは!」
「……なんだと?」
さっきまでの鬱陶しさが急に無くなり、マリアは形相を変え、こちらに顔を向けた。
「……シオン、お前。開発できるのか? 魔法を」
「え、えぇ。数十個ほどはしてますけど」
「す、数十個ほど!? な、なんと……ウチ以外に天才がいるとは……」
マリアは悲しい表情になった。
今にも泣きそうな。そんな顔だ。
ていうかなんで俺の名前を知ってるんだろう。まだ名乗ってないのに。
「よし! シオン、ウチに教えろ! お前の開発魔法を!」
「え? まぁいいですけど」
リリー達に、初めて教えるつもりだったが、
まさか先に、マリアへ教えることになるとは。
でも無料では教えられないよね!
「でも、その代わり、占ってください」
「うん? なにをだ?」
「人をです。探してる奴がいるので」
「ほう、よし! わかったぞ! 交換条件ってやつだ!」
俺たちは交渉成立を喜び、
握手を交わした。
---
俺は、4つの開発魔法をマリアに教えた。
簡単なのがほとんどだ。
そしてなぜ4つなのか。
それは占って欲しいのが、その人数だから。
マリアは、すぐに全て使えるようになっていた。
先程、自分で自分を天才など言っていたが、
これはさすがにすごいとおもった。
俺が教えた魔法。
それは
・青ファイアーボール
・空間魔法
・超加速移動魔法
そして4つ目。
・重力魔法
これは難しいので、一応教えてみた感じだが、
なんと使えてしまっていた。
その取得難易度に比例して、とても強い魔法だ。
マリアはとても喜んでいた。
なんか可愛く見えてきた。ガキっぽくて。
「よし! 占うぞ!」
早速占ってくれるらしい。
すると、マリアは目を閉じた。
俺の予想では玉みたいなので、
占うのかと思ったけど、違ったみたい。
「な、なにこれ!」
「なんだ!?」
マリアの体の周りに紫色の煙が、ぐるぐる回っている。
リリー達はそれに目を離せない。
それがなんの煙か。
なんとなくわかった。
――これは魔力だ。
魔力は目に見えないことがほとんど。
けれど、魔力消費量が多い魔法には、
稀に目視可能な魔力が現れる。
きっとそれが煙の正体。
「よし! わかったぞ!」
占う前に、マリアには
アペプ一族4人の名前や特徴を伝えた。
それが今どこにいるか、わかったらしい。
「どこだ!? どこにいる!」
俺は冷静を保てていない。
手が震える。やっと奴らを見つけたから。
「ここだ!!」
マリアは、
奴らのいる場所を、
脳を通じて、伝えた。




